当て馬女子になったけど、自由に行きます

琥光

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2話

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今日はとうとう野薔薇学園に編入の日。みんなよりちょっと遅い時間に来ていいんだって。自己紹介するから。…そーは言われても、自己紹介なんて名前言うくらいだよなぁ…。なんか好きな食いもんでもいう?いうか。
自己紹介を考えていたら、いつの間にか教室の前についてしまった。先生が案内してくれんだっけ?…まあ、もう教室の前にいるんだけど。
ガヤガヤと教室がざわめき立っている音がする。うわぁ…緊張してきたぁ…
「お、山羽来たか。入っていいぞ。」
メチャクチャイケメンな先生が私を教室に入れてくれた。一歩足を踏み入れた瞬間、教室のざわめきが収まった。え、きつ。こわ。
「えーっと…山羽侑です。好きな食べ物はじゃがいも全般です。」
しーん…あれ。ミスった。誰も笑ってくんねぇんだけど。えぇ…むり…こわい…
「ははは!みんななんか質問してあげて」
先生、爽やかに笑ってもみんなそんなの…
「え!マジかっこよすぎて息止まってたわ!」
「え、スカート履いてるけど女子??」
「うわ!このクラスイケメン率高すぎだろ!?」
めちゃくちゃ盛り上がられた。てかイケメンって私が?嬉しいような嬉しくないような…
「はーい、落ち着こうか、じゃあ山羽の席はあそこね。」
あれ、先生質問は??そう言おうと思ったけど、指された席が窓際の一番うしろという特等席すぎて泣いた。神、??
そこで隣の男に話しかける。
「よろし…あ」
「お前…何処行ってやがった?」
私にうんと睨みをきかせてくる男。そいつは私が当て馬になるはずの幼馴染みでした。
てか何処行ってやがったって何?探してたの?
「久しぶりだね野上。何処行ってやがったって意味がわんない。普通に引っ越したしただけだよ。」
そう、私は小学校卒業とともに引っ越して、別の公立中学に入ったのだ。
「…なんで俺に言わなかった。」
めっちゃしんみりしてるじゃん。なんでやねん。いや、まあ敵同士でもあり、変な腐れ縁があったけど。
言わなかった理由ねぇ…。ただ、そう、単純に
「めんどかった。」
これに尽きた。
「は?」
「いや、だって私友達めっちゃ多かったからお別れパーティーみたいなん絶対されるじゃん?だからめんどかったから誰にも言わなかったんだわ。」
お別れパーティーってやったら私が悲しくなっちゃうから嫌で仕方なかった。だからせめて静かに引っ越そうと思って…。
「…そーかよ。」
そう言って野上はふいっと逆を向いてしまった。…いやなんかむず痒いなぁこの会話。全然俺様っぽくないし、なんなら昔から大分成長して落ち着いてるし。
こいつが隣でこの先会話持つかなぁ…
転入初日、初めて話した男は攻略対象者でした。
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