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「いいですか? だいたい、『アキラちゃんねる』のダンジョン配信は雑過ぎますね! もっと視聴者に寄り添った配信を心掛けてください!
あとチップには必ずお礼を! そんなんじゃチップ貰えませんよ?」
「は……はい」
「それにモンスターの倒し方もワンパターンで、あれじゃ視聴者も飽きます……って、九さん! 聞いてますか!?」
「……」
帰り道、ずっと説教を受けるアキラ。
社内では大人しい熊埜御堂花子だが、素の性格は先輩のアキラにもズケズケと厳しいことを言う。
そして、まさかのダンジョン配信ガチ勢だったのだ。
「ちなみ今日はどこのダンジョンへ行くんですか? この時間からだとA市のダンジョンとか!?」
「……」
「あっ! そういえば昨日の配信ってどこのダンジョンだったんですか? ガチ勢の私でも見たことないダンジョンでしたよ?」
「そ、それは……」
(まさか自宅にダンジョンの入り口が出来たとは言えない……いや、逆に熊埜御堂さんに相談した方がいいのか!?)
新しいダンジョンが出現したら、警察なり政府に連絡をするべきなのだろうか?
しかし、入り口が自宅ということもあり、通報するべきか迷っていたアキラは熊埜御堂に打ち明けることにした。
◆
アキラの家に到着した二人。
「まあ、汚いところだけど入ってよ」
アキラは自宅に彼女を招き入れる。
「え? 家はいいですよ。これから配信のためにダンジョンに向かうんですよね?」
「……ちょっと熊埜御堂さんに見てほしいものがあるんだ」
「なんですか……? はっ! まさか、そうやって女性を誘い入れてるんですか!?」
なぜが胸元を抑え赤くなる彼女。
「そんなわけないだろ! 両親に妹も住んどるわ!!」
「あ、なら安心ですね!」
「まったく……」
「ただいま」
「おかえり、今日は早かったのね」
23時近い帰宅、アキラの家族もすっかりブラック企業に慣れてしまっている。
「アキラ、ご飯は食べるの……って、えぇっ!? お客さん!?」
「お、遅くにすみません……」
熊埜御堂はアキラの母親にペコリと頭を下げる。
外見だけ見るとおしとやかで可憐な美人だ。
「た、大変だよ! アキラが女の子連れてきたよ! それも美人よ!」
「なに!? でかしたアキラ!」
「お兄ちゃん! 彼女!?」
夜遅くに大騒ぎになる九家、アキラが女の子を連れてきたのはもちろん初めてのことだ。
「ほっといてくれ! ただの同僚だよ! 部屋で少し仕事の打ち合わせするだけだから!」
少し赤くなるアキラと熊埜御堂は二階のアキラの部屋に向かう。
「ごめんね、うるさくて」
「いえ……仲のいいご家族ですね! それで、私に見せたいものとは!?」
「あぁ……熊埜御堂さんは口は堅いかな?」
「く、口!? あまり考えたことはありませんが……並ってところですかね?」
「並か……まあいいか。実は……」
アキラは意を決し、勉強机の引き出しを開く。
「中をみてくれる?」
「え? な、なんですか? もしかして……変な本とDVDを見せて喜ぶタイプの変態ですか……?」
「そんなわけないだろ! 早く見ろ!」
「は、はいっ!」
(まったく! とんでもない女だ! 大人しい美人かと思って損したよ!)
彼女は引き出しを覗き込む。
「この引き出しが何なんですか……えっ……!?!?」
目を真ん丸にして驚く熊埜御堂を見て、どこか得意げなアキラ。
あとチップには必ずお礼を! そんなんじゃチップ貰えませんよ?」
「は……はい」
「それにモンスターの倒し方もワンパターンで、あれじゃ視聴者も飽きます……って、九さん! 聞いてますか!?」
「……」
帰り道、ずっと説教を受けるアキラ。
社内では大人しい熊埜御堂花子だが、素の性格は先輩のアキラにもズケズケと厳しいことを言う。
そして、まさかのダンジョン配信ガチ勢だったのだ。
「ちなみ今日はどこのダンジョンへ行くんですか? この時間からだとA市のダンジョンとか!?」
「……」
「あっ! そういえば昨日の配信ってどこのダンジョンだったんですか? ガチ勢の私でも見たことないダンジョンでしたよ?」
「そ、それは……」
(まさか自宅にダンジョンの入り口が出来たとは言えない……いや、逆に熊埜御堂さんに相談した方がいいのか!?)
新しいダンジョンが出現したら、警察なり政府に連絡をするべきなのだろうか?
しかし、入り口が自宅ということもあり、通報するべきか迷っていたアキラは熊埜御堂に打ち明けることにした。
◆
アキラの家に到着した二人。
「まあ、汚いところだけど入ってよ」
アキラは自宅に彼女を招き入れる。
「え? 家はいいですよ。これから配信のためにダンジョンに向かうんですよね?」
「……ちょっと熊埜御堂さんに見てほしいものがあるんだ」
「なんですか……? はっ! まさか、そうやって女性を誘い入れてるんですか!?」
なぜが胸元を抑え赤くなる彼女。
「そんなわけないだろ! 両親に妹も住んどるわ!!」
「あ、なら安心ですね!」
「まったく……」
「ただいま」
「おかえり、今日は早かったのね」
23時近い帰宅、アキラの家族もすっかりブラック企業に慣れてしまっている。
「アキラ、ご飯は食べるの……って、えぇっ!? お客さん!?」
「お、遅くにすみません……」
熊埜御堂はアキラの母親にペコリと頭を下げる。
外見だけ見るとおしとやかで可憐な美人だ。
「た、大変だよ! アキラが女の子連れてきたよ! それも美人よ!」
「なに!? でかしたアキラ!」
「お兄ちゃん! 彼女!?」
夜遅くに大騒ぎになる九家、アキラが女の子を連れてきたのはもちろん初めてのことだ。
「ほっといてくれ! ただの同僚だよ! 部屋で少し仕事の打ち合わせするだけだから!」
少し赤くなるアキラと熊埜御堂は二階のアキラの部屋に向かう。
「ごめんね、うるさくて」
「いえ……仲のいいご家族ですね! それで、私に見せたいものとは!?」
「あぁ……熊埜御堂さんは口は堅いかな?」
「く、口!? あまり考えたことはありませんが……並ってところですかね?」
「並か……まあいいか。実は……」
アキラは意を決し、勉強机の引き出しを開く。
「中をみてくれる?」
「え? な、なんですか? もしかして……変な本とDVDを見せて喜ぶタイプの変態ですか……?」
「そんなわけないだろ! 早く見ろ!」
「は、はいっ!」
(まったく! とんでもない女だ! 大人しい美人かと思って損したよ!)
彼女は引き出しを覗き込む。
「この引き出しが何なんですか……えっ……!?!?」
目を真ん丸にして驚く熊埜御堂を見て、どこか得意げなアキラ。
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