25 / 36
第一章 魔術学校編
第25話 選抜大会予選【3】
しおりを挟む
本日三度目の試合開始宣言の下、Cブロックの人達が一斉に声を上げる。
そして始まる試合は、予想だにしない展開を迎えていた。
「……ぐっ」
始まってわずか数秒、リンシアは満身創痍となっていた。
いや、正確にはとある男を除いた全てのCブロック参加者がと言うべきだろう。
────それは宣言直後の事だった。
「ヒャッァァハァァァァ!!!オラオラオラァ!!!」
両手に爆発の魔術を展開し、それを四方八方へと投擲する。
それは着弾した瞬間に爆発し、周囲の参加者は為す術なく吹っ飛ばされるか無数の傷を与えていた。
「オラァ!全員吹っ飛べぇ!!!」
己の身すら巻き込みかねない爆風を巻き起こしながら、舞台上は土煙でいっぱいとなる。
煙が消えるそこには50人近くいた参加者がわずか10人となっていた。
とはいえ、残った人も怪我が酷かったりして状況は悲惨であった。
その男の名はガゼル。
炎を操る爆発の魔術を得意とする男だった。
開始早々今までと同じように広範囲の魔術を展開、その結果がこれである。
「くっ……なんて威力」
リンシアは満身創痍の身でありながら、何とか立ちあがりガゼルと相対した。
「おお、そこの女やるじゃねぇか! 俺様の爆発を受けてまだ立てるなんてよぉ!」
爆発魔術は火属性の魔術だ。
火力に特化した属性ということもあってかなりの被害をもたらした。
対してリンシアは水属性である、火との相性は良くも悪くもないと言ったところだ。
リンシアは普通に戦っても、もはや勝ち目は無いことを悟ると水魔術を展開していく。
『渦水旋環』
舞台めいっぱいに魔術を広げ、ギリギリまで展開し終えると舞台の中心に向かって吸い込まれる渦潮が発生した。
「この魔術は私以外を全て中心に寄せるわ」
「へっ! 集めてどうしろってんだよ」
そう言いながらガゼルは渦潮に巻き込まれながらも魔術を展開する。
『炎焼爆波・│過熱《アクセラレート》』
手のひらに出現させた火球はみるみるうちに小さくなり、小指の先程の大きさになるとその小さい範囲に魔力が収束を始めた。
「まずい!!」
レントが声を荒らげて立ち上がるが、この場において外部からの干渉は出来ない。
周りの人達はただ見ていることしか出来ないのだ。
レントの見立て通り、あの魔術は舞台上どころかこの会場ごと爆破できるレベルのものであった。
しかし、レントが分かっているならリンシアも分かっている。
魔術の練度はまだまだ彼女に劣るのだ。
そうしてガゼルは何とか完成させると発動させるために地面に落とした。
皆が予想してたであろう大爆発。
それが地面に触れた瞬間にこの場所は跡形もなくなる位の魔力はこもっていた。
──────シュボッ……
しかし、その結果と言えば何とも残念な結果だった。
手から離れて少ししたらその火球は水に触れたかのように萎み消えたのだ。
「無駄。この魔術発動中は火の魔術は不発になる」
「チィッ」
『渦水旋環』は渦潮の発生により足場の不安定を与える魔術だ。渦潮の方向は自由に操作可能で、中心に集めることだけでなく周囲に散らすことも出来る。
そして、最大の特徴は魔術展開中は火属性の魔術の発動が困難になるのだ。
必ず不発にできる訳ではなく、発動に必要な魔力がかなり上がることになる。
「ただの火球レベルならまだしも、そんな魔力の塊なんか人の身で使えるものじゃなくなる」
「くっ」
一気に形勢逆転に見えるが、リンシアは先程の攻撃で酷い怪我を負っている。
このままで遅延されていると負けるのは明白だろう。
しかし、いきなり救いとも思える声が炸裂する。
「そこまで! 終わりだ終わり!! 魔術展開をやめろ」
この声はレイスターだ。
いつの間にか決着が着いていた、というかリンシアの渦潮に巻き込まれて6人が脱落したのだ。
その結果舞台上に残ったのはリンシアにガゼル含めて4人となった。
「チッ、勝負は次に預けるぜ」
「望むところ」
ガゼルは苦戦しながらもそれでもほとんど無傷なのに対して、リンシアは身体中傷だらけだ。
本戦までに間に合わないとかなりキツそうだ。
「おかえり、リンシア」
「ん、ただいま」
「あいつ、強かったな」
爆発の魔術の連続使用に火力収束、そのうえリンシアの魔術に囚われながらも展開自体はできていた。
「あれは間違いなく脅威そのものだろうね」
「あぁ、魔力量は化け物のそれだろう」
「負けるかと思った」
初見であれを回避しろなんて無理な話だ。
それこそレントみたいに分身を最初から仕込んでいるくらいしかないだろう。
とはいえ、レント達は全員最後の5人に含まれているので無事本戦出場が決まった。
時間も夕暮れということもあり、締めの挨拶が終わったら夕食がてら作戦を立てる予定である。
「あー、ゴホン。予選おつかれさん。明後日から始める本戦選手は後から街の掲示板に貼り付けておく。対戦組み合わせについては当日行うから、それまでにどんなやつが相手になるかよく確認しておけ。以上だ」
それだけで話を終えると続々と参加者達は会場を去っていく。
本戦に行けたのか嬉しがってる人、はたまた行けなくて残念そうな人等色んな人がいる。
そうしているとコウと目が合って少し話す機会ができた。
「よぉ、レント」
「コウ先輩じゃないですか、どこで参加してたんですか?」
「俺はBだったよ。残念ながら負けちまったけどな、お前のあの触手みたいなやつに……」
「あぁ……」
コウはBブロックだったのだが、開幕雷を纏った蹴撃で応戦してたらしい。
しかし、背後からいきなりうねうねとした謎の攻撃を食らって雷が暴発、吹っ飛んで舞台から落ちたみたいだ。
「それは……残念でしたね」
「お前んところ全員残ってんだろ? レントの枠欲しかったぜ」
「あ……はは……」
なんとも言えないレントはただ流すしか方法が見つからなかった。
「おっと、いけねぇこれから用事あんだった。レント頑張れよ! 見に行くからな」
「あ、はい」
そう言って去っていくコウはなんとも悔しそうな表情をしていたが、悟らせまいとその去る背中が語っていた。
──学校内の食堂にて作戦会議が行われていた。
「1番の壁はやっぱ今日の爆発男だろうね。ガゼル? だっけか」
「そうだね、見たところ1番の火力所はそこだと思うよ」
「巨人も危なそう」
巨人と言えばミラと共闘していたあの男だ。
そう言えばABCのどれにも巨人が1人ずついたので、おそらくその3人でチームなのだろう。
「僕と戦ったのは攻撃が強いと言っていたね。確かにあれは強かった、攻撃一辺倒とはいえあれは無双と言って差し支えないだろう」
「私の時は補助に徹していた。でも最初の爆発で舞台から落ちてた」
レントの時はやたら硬い巨人がいた事を覚えている。
いくら暴発を促してもビクともしないのだ。
もはやあれは岩だろうとさえ思っていたことを思い出す。
「そうか、あの男はやっぱり防御特化だったんだね。うーん、腕がなるなぁ」
ミラも防御に特化しているだけあって、少し対抗心が芽生えているようだ。
「私は本戦では少し本気出す。今度こそ油断しない 」
「あはは、あれは痛そうだった」
リンシアの傷はもう消えており、痛みもないそうだ。
あの後、大会運営の救護室に運ばれて回復を受けたのだろう。
「それと、僕らと同じようにみんなまだ力を温存してるはずだ」
「そうだね、最初から手の内全部見せるほど強い訳じゃないもんね」
「私は本戦で最初から飛ばす」
リンシアはこのチーム最大の火力要員だ。
これからの対戦相手の対策含めて最初から飛ばした方がいいだろう。
その方が防御に徹してくれそうだ。
「その隙に僕が妨害しよう」
「じゃあ、僕は攻撃全てを止めればいいね」
奇しくもいつもと同じ陣形では、とレントは思うがこれがこのチームの恩恵がいちばん大きいのだ。仕方ない。
「他にも妖精族だったり、小人族、それと学校の先輩もいるようだ」
「コウ先輩以外にもいたのか」
「いた。第3学年」
「それは見ておくべきだった……」とレントが少し後悔していると、思わぬ人から声をかけられた。
「レント 勝てた?」
「あぁ、ガルドじゃないか。うん、何とかね」
「おめでと これあげる」
そういって手渡されたのは鳥の羽をあしらったブレスレットだった。
なんだこれ、とレントはガルドに大して説明を求めるとライゴウが口を挟んできた。
「それは我らハーティア族が友の勝利の為に送る魔導具だ。受け取ってくれないか」
「風の魔術 少し耐えられる」
どうやら風魔術に対して耐性が着く魔導具のようだ。
「そういうことならありがたく貰っておくよ。ありがとう、ガルド」
「いい レント 期待してる」
「第1学年では主達のチームしか残れなかったのでな、我ら全員期待しているのだ」
「これは、責任重大だね。レント」
「あぁ、そうだね」
貰ったブレスレットを早速身につけ、せっかくなのでライゴウとガルドも一緒に夕食を食べた。
「とりあえず明日は大会に備えて休養としようか、リンシアも怪我してたし」
「そうだね、僕も用事あるからその方がいいかな」
「ん」
レントは明日すこし調べ物をしたいと思っていたのでちょうど良かった。
どうにもあの爆発男──ガゼルのことが気になるのだ。
「じゃあ、夕食も終わった事だし解散でいいかな」
「うん」
「じゃあ明後日また会おうか」
そうして5人はそれぞれの部屋に戻ることになった。
──────────────────
「ヒィーーーハハハァッ!! 楽しいねぇ! アァン??」
その夜、どこかの平原で不完全燃焼気味のある男が連続でぶっぱなしていた。
「ハァ……ハァ……俺様がやるぜやるぜやってやるぜぇ、なぁ?」
その不気味で狂った声は夜空に響き渡り、返ってくることの無い決意をあらわにしていた。
「リダンの息子、レントくんよぉ……」
そして始まる試合は、予想だにしない展開を迎えていた。
「……ぐっ」
始まってわずか数秒、リンシアは満身創痍となっていた。
いや、正確にはとある男を除いた全てのCブロック参加者がと言うべきだろう。
────それは宣言直後の事だった。
「ヒャッァァハァァァァ!!!オラオラオラァ!!!」
両手に爆発の魔術を展開し、それを四方八方へと投擲する。
それは着弾した瞬間に爆発し、周囲の参加者は為す術なく吹っ飛ばされるか無数の傷を与えていた。
「オラァ!全員吹っ飛べぇ!!!」
己の身すら巻き込みかねない爆風を巻き起こしながら、舞台上は土煙でいっぱいとなる。
煙が消えるそこには50人近くいた参加者がわずか10人となっていた。
とはいえ、残った人も怪我が酷かったりして状況は悲惨であった。
その男の名はガゼル。
炎を操る爆発の魔術を得意とする男だった。
開始早々今までと同じように広範囲の魔術を展開、その結果がこれである。
「くっ……なんて威力」
リンシアは満身創痍の身でありながら、何とか立ちあがりガゼルと相対した。
「おお、そこの女やるじゃねぇか! 俺様の爆発を受けてまだ立てるなんてよぉ!」
爆発魔術は火属性の魔術だ。
火力に特化した属性ということもあってかなりの被害をもたらした。
対してリンシアは水属性である、火との相性は良くも悪くもないと言ったところだ。
リンシアは普通に戦っても、もはや勝ち目は無いことを悟ると水魔術を展開していく。
『渦水旋環』
舞台めいっぱいに魔術を広げ、ギリギリまで展開し終えると舞台の中心に向かって吸い込まれる渦潮が発生した。
「この魔術は私以外を全て中心に寄せるわ」
「へっ! 集めてどうしろってんだよ」
そう言いながらガゼルは渦潮に巻き込まれながらも魔術を展開する。
『炎焼爆波・│過熱《アクセラレート》』
手のひらに出現させた火球はみるみるうちに小さくなり、小指の先程の大きさになるとその小さい範囲に魔力が収束を始めた。
「まずい!!」
レントが声を荒らげて立ち上がるが、この場において外部からの干渉は出来ない。
周りの人達はただ見ていることしか出来ないのだ。
レントの見立て通り、あの魔術は舞台上どころかこの会場ごと爆破できるレベルのものであった。
しかし、レントが分かっているならリンシアも分かっている。
魔術の練度はまだまだ彼女に劣るのだ。
そうしてガゼルは何とか完成させると発動させるために地面に落とした。
皆が予想してたであろう大爆発。
それが地面に触れた瞬間にこの場所は跡形もなくなる位の魔力はこもっていた。
──────シュボッ……
しかし、その結果と言えば何とも残念な結果だった。
手から離れて少ししたらその火球は水に触れたかのように萎み消えたのだ。
「無駄。この魔術発動中は火の魔術は不発になる」
「チィッ」
『渦水旋環』は渦潮の発生により足場の不安定を与える魔術だ。渦潮の方向は自由に操作可能で、中心に集めることだけでなく周囲に散らすことも出来る。
そして、最大の特徴は魔術展開中は火属性の魔術の発動が困難になるのだ。
必ず不発にできる訳ではなく、発動に必要な魔力がかなり上がることになる。
「ただの火球レベルならまだしも、そんな魔力の塊なんか人の身で使えるものじゃなくなる」
「くっ」
一気に形勢逆転に見えるが、リンシアは先程の攻撃で酷い怪我を負っている。
このままで遅延されていると負けるのは明白だろう。
しかし、いきなり救いとも思える声が炸裂する。
「そこまで! 終わりだ終わり!! 魔術展開をやめろ」
この声はレイスターだ。
いつの間にか決着が着いていた、というかリンシアの渦潮に巻き込まれて6人が脱落したのだ。
その結果舞台上に残ったのはリンシアにガゼル含めて4人となった。
「チッ、勝負は次に預けるぜ」
「望むところ」
ガゼルは苦戦しながらもそれでもほとんど無傷なのに対して、リンシアは身体中傷だらけだ。
本戦までに間に合わないとかなりキツそうだ。
「おかえり、リンシア」
「ん、ただいま」
「あいつ、強かったな」
爆発の魔術の連続使用に火力収束、そのうえリンシアの魔術に囚われながらも展開自体はできていた。
「あれは間違いなく脅威そのものだろうね」
「あぁ、魔力量は化け物のそれだろう」
「負けるかと思った」
初見であれを回避しろなんて無理な話だ。
それこそレントみたいに分身を最初から仕込んでいるくらいしかないだろう。
とはいえ、レント達は全員最後の5人に含まれているので無事本戦出場が決まった。
時間も夕暮れということもあり、締めの挨拶が終わったら夕食がてら作戦を立てる予定である。
「あー、ゴホン。予選おつかれさん。明後日から始める本戦選手は後から街の掲示板に貼り付けておく。対戦組み合わせについては当日行うから、それまでにどんなやつが相手になるかよく確認しておけ。以上だ」
それだけで話を終えると続々と参加者達は会場を去っていく。
本戦に行けたのか嬉しがってる人、はたまた行けなくて残念そうな人等色んな人がいる。
そうしているとコウと目が合って少し話す機会ができた。
「よぉ、レント」
「コウ先輩じゃないですか、どこで参加してたんですか?」
「俺はBだったよ。残念ながら負けちまったけどな、お前のあの触手みたいなやつに……」
「あぁ……」
コウはBブロックだったのだが、開幕雷を纏った蹴撃で応戦してたらしい。
しかし、背後からいきなりうねうねとした謎の攻撃を食らって雷が暴発、吹っ飛んで舞台から落ちたみたいだ。
「それは……残念でしたね」
「お前んところ全員残ってんだろ? レントの枠欲しかったぜ」
「あ……はは……」
なんとも言えないレントはただ流すしか方法が見つからなかった。
「おっと、いけねぇこれから用事あんだった。レント頑張れよ! 見に行くからな」
「あ、はい」
そう言って去っていくコウはなんとも悔しそうな表情をしていたが、悟らせまいとその去る背中が語っていた。
──学校内の食堂にて作戦会議が行われていた。
「1番の壁はやっぱ今日の爆発男だろうね。ガゼル? だっけか」
「そうだね、見たところ1番の火力所はそこだと思うよ」
「巨人も危なそう」
巨人と言えばミラと共闘していたあの男だ。
そう言えばABCのどれにも巨人が1人ずついたので、おそらくその3人でチームなのだろう。
「僕と戦ったのは攻撃が強いと言っていたね。確かにあれは強かった、攻撃一辺倒とはいえあれは無双と言って差し支えないだろう」
「私の時は補助に徹していた。でも最初の爆発で舞台から落ちてた」
レントの時はやたら硬い巨人がいた事を覚えている。
いくら暴発を促してもビクともしないのだ。
もはやあれは岩だろうとさえ思っていたことを思い出す。
「そうか、あの男はやっぱり防御特化だったんだね。うーん、腕がなるなぁ」
ミラも防御に特化しているだけあって、少し対抗心が芽生えているようだ。
「私は本戦では少し本気出す。今度こそ油断しない 」
「あはは、あれは痛そうだった」
リンシアの傷はもう消えており、痛みもないそうだ。
あの後、大会運営の救護室に運ばれて回復を受けたのだろう。
「それと、僕らと同じようにみんなまだ力を温存してるはずだ」
「そうだね、最初から手の内全部見せるほど強い訳じゃないもんね」
「私は本戦で最初から飛ばす」
リンシアはこのチーム最大の火力要員だ。
これからの対戦相手の対策含めて最初から飛ばした方がいいだろう。
その方が防御に徹してくれそうだ。
「その隙に僕が妨害しよう」
「じゃあ、僕は攻撃全てを止めればいいね」
奇しくもいつもと同じ陣形では、とレントは思うがこれがこのチームの恩恵がいちばん大きいのだ。仕方ない。
「他にも妖精族だったり、小人族、それと学校の先輩もいるようだ」
「コウ先輩以外にもいたのか」
「いた。第3学年」
「それは見ておくべきだった……」とレントが少し後悔していると、思わぬ人から声をかけられた。
「レント 勝てた?」
「あぁ、ガルドじゃないか。うん、何とかね」
「おめでと これあげる」
そういって手渡されたのは鳥の羽をあしらったブレスレットだった。
なんだこれ、とレントはガルドに大して説明を求めるとライゴウが口を挟んできた。
「それは我らハーティア族が友の勝利の為に送る魔導具だ。受け取ってくれないか」
「風の魔術 少し耐えられる」
どうやら風魔術に対して耐性が着く魔導具のようだ。
「そういうことならありがたく貰っておくよ。ありがとう、ガルド」
「いい レント 期待してる」
「第1学年では主達のチームしか残れなかったのでな、我ら全員期待しているのだ」
「これは、責任重大だね。レント」
「あぁ、そうだね」
貰ったブレスレットを早速身につけ、せっかくなのでライゴウとガルドも一緒に夕食を食べた。
「とりあえず明日は大会に備えて休養としようか、リンシアも怪我してたし」
「そうだね、僕も用事あるからその方がいいかな」
「ん」
レントは明日すこし調べ物をしたいと思っていたのでちょうど良かった。
どうにもあの爆発男──ガゼルのことが気になるのだ。
「じゃあ、夕食も終わった事だし解散でいいかな」
「うん」
「じゃあ明後日また会おうか」
そうして5人はそれぞれの部屋に戻ることになった。
──────────────────
「ヒィーーーハハハァッ!! 楽しいねぇ! アァン??」
その夜、どこかの平原で不完全燃焼気味のある男が連続でぶっぱなしていた。
「ハァ……ハァ……俺様がやるぜやるぜやってやるぜぇ、なぁ?」
その不気味で狂った声は夜空に響き渡り、返ってくることの無い決意をあらわにしていた。
「リダンの息子、レントくんよぉ……」
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる