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九家の引っ越し先のタワーマンションが決まった。
今の家から近い立派なタワマンだ。金額に金持ち配信者のアキラも目玉が飛び出た。
「ぜ、税金対策ってやつだよ……」
アキラは青ざめながらハンコを押した。
アキラの両親、妹は今日引っ越しだ。
「じゃあお兄ちゃん! またね」
「うむ、タワマンを堪能してくれ」
「お兄ちゃんはここに残るんだよね?」
「そうだね。ここを俺の職場にするよ」
「……あの人たちもここに住むの?」
妹は花子とまどかを見る。
「ああ……あの二人は……俺の部下みたいなもんだからな……」
「ぶ、部下!?」
「は、花子姉さん、妹さんの前ですわ! 抑えてください!」
花子を押さえつけるまどか。
「あ、あの……」
妹がそんな2人の前にやってくる。
「は、初めまして。九 凛です。お、お兄ちゃんをよろしくお願いします!」
ぺこりと頭を下げる妹。
「い、いえ……こちらこそ!」
突然の妹の挨拶に戸惑う花子とまどか。
「なによ! お兄ちゃんに似ず可愛い、素直でいい子じゃない!」
「ちょっと、花子姉さん! 失礼ですわよ」
「あれ……お姉さん……もしかして、ウチの隣に住んでる人ですか?」
凜はまどかを見て驚いたように言う。
「は、はい……隣の円山ですわ……」
「やっぱり! 見たことあると思いました」
「そ、そうですか……」
近い年齢の凜に戸惑うまどかだった。
「ちょっとまどかちゃん! アンタ高校生でしょ? なに中学生に緊張してんのよ!」
「き、緊張なんて……」
仲のいい同世代が少ないまどかは、凛とたどたどしく話すことしかできなかった。
「あの……円山さん……あ、まどかさん? よかった私と友達になってください!」
「え!?」
「前から可愛い人だなぁと思ってたんです!」
「と、友達……ですか……はい、私でよかったら……」
顔を赤くするまどか。
「よかったじゃない、まどかちゃん。お友達できたね」
「ちゃ、茶化さないでください!」
こうして、アキラの妹 凛とまどかは友達になった。まどかにとっては珍しい友達だった。
「凜ちゃん! お姉さんともお友達になってくれる?」
「……え?」
花子も聞くも、渋い顔の凜。
「で、でも……お姉さんとはだいぶ歳が離れてますし……」
「……そうよね……」
悪気の無い若さが花子を傷つけたことを凜は知らなかった。
「……凜はあんなにコミュ力が高かったのか……」
妹の成長を静かに喜ぶ兄であった。
◇
こうして家族はタワマンに引っ越し、この家はアキラの家、兼『アキラちゃんねる』の事務所となった。
「ふふふ……ここを社長室にしよっかな?」
「社長室って……ここはアキラさんの部屋じゃないですか。ここは神聖なダンジョンの入り口ですよ!」
「よし! 事務所もできたことだし、久しぶりに3人でダンジョンへ行こうか!」
「いいですね! 行きましょう!」
「レアアイテムを手に入れてドンドン売って稼がないと……」
タワマンのローンに追われるアキラは必死だった。
今の家から近い立派なタワマンだ。金額に金持ち配信者のアキラも目玉が飛び出た。
「ぜ、税金対策ってやつだよ……」
アキラは青ざめながらハンコを押した。
アキラの両親、妹は今日引っ越しだ。
「じゃあお兄ちゃん! またね」
「うむ、タワマンを堪能してくれ」
「お兄ちゃんはここに残るんだよね?」
「そうだね。ここを俺の職場にするよ」
「……あの人たちもここに住むの?」
妹は花子とまどかを見る。
「ああ……あの二人は……俺の部下みたいなもんだからな……」
「ぶ、部下!?」
「は、花子姉さん、妹さんの前ですわ! 抑えてください!」
花子を押さえつけるまどか。
「あ、あの……」
妹がそんな2人の前にやってくる。
「は、初めまして。九 凛です。お、お兄ちゃんをよろしくお願いします!」
ぺこりと頭を下げる妹。
「い、いえ……こちらこそ!」
突然の妹の挨拶に戸惑う花子とまどか。
「なによ! お兄ちゃんに似ず可愛い、素直でいい子じゃない!」
「ちょっと、花子姉さん! 失礼ですわよ」
「あれ……お姉さん……もしかして、ウチの隣に住んでる人ですか?」
凜はまどかを見て驚いたように言う。
「は、はい……隣の円山ですわ……」
「やっぱり! 見たことあると思いました」
「そ、そうですか……」
近い年齢の凜に戸惑うまどかだった。
「ちょっとまどかちゃん! アンタ高校生でしょ? なに中学生に緊張してんのよ!」
「き、緊張なんて……」
仲のいい同世代が少ないまどかは、凛とたどたどしく話すことしかできなかった。
「あの……円山さん……あ、まどかさん? よかった私と友達になってください!」
「え!?」
「前から可愛い人だなぁと思ってたんです!」
「と、友達……ですか……はい、私でよかったら……」
顔を赤くするまどか。
「よかったじゃない、まどかちゃん。お友達できたね」
「ちゃ、茶化さないでください!」
こうして、アキラの妹 凛とまどかは友達になった。まどかにとっては珍しい友達だった。
「凜ちゃん! お姉さんともお友達になってくれる?」
「……え?」
花子も聞くも、渋い顔の凜。
「で、でも……お姉さんとはだいぶ歳が離れてますし……」
「……そうよね……」
悪気の無い若さが花子を傷つけたことを凜は知らなかった。
「……凜はあんなにコミュ力が高かったのか……」
妹の成長を静かに喜ぶ兄であった。
◇
こうして家族はタワマンに引っ越し、この家はアキラの家、兼『アキラちゃんねる』の事務所となった。
「ふふふ……ここを社長室にしよっかな?」
「社長室って……ここはアキラさんの部屋じゃないですか。ここは神聖なダンジョンの入り口ですよ!」
「よし! 事務所もできたことだし、久しぶりに3人でダンジョンへ行こうか!」
「いいですね! 行きましょう!」
「レアアイテムを手に入れてドンドン売って稼がないと……」
タワマンのローンに追われるアキラは必死だった。
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