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「アキラたちは、たった3人でレベル90のダンジョンをクリアできるほど成長した。20年も経ってしまったが、ナオコを取り返す準備は出来たんじゃ」
 力強く言う老婆。

「俺たちが……レベル100のダンジョンをクリアするってことですね!」

「そうじゃ! だが、いくら強くなったとはいえ、お前たち3人でもレベル100のダンジョンは厳しいじゃろう。
 虎石や金剛寺のサポートも不可欠じゃ」

「ああ、もちろん俺達も行くぜ! 異世界の神ってやつをぶっ飛ばしてやらねぇと!」

「俺も行くぞ。ナオコは金剛寺の婚約者だが、俺にとってもパーティーの大切な仲間だ!
 それに人間界のモンスター災害を防ぐためにも、ダンジョンを壊さないといけないと思っていた」
 ナオコが生きていると知った金剛寺と虎石もやる気に満ち溢れていた。

「ホッホッホ、慌てるでない。どのみち、アキラの部屋のダンジョンでは虎石たちはレベル100のダンジョンには行けないようじゃ」
 アキラの部屋のダンジョンはアキラ、花子、まどかの3人しか入れないことが分かっている。

「虎石! いま富士山の地下に眠る扉は、あとどれくらいかかるんじゃ?」
 現在、ダンジョン省の主導で富士山地下のレベル100のダンジョンの扉を掘り起こしている最中だ。

「……あと半年ほどですね。そうか……このために武者小路さんはレベル100の扉を……」
 レベル100の扉に執着していた老婆の狙いが分かった虎石だった。

「半年か。ちょうどええ! 現役を退いた虎石、金剛寺はもちろん、アキラたちだって今のままではレベル100をクリアなんてできんぞ!
 ……まあ、アキラたちはレベル100の強さも知っとるんじゃないかのぅ?」

「お、お前ら……レベル100のダンジョンも行ったのか?」
 驚く金剛寺。老婆にはお見通しだったようだ。

「は……はい。とは言ってもモンスターが強すぎて……デカいゴブリンに襲われて、ギリギリで『脱出の羽根』で逃げ出しましたよ」
 アキラたち3人でかかっても倒せないかったゴブリンを思い出す。

「……そういえば」
 花子は何かを思い出したように話し出す。

「レベル100のダンジョン……たしかにナオコさんが前に話していた通り、草原が奇麗な異世界だったんですけど……空にお城が浮かんでいたんです。
 もしかしたらそこにナオコさんが……?」

「あ……ありましたねお城……。たしかに神様が住んでそうな雰囲気ありましたわ……」
 まどかも言う。

「城か……異世界の神にとって、ナオコはダンジョンの存続させるために大切なエネルギー源じゃからな。お姫様か女神様気分で城に幽閉しているのかもしれんな……」

 金剛寺は怒り出す。
「くっ……ふざけやがって! 虎石! 早くレベル100の扉を掘り起こしやがれ!」

「分かっている! しかし、金剛寺……武者小路さんも言っていたが、今の俺達ではレベル100のダンジョンではお荷物だぞ?」

「う……そ、それは……」
 今ではただのアイテムショップ店長の金剛寺。虎石も今では一線級の冒険者には劣る。

「……金剛寺、悔しいがそれが現実なんだ。だから……俺達もすぐにトレーニングを始めよう。なまった体を元に戻すんだ!」

「ホッホッホ。アキラたちも年寄りたちもこれから半年、鍛えまくるんじゃ!
 アイテムの強化は任せておけ。アタシが錬成してやる!
 このままほっておいても、近い将来人間界のモンスター災害は避けられない。
 作戦の決行は半年後じゃ! それまでトレーニングじゃ! 異世界の神を倒すんじゃ、死ぬ気でやれっ!」

 こうしてレベル100のダンジョンへの冒険、ナオコ奪還計画は半年後に決まった。

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