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 まどかと凜が国営ダンジョンで冒険をしている頃。
 アキラはいつも通り自分の部屋のダンジョンにいた。

「よし……いくか!」
 アキラは1人ダンジョンへ入る。
 レベル80のダンジョンをクリアする世界トップレベルの冒険者のアキラが入るダンジョンは……レベル1だった。

 アキラを取り囲むスライムたち。
「ふふふ……来たな……」
 指にはめた『召喚獣の指輪』に触れと召喚獣のカブトムシが現れる。今日はカメラを持たせてはいない。

「よし! いっけー!」
 突撃するカブトムシはスライムの体を貫く。

「おお……お前……本当に戦えるんだな……」
 本来は戦闘用の召喚獣だが、アキラの手に入れた召喚獣はあまりに弱そうなカブトムシだった。
 配信者のアキラはカブトムシにカメラをつけて、ドローンカメラとして使うという画期的な使い方しかしてこなかった。

 しかし、髭モジャ店長から『召喚獣は戦えば戦うほど強くなる』と聞いたアキラは、今日の休日を使って召喚獣のトレーニングをすることにした。
 さすがに今のままのカブトムシではレベル80のダンジョンでトレーニングには難しいということで、レベル1からスタートだった。

 ダンジョンを縦横無尽に飛び回るカブトムシはあっという間にスライムを全滅させた。

「す、すごいじゃないか! お前……こんなに強かったのか!?」
 大喜びのアキラ。気のせいかカブトムシも嬉しそうだ。
 とは言っても、ここはレベル1のダンジョン。小学生でもクリアできるレベルだ。
 ここをクリアしたくらいでは戦力としては使えない。

「よし! 次はレベル2に行くぞ!」
 徐々にレベルを上げていくアキラ。今日は休日だ。急がずのんびり行く。

 ◇

 丸一日、ダンジョンで戦い続けたカブトムシ。
 カブトムシは今やレベル10のダンジョンを一体でクリアするほど成長した。
 体も大きくなり普通の昆虫サイズだったカブトムシは、今では片手では収まらない大きさになっていた。

「お前……本当に召喚獣なんだな。こんなカブトムシ……子供が見たら泣き出すぞ……」
 30センチほどのカブトムシの不気味さにはアキラもビビっていた。

「今はまだ高レベルのダンジョンで通用するほどじゃないけど、鍛えていけば戦力になりそうだな……
 これからはダンジョンでは常に召喚しておくか……」

 召喚獣を戦いのパートナーとして使っていけると思ったアキラだった。

「さて、そろそろ終わりにするか……凜はまどかちゃんと上手くやれてたのかな?
 そういえば……花子さんは何してるんだろう……?」

 アキラは謎につつまれた花子の休日の過ごし方を考えていた……
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