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「まどかちゃん、よくやってくれたわ! 人がすごいわね……早いところ退散しましょう!」
花子はまどかを人混みから引っ張り出す。
興奮冷めやらぬ観衆から逃げるように車に駆け込み、4人は店長の店に避難した。
◇
「ふぅ……いやぁ、まどかちゃんお手柄だね!」
「いえ……ダンジョンでの戦いとは違って、能力アップアイテムの効力がないので、体が重くてなかなか動きづらかったですわ」
普段、ダンジョンで装備しているスピードアップ、攻撃力アップアイテムの無い、生身での戦いだった。
「……あぁっ!!!」
突然大声を上げるまどか。
「ど、どうしたの!?」
「た……大変……。わ、私……ヘルメット被ってませんでしたわ……」
青ざめるまどか。
「……あっ」
しまった、という表情のアキラと花子。
「ん? なんか問題あんのか??」
「店長……まどかちゃんの通う学校は超お嬢様学校で……ダンジョン禁止なんです……」
「……どうしましょう! みんなカメラで写真や動画を撮ってましたよね!?」
慌ててSNSやネット掲示板をチェックする。
トレンドワードはゴブリンやモンスター関連一色だった。
その中には美少女剣士というワードも……
SNSでは暴れるゴブリンを一刀両断するまどかの動画が大バズりしていた。
今までもモンスターの出現はあったが、山奥や田舎などだったため、SNSで話題になることは少なかった。
しかし、今回のモンスター出現は日中の駅前、大勢が目撃してしまった。
中には美少女剣士の華麗な剣さばきが、まどかチャンネルのまどかにソックリだった。
普段のヘルメットから少し見える素顔と似ているからまどかチャンネルではないか?
というコメントも多数あった。
さらには、まどかと同じ学校の生徒と思われるコメントには、『円山さんじゃないか?』というモノまであった。
「……やばいな」
「ひぃぃいい! ど、どうしましょう!? 私……退学!?」
パニックになるまどか。
「落ち着いて、まどかちゃん!」
SNSの怖さに慌てる3人に店長は言う。
「なあ……俺はSNSってのはよく分からねェが……虎石に相談してみたらどうだ? アイツ、ダンジョン省じゃそこそこ力を持ってる人間だろ?
なんとかしてくれるんじゃねェか?」
「虎石さんか……確かに……」
アキラはゴブリンの討伐報告とまどかの学校の件を相談してみようと、虎石に電話をかける。
◇
『よくやってくれた。一般人に被害は0だ。
SNSで話題になってる動画も見たよ。まどかさんにも感謝を伝えてくれ』
「はい……そのまどかちゃんの事なんですが……」
アキラはまどかの学校でダンジョン禁止のこと、SNSで名前や学校がバレてしまっていることを虎石に伝える。
『なるほど……我々も迂闊だったな。すまない。
すぐにまどかさんの学校へ連絡して、先手を打っておく』
「お願いします……あの……大丈夫ですかね? 退学とか……」
『ははは、アキラ君。政府の力を舐めてもらっちゃ困るよ。
君たちが冒険者の力を使って悪事でも働いたら容赦しないが、まどかさんが今回したのは人助けだ!』
そう言い、虎石は電話を切った。
まどかは返事が来るのを心配そうに待つ。
花子はまどかを人混みから引っ張り出す。
興奮冷めやらぬ観衆から逃げるように車に駆け込み、4人は店長の店に避難した。
◇
「ふぅ……いやぁ、まどかちゃんお手柄だね!」
「いえ……ダンジョンでの戦いとは違って、能力アップアイテムの効力がないので、体が重くてなかなか動きづらかったですわ」
普段、ダンジョンで装備しているスピードアップ、攻撃力アップアイテムの無い、生身での戦いだった。
「……あぁっ!!!」
突然大声を上げるまどか。
「ど、どうしたの!?」
「た……大変……。わ、私……ヘルメット被ってませんでしたわ……」
青ざめるまどか。
「……あっ」
しまった、という表情のアキラと花子。
「ん? なんか問題あんのか??」
「店長……まどかちゃんの通う学校は超お嬢様学校で……ダンジョン禁止なんです……」
「……どうしましょう! みんなカメラで写真や動画を撮ってましたよね!?」
慌ててSNSやネット掲示板をチェックする。
トレンドワードはゴブリンやモンスター関連一色だった。
その中には美少女剣士というワードも……
SNSでは暴れるゴブリンを一刀両断するまどかの動画が大バズりしていた。
今までもモンスターの出現はあったが、山奥や田舎などだったため、SNSで話題になることは少なかった。
しかし、今回のモンスター出現は日中の駅前、大勢が目撃してしまった。
中には美少女剣士の華麗な剣さばきが、まどかチャンネルのまどかにソックリだった。
普段のヘルメットから少し見える素顔と似ているからまどかチャンネルではないか?
というコメントも多数あった。
さらには、まどかと同じ学校の生徒と思われるコメントには、『円山さんじゃないか?』というモノまであった。
「……やばいな」
「ひぃぃいい! ど、どうしましょう!? 私……退学!?」
パニックになるまどか。
「落ち着いて、まどかちゃん!」
SNSの怖さに慌てる3人に店長は言う。
「なあ……俺はSNSってのはよく分からねェが……虎石に相談してみたらどうだ? アイツ、ダンジョン省じゃそこそこ力を持ってる人間だろ?
なんとかしてくれるんじゃねェか?」
「虎石さんか……確かに……」
アキラはゴブリンの討伐報告とまどかの学校の件を相談してみようと、虎石に電話をかける。
◇
『よくやってくれた。一般人に被害は0だ。
SNSで話題になってる動画も見たよ。まどかさんにも感謝を伝えてくれ』
「はい……そのまどかちゃんの事なんですが……」
アキラはまどかの学校でダンジョン禁止のこと、SNSで名前や学校がバレてしまっていることを虎石に伝える。
『なるほど……我々も迂闊だったな。すまない。
すぐにまどかさんの学校へ連絡して、先手を打っておく』
「お願いします……あの……大丈夫ですかね? 退学とか……」
『ははは、アキラ君。政府の力を舐めてもらっちゃ困るよ。
君たちが冒険者の力を使って悪事でも働いたら容赦しないが、まどかさんが今回したのは人助けだ!』
そう言い、虎石は電話を切った。
まどかは返事が来るのを心配そうに待つ。
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