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第15話 【着火】マンは大聖堂の日曜ミサに出かける
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この世界は六日をかけて神様が世界をお造りになったので、七日目は神様含めてお休みなんだね。
で、今日はその日曜日。
ドンドンドンドン!!
「ハカセ~~!! 起きろ~~!!」
ドンドンドンドン!!
「起きてるよ、フロル、どんどん叩かないで」
ドアを開けるとフロルとチェリソー、エリシアがいた。
「おお、さすがは【着火】マン、朝から筋が通ってるぜ」
「いや、普通だし」
朝ご飯も済ませたよ。
「ギルド宿って細長い~」
「俺は割と落ち着いて好きだな、泊まった事無いけど」
君たちは地元民だからね。
「ラトカは?」
「あいつは教会の子だから、朝のミサの手伝い。せっかくだから大聖堂のミサに行こうぜ、今日は聖女さまが説法してくれるってさ」
「おお、それは素晴らしい」
さっそく出かけようか。
おっとその前に。
「はい、フロルとチョリソーにはポーション、エリシアにはマジックポーションとポーション」
私は鞄から薬瓶を出して三人に渡した。
「おおっ、すっげー、ポーションなんて持つの初めてだっ」
「意外に高いからなあ、すっげえ綺麗な緑色だ」
「嬉しいわ、ハカセ、ありがとう」
「おっと、ありがとう」
「ありがとう、エリシアだけ二本でずるい」
「ばっか、盗賊にマジックポーションとかいらねえだろ」
「あれは売ると高いんだよお」
「俺たちが使うためにハカセが用意してくれたもんだ、横流しとか筋が通らねえっ」
「それもそうか」
「非常用だからね。危ないときは勿体ないとか思わないで使うんだよ」
「わかったっ」
「そうするよ」
「はー、マジックポーションは憧れだったの~、これで本当の魔法使いに一歩近づいたわ」
私は階段を降りてギルド受付に鍵を預かってもらった。
「お出かけですか?」
「ハカセに迷宮都市を案内してやるんだっ」
「日曜日もギルドはやってるんですね」
「近隣都市から日曜冒険者が泊まりがけで来たりしますので、休日は無いんですよ」
それは大変な仕事だなあ。
確かに酒場も人が多い気がするね。
「近くの街から観光客も来るから日曜日の人出は凄いよ」
「地元の冒険者は日曜日休むけどな」
「迷宮の浅い階は日曜冒険者が多くて仕事にならないのよ」
なるほどなあ。
迷宮都市に来てみないと解らない事は多いなあ。
ちなみに日曜冒険者は近隣都市の市民とか農民とかが余暇に来て、ダンジョンの浅い階で狩りをして楽しむらしい。
自分の適性階層で狩りをするなら、安全でほどほどに儲かるし、体も動かせて楽しいらしい。
迷宮が近いとそういう楽しみがあるんだな。
「さあ、行こうぜっ」
「解った、フロル頼んだよ」
「まかせとけーっ!」
やっぱり地元の子供と知り合いになると良いね。
いろいろと観光客では解らない事を教えてくれる。
銀のグリフォン団のメンバーに引っ張られるように、混み合った迷宮都市を歩く。
今日は日曜だから人がいっぱいだ。
丘の上まで見上げるほど建物が建って、娯楽に、冒険に、何でも揃う買い物の街でもある。
人が多いから料理屋、ホテル、カジノや酒場が林立し、みな忙しく働いているね。
観光地としても、ゼラビス迷宮都市は一級品なんだよ。
街の西側にゼラビス大聖堂はそそりたっている。
二百年前の大建築家が設計して建て始め、三十年前に完成したという、とても大きなテスラ神教の大聖堂だ。
尖塔が空に何本もにょきにょき生えていて神々しく、神様の座という感じがするね。
「混んでるから離れんなっ」
「解ったわ」
「了解っ」
「わかった」
大聖堂に入ろうという信者さんが列を成して、押すな押すなの大盛況だ。
銀のグリフォン団はフロルのレザーアーマーをそれぞれ握って離れまいとする。
しばらくして、ふっと圧力が消えるといつの間にか大聖堂の中に入っていた。
ちょっと息がつけるね。
「ハカセ、上を見てみな」
フロルが笑いを含んだ声で言った。
上を仰ぎ見る。
おお~~。
天井一杯に邪竜と戦う勇者の絵が描かれていた。
「巨匠ゲルニヒトの真筆だね、実際に目で見ると凄いなあ」
「俺も将来はあんな風に大物の魔物を倒すんだ」
「うん、フロルならやれるよ」
信者さんたちはホールにある椅子に座り出す。
運良く帰る所の家族連れの場所をチョリソーが躍り込んでゲットして、四人で座れる事となった。
盗賊は便利だなあ。
「私、結構、日曜ミサ好きなの」
「俺は嫌いだ、眠くなる」
「俺も俺も」
「えー、お話を聞いてると清浄な気持ちにならない~?」
「眠くなる」
「同上」
「んもう、子供なんだから、あんた達は、ハカセは?」
「私は、そうだね、説法の作られた遙か過去を思い浮かべるね」
「ハカセはインテリで素敵、あんた達は駄目」
と言っても、聖典の説話の年代を推し量って矛盾点を見つけたり、節の脱落を解釈したりで、エリシアが思っているほどロマンティックな感じではないのだが、そんな事は聞きたくは無いだろうから黙っていた。
テスラ神教が出来たのは、三千年前、前史魔導文明が滅びた直後くらいらしい。
奇しくもアセット魔法の成立と同じ頃なんだよね。
僧侶の使う神聖魔法もアセット系だし、何か関係があるのだろうか。
「それでは、日曜のミサを行います、みなさまご起立ねがいます」
温厚そうな神父さんの号令で、大聖堂の礼拝堂に居る信者さんたちが皆立ち上がった。
「聖歌斉唱」
パイプオルガンが鳴り、揃いの服をきた聖歌隊が歌い始めた。
信者の私たちも声を揃えて歌う。
礼拝堂に音が反響して神々しい響きがワアアアンと反響する。
久々だけど聖歌はいいね。
「着席願います」
一斉にみな座り込んだ。
「それでは聖女アグネス様のお言葉を頂きましょう」
神父さんの紹介で真っ白な聖女服を着た聖女アグネスさまがしずしずと歩いて来た。
思ったよりも若いね。
二十になるかならないかの美しい娘さんだ。
神々しいオーラをまとっていた。
神聖魔法の使い手で、死者蘇生を成功させたという噂もある。
彼女の長いベールの端を二人の子供が持っていて、一人がラトカであった。
「聖女さん、いつ見ても、きれー」
エリシアがうっとりと言った。
で、今日はその日曜日。
ドンドンドンドン!!
「ハカセ~~!! 起きろ~~!!」
ドンドンドンドン!!
「起きてるよ、フロル、どんどん叩かないで」
ドアを開けるとフロルとチェリソー、エリシアがいた。
「おお、さすがは【着火】マン、朝から筋が通ってるぜ」
「いや、普通だし」
朝ご飯も済ませたよ。
「ギルド宿って細長い~」
「俺は割と落ち着いて好きだな、泊まった事無いけど」
君たちは地元民だからね。
「ラトカは?」
「あいつは教会の子だから、朝のミサの手伝い。せっかくだから大聖堂のミサに行こうぜ、今日は聖女さまが説法してくれるってさ」
「おお、それは素晴らしい」
さっそく出かけようか。
おっとその前に。
「はい、フロルとチョリソーにはポーション、エリシアにはマジックポーションとポーション」
私は鞄から薬瓶を出して三人に渡した。
「おおっ、すっげー、ポーションなんて持つの初めてだっ」
「意外に高いからなあ、すっげえ綺麗な緑色だ」
「嬉しいわ、ハカセ、ありがとう」
「おっと、ありがとう」
「ありがとう、エリシアだけ二本でずるい」
「ばっか、盗賊にマジックポーションとかいらねえだろ」
「あれは売ると高いんだよお」
「俺たちが使うためにハカセが用意してくれたもんだ、横流しとか筋が通らねえっ」
「それもそうか」
「非常用だからね。危ないときは勿体ないとか思わないで使うんだよ」
「わかったっ」
「そうするよ」
「はー、マジックポーションは憧れだったの~、これで本当の魔法使いに一歩近づいたわ」
私は階段を降りてギルド受付に鍵を預かってもらった。
「お出かけですか?」
「ハカセに迷宮都市を案内してやるんだっ」
「日曜日もギルドはやってるんですね」
「近隣都市から日曜冒険者が泊まりがけで来たりしますので、休日は無いんですよ」
それは大変な仕事だなあ。
確かに酒場も人が多い気がするね。
「近くの街から観光客も来るから日曜日の人出は凄いよ」
「地元の冒険者は日曜日休むけどな」
「迷宮の浅い階は日曜冒険者が多くて仕事にならないのよ」
なるほどなあ。
迷宮都市に来てみないと解らない事は多いなあ。
ちなみに日曜冒険者は近隣都市の市民とか農民とかが余暇に来て、ダンジョンの浅い階で狩りをして楽しむらしい。
自分の適性階層で狩りをするなら、安全でほどほどに儲かるし、体も動かせて楽しいらしい。
迷宮が近いとそういう楽しみがあるんだな。
「さあ、行こうぜっ」
「解った、フロル頼んだよ」
「まかせとけーっ!」
やっぱり地元の子供と知り合いになると良いね。
いろいろと観光客では解らない事を教えてくれる。
銀のグリフォン団のメンバーに引っ張られるように、混み合った迷宮都市を歩く。
今日は日曜だから人がいっぱいだ。
丘の上まで見上げるほど建物が建って、娯楽に、冒険に、何でも揃う買い物の街でもある。
人が多いから料理屋、ホテル、カジノや酒場が林立し、みな忙しく働いているね。
観光地としても、ゼラビス迷宮都市は一級品なんだよ。
街の西側にゼラビス大聖堂はそそりたっている。
二百年前の大建築家が設計して建て始め、三十年前に完成したという、とても大きなテスラ神教の大聖堂だ。
尖塔が空に何本もにょきにょき生えていて神々しく、神様の座という感じがするね。
「混んでるから離れんなっ」
「解ったわ」
「了解っ」
「わかった」
大聖堂に入ろうという信者さんが列を成して、押すな押すなの大盛況だ。
銀のグリフォン団はフロルのレザーアーマーをそれぞれ握って離れまいとする。
しばらくして、ふっと圧力が消えるといつの間にか大聖堂の中に入っていた。
ちょっと息がつけるね。
「ハカセ、上を見てみな」
フロルが笑いを含んだ声で言った。
上を仰ぎ見る。
おお~~。
天井一杯に邪竜と戦う勇者の絵が描かれていた。
「巨匠ゲルニヒトの真筆だね、実際に目で見ると凄いなあ」
「俺も将来はあんな風に大物の魔物を倒すんだ」
「うん、フロルならやれるよ」
信者さんたちはホールにある椅子に座り出す。
運良く帰る所の家族連れの場所をチョリソーが躍り込んでゲットして、四人で座れる事となった。
盗賊は便利だなあ。
「私、結構、日曜ミサ好きなの」
「俺は嫌いだ、眠くなる」
「俺も俺も」
「えー、お話を聞いてると清浄な気持ちにならない~?」
「眠くなる」
「同上」
「んもう、子供なんだから、あんた達は、ハカセは?」
「私は、そうだね、説法の作られた遙か過去を思い浮かべるね」
「ハカセはインテリで素敵、あんた達は駄目」
と言っても、聖典の説話の年代を推し量って矛盾点を見つけたり、節の脱落を解釈したりで、エリシアが思っているほどロマンティックな感じではないのだが、そんな事は聞きたくは無いだろうから黙っていた。
テスラ神教が出来たのは、三千年前、前史魔導文明が滅びた直後くらいらしい。
奇しくもアセット魔法の成立と同じ頃なんだよね。
僧侶の使う神聖魔法もアセット系だし、何か関係があるのだろうか。
「それでは、日曜のミサを行います、みなさまご起立ねがいます」
温厚そうな神父さんの号令で、大聖堂の礼拝堂に居る信者さんたちが皆立ち上がった。
「聖歌斉唱」
パイプオルガンが鳴り、揃いの服をきた聖歌隊が歌い始めた。
信者の私たちも声を揃えて歌う。
礼拝堂に音が反響して神々しい響きがワアアアンと反響する。
久々だけど聖歌はいいね。
「着席願います」
一斉にみな座り込んだ。
「それでは聖女アグネス様のお言葉を頂きましょう」
神父さんの紹介で真っ白な聖女服を着た聖女アグネスさまがしずしずと歩いて来た。
思ったよりも若いね。
二十になるかならないかの美しい娘さんだ。
神々しいオーラをまとっていた。
神聖魔法の使い手で、死者蘇生を成功させたという噂もある。
彼女の長いベールの端を二人の子供が持っていて、一人がラトカであった。
「聖女さん、いつ見ても、きれー」
エリシアがうっとりと言った。
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