113 / 183
113
しおりを挟む
「それにしても、やっぱり店長も伝説の冒険者だったんですね!」
「けっ、伝説なんてもんじゃねェよ!」
店長は不機嫌になる。なぜか前から店長は、自分の昔話の時には機嫌が悪くなるのだった。
「……でも、すごいですよ。よかったら今度俺たちと冒険に行きましょう! アドバイスくださいよ」
「あー……まあ気が向いたらな……」
店長は相変わらず気の抜けた返事をする。
「あの……店長?」
「ん? なんだ、魔女っ子?」
「ウチにあった古いダンジョン雑誌に、店長の昔の写真があったので持ってきました……」
花子は古い雑誌の切り抜きを取り出した。
冒険者が写った記念写真のようだ。
「ばっ、ばか野郎! 変なもん持ってくんじゃねェよ!!」
店長は顔を赤くする。
「え? どれが店長さんですか!?」
まどかも興味津々だ。
雑誌の切り抜きには数名の冒険者たちが写っている。
「……あっ、これ虎石さんか!? あっ! こっちには老人剣士が……この時もすでに老人だな……」
おそらく20年ほど前に撮られた写真だろう。
今では伝説とされる冒険者たちの若かりし頃の姿。
「えーっと……ん? 店長写ってないなぁ……」
「ええ……店長さんはいませんわね……」
アキラとまどかは店長を探すが見つからない。どこにも髭モジャの男はいないのだ。
「ふふふ、甘いわね。2人とも! 店長はコレです!」
花子は写真の1人の青年を指差す。
整った顔立ちの細っそりとした美青年だ。
「……は? な、何言ってるんだ、花子さん? そんな訳……」
アキラは写真と店長を交互に見る。
「……あっ! に、似てるかも!?」
「う、うるせェな! なんだよ似てるって。見るんじゃねえよ!」
顔を真っ赤にし怒り出す店長。
「店長、イケメンだったんですね!」
「だったんですね、じゃねェだろ! ばかやろう!」
「でも、この写真のメンバーすごいですわね……私でも知ってる冒険者が何人かいますわ……
あれ? 店長さん、この女性はどなたですか?」
まどかは店長の横に立つ、1人の女性を指差す。
「……ああ、そいつはパーティーの仲間だよ……」
店長はぶっきらぼうに返事をする。
「へぇー、綺麗な人ですね! 店長、好きだったんじゃないですか!?」
「……うるせェッ!!」
突然、怒鳴り出す店長。
いつも大声でしゃべり、怒ってばかりの店長だが、今回の怒りは本気だとアキラたちは分かった。
「す、すみません……」
マズイ、何か聞かれたくないことだったんだ……3人は凍りついた。
「!! す、すまん。怒鳴ったりして……
ほ、ほら……急にこんな昔の写真見られたら恥ずかしだろうがっ!
ったくよ、もっとカッコよく撮れてる写真は無かったのか? バカ野郎め!」
つい怒鳴ってしまった店長。わざとおちゃらけて空気を良くしようとしてるのが、アキラたちにはすぐに分かった。
「い、いえ……すみません。急に色々聞いて」
「あぁ? 気にすんな!
いつか昔話でもしてやるよ。まあその時は金を取るけどな! ガッハッハ」
「ははは……楽しみにしてますよ」
また無理に冗談を言っている店長だった。
調子に乗りすぎたな。人には聞かれたく話の1つや2つあるんだろう。アキラはそう思い反省した。
「けっ、伝説なんてもんじゃねェよ!」
店長は不機嫌になる。なぜか前から店長は、自分の昔話の時には機嫌が悪くなるのだった。
「……でも、すごいですよ。よかったら今度俺たちと冒険に行きましょう! アドバイスくださいよ」
「あー……まあ気が向いたらな……」
店長は相変わらず気の抜けた返事をする。
「あの……店長?」
「ん? なんだ、魔女っ子?」
「ウチにあった古いダンジョン雑誌に、店長の昔の写真があったので持ってきました……」
花子は古い雑誌の切り抜きを取り出した。
冒険者が写った記念写真のようだ。
「ばっ、ばか野郎! 変なもん持ってくんじゃねェよ!!」
店長は顔を赤くする。
「え? どれが店長さんですか!?」
まどかも興味津々だ。
雑誌の切り抜きには数名の冒険者たちが写っている。
「……あっ、これ虎石さんか!? あっ! こっちには老人剣士が……この時もすでに老人だな……」
おそらく20年ほど前に撮られた写真だろう。
今では伝説とされる冒険者たちの若かりし頃の姿。
「えーっと……ん? 店長写ってないなぁ……」
「ええ……店長さんはいませんわね……」
アキラとまどかは店長を探すが見つからない。どこにも髭モジャの男はいないのだ。
「ふふふ、甘いわね。2人とも! 店長はコレです!」
花子は写真の1人の青年を指差す。
整った顔立ちの細っそりとした美青年だ。
「……は? な、何言ってるんだ、花子さん? そんな訳……」
アキラは写真と店長を交互に見る。
「……あっ! に、似てるかも!?」
「う、うるせェな! なんだよ似てるって。見るんじゃねえよ!」
顔を真っ赤にし怒り出す店長。
「店長、イケメンだったんですね!」
「だったんですね、じゃねェだろ! ばかやろう!」
「でも、この写真のメンバーすごいですわね……私でも知ってる冒険者が何人かいますわ……
あれ? 店長さん、この女性はどなたですか?」
まどかは店長の横に立つ、1人の女性を指差す。
「……ああ、そいつはパーティーの仲間だよ……」
店長はぶっきらぼうに返事をする。
「へぇー、綺麗な人ですね! 店長、好きだったんじゃないですか!?」
「……うるせェッ!!」
突然、怒鳴り出す店長。
いつも大声でしゃべり、怒ってばかりの店長だが、今回の怒りは本気だとアキラたちは分かった。
「す、すみません……」
マズイ、何か聞かれたくないことだったんだ……3人は凍りついた。
「!! す、すまん。怒鳴ったりして……
ほ、ほら……急にこんな昔の写真見られたら恥ずかしだろうがっ!
ったくよ、もっとカッコよく撮れてる写真は無かったのか? バカ野郎め!」
つい怒鳴ってしまった店長。わざとおちゃらけて空気を良くしようとしてるのが、アキラたちにはすぐに分かった。
「い、いえ……すみません。急に色々聞いて」
「あぁ? 気にすんな!
いつか昔話でもしてやるよ。まあその時は金を取るけどな! ガッハッハ」
「ははは……楽しみにしてますよ」
また無理に冗談を言っている店長だった。
調子に乗りすぎたな。人には聞かれたく話の1つや2つあるんだろう。アキラはそう思い反省した。
32
お気に入りに追加
707
あなたにおすすめの小説
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ&チート持ちだった!カードから美少女を召喚します!強いカード程1癖2癖もあり一筋縄ではない〜
KeyBow
ファンタジー
1999年世界各地に隕石が落ち、その数年後に隕石が落ちた場所がラビリンス(迷宮)となり魔物が町に湧き出した。
各国の軍隊、日本も自衛隊によりラビリンスより外に出た魔物を駆逐した。
ラビリンスの中で魔物を倒すと稀にその個体の姿が写ったカードが落ちた。
その後、そのカードに血を掛けるとその魔物が召喚され使役できる事が判明した。
彼らは通称カーヴァント。
カーヴァントを使役する者は探索者と呼ばれた。
カーヴァントには1から10までのランクがあり、1は最弱、6で強者、7や8は最大戦力で鬼神とも呼ばれる強さだ。
しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。
また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。
探索者は各自そのラビリンスが持っているカーヴァントの召喚コスト内分しか召喚出来ない。
つまり沢山のカーヴァントを召喚したくてもコスト制限があり、強力なカーヴァントはコストが高い為に少数精鋭となる。
数を選ぶか質を選ぶかになるのだ。
月日が流れ、最初にラビリンスに入った者達の子供達が高校生〜大学生に。
彼らは二世と呼ばれ、例外なく特別な力を持っていた。
そんな中、ラビリンスに入った自衛隊員の息子である斗枡も高校生になり探索者となる。
勿論二世だ。
斗枡が持っている最大の能力はカード合成。
それは例えばゴブリンを10体合成すると10体分の力になるもカードのランクとコストは共に変わらない。
彼はその程度の認識だった。
実際は合成結果は最大でランク10の強さになるのだ。
単純な話ではないが、経験を積むとそのカーヴァントはより強力になるが、特筆すべきは合成元の生き残るカーヴァントのコストがそのままになる事だ。
つまりランク1(コスト1)の最弱扱いにも関わらず、実は伝説級であるランク10の強力な実力を持つカーヴァントを作れるチートだった。
また、探索者ギルドよりアドバイザーとして姉のような女性があてがわれる。
斗枡は平凡な容姿の為に己をモブだと思うも、周りはそうは見ず、クラスの底辺だと思っていたらトップとして周りを巻き込む事になる?
女子が自然と彼の取り巻きに!
彼はモブとしてモブではない高校生として生活を始める所から物語はスタートする。
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。
名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。
スキルスティール〜悪い奴から根こそぎ奪って何が悪い!能無しと追放されるも実はチート持ちだった!
KeyBow
ファンタジー
日常のありふれた生活が一変!古本屋で何気に手に取り開けた本のタイトルは【猿でも分かるスキルスティール取得法】
変な本だと感じつい見てしまう。そこにはこう有った。
【アホが見ーる馬のけーつ♪
スキルスティールをやるから魔王を倒してこい!まお頑張れや 】
はっ!?と思うとお城の中に。城の誰かに召喚されたが、無能者として暗殺者をけしかけられたりする。
出会った猫耳ツインズがぺったんこだけど可愛すぎるんですが!エルフの美女が恋人に?何故かヒューマンの恋人ができません!
行き当たりばったりで異世界ライフを満喫していく。自重って何?という物語。
悪人からは遠慮なくスキルをいただきまーーーす!ざまぁっす!
一癖も二癖もある仲間と歩む珍道中!
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる