社畜の俺の部屋にダンジョンの入り口が現れた！？ ダンジョン配信で稼ぐのでブラック企業は辞めさせていただきます

１３５

「え……？　ダンジョンガチャを……引かない！？」
　目が点になる御剣。当然だろう。

「うん……信じられないのは分かるけど、今度試してみて」

「いえ、アキラ先輩たちが言うなら信じてますけど……今までそんなもったいないことしたことなかったので……」

「……まあそうだよね……」

　アキラは御剣にダンジョンガチャをパスすると、運が貯まり、レアアイテムを引きやすくなるというまどかの見つけた裏技を教えた。

　もう自分たちだけが強くなれば良い状況ではない。
　アキラたちはそう思っていた。

　◇

「……とうとう話しちゃいましたね」

「うん……ごめんね、まどかちゃん。せっかく見つけてくれた裏技なのに」

「いえ！　世界の平和の方が優先ですわ！
　きっとあのイケ……御剣さんなら多くの人を守るために使ってくれますわ！」

「そうだね。……前から思ってたけど、まどかちゃんもイケメン好きなのね……」
「えっ！？」
　顔を赤らめるまどかだった。

　◇

　老婆たちの前でレベル90のダンジョンをクリアすると言う約束。
　明日の約束の日は、いよいよ明日に迫っていた。

　アキラたちは苦戦しながらも85.86.87レベルとクリアしていった。

「はぁーっ！　モンスター強すぎ！」

「はい……ほんとにレベル90なんてクリアできるんですかね……？」

「……やるしかないですわ！」

　レベル80を超すダンジョンは凄まじい強さだった。
　レベル90のダンジョンは、世界中の凄腕で冒険者が50人が集まってクリアしている。
　いよいよ明日、アキラたちはその人類最高難易度レベル90のダンジョンに挑む。

　そんな大事な日の前にアキラはイベントを控えていた。

「……ごめんね。大事な日の前だって言うのに……」
　申し訳なさそうに花子とまどかに頭を下げるアキラ。

「いえいえ、最近ご両親にも会ってなかったでしょうし、楽しんできてください」

「いいですね。ご家族でパーティーなんて」

　アキラの両親と凛は、タマワンへの引っ越しも落ち着き、アキラを呼んでの家族パーティーを開こうとしていた。

「いや……俺もめんどくさくて行きたくないんだけどさぁ」
「なんてこと言うんですか！　凛ちゃんも楽しみにしてるんですよ！
　あのタワマンの部屋はアキラさんが買ったんですから、堪能してきてくださいよ」

　◇

　そびえ立つ立派なタワーマンション。
　この街で1番高い建物だ。

「……立派なマンションだな……。そりゃ高いわけだよ……」

　元々住んでいた家は、ダンジョンの場所を移動できなかったため『アキラちゃんねる』の事務所にし、両親と凛をここに引っ越しさせた。
　もちろん、このタワマンのローンは今でもアキラを苦しめている。

「いやぁ、まさか息子にこんな立派な家をプレゼントしてもらえるとはなぁ！」　
「ほんとね！　アキラは自慢の息子だわ！」
「お兄ちゃんすごい！」
「ははは……」

　少し前まで、部屋に引きこもっているニートだと思われていたアキラ。
　動画編集の仕事が大当たりし、ここをプレゼントしたことになっている。

　母親の豪華な料理を久々に食べるアキラ。
　とても明日、人類最高難易度のダンジョンに挑む冒険者には見えない。

「まあ……たまにはこんなのもいいのかな」
　久しぶりの一家団欒を満喫するアキラ。

「お兄ちゃん、私の部屋見る！？」
　パーティーも落ち着き、妹の部屋に案内されるアキラ。