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第一章 魔術学校編
第12話 ヤマネコとタカ
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魔術訓練場でいきなり始まった模擬戦。
先輩たちとの戦いを、いきなりさせられることとなったレント達は諦めと呆れを見せながら進めていく。
そんな中、先鋒戦であるケットシー族のコレットとハーティア族のガルド。
この2人の戦いから始まることになった。
「んやぁぁぁ!!」
「ほっ」
高速で動き続けるコレットは間髪を入れずガルドへと攻撃を入れていた。
ガルドもこれには参っているようで、交わしたり受けたりすることは出来ても、攻めに転じることは難しそうだ。
「ちょっと つらい 俺も攻撃 する」
「させないッスよ!」
ガルドは強引に突破を図る。
その手に魔力を込めた時、コレットは見逃さずにその部分に攻撃を仕掛ける。
「ぐっ」
不発にさせられた魔術と、その部位に食らった攻撃に苦虫を噛まされるガルド
流石に上級生ということだろう。
戦闘経験値が天と地ほどの差がある。
「そろそろッスかね?」
「あぁ そろそろ うごく」
どうにかガルドは強引に突破する方法を取れたようで、それを試そうとしていた。
コレットもわかった上で戦っていたようだ。
『風鳴神』
風属性の幻影魔術のひとつだ。
その身を風と同化し、あらゆる攻撃をすり抜ける魔術。
「へー、そんな技も使えるんッスね」
コレットさ体術しか使っておらず、その上でその速さである。
流石に魔術抜きでは戦いづらそうだが……。
「何も苦手だからって使えないことは無いッスよ!」
それもそのはず、以前の試験にあったカラットも魔術を使えていたのだ。
(カラットにコレット……間違えそうだ)
戦いとは全く関係ないことをレントは思っていると、その戦闘は変わった動きを見せた。
『転身・影猫』
影と聞きレントは目を向けざるをえなかった。
「やはり、レント君は気になるわよね」
そう言うのはオリティアだ。
いつの間にかレントの横に来ていたらしい。
「ここ、選手控えだけどいいの?」
「いいのよ。許可は貰ってるわ」
そう言って指を向けたのは校長先生。
目が合うと頷き返された。
「まぁ、いいならいいんだけど……あれ、影魔術じゃないよね」
「そうね、あれは影魔術では無いわ。コレット先輩の魔術は天魔術だもの」
人は努力次第では自分の適した魔術以外も使用が可能だ。
ただし、ひとつの例外が存在する。
「相反する属性の魔術はどう足掻いても使用出来ないもんなぁ」
「えぇ、それがあるからあれは天魔術とは反対の影魔術では無いわ」
火魔術と風魔術、雷魔術と水魔術、天魔術と影魔術。
これら相反する属性は同じ使用者では覚えることが出来ず、我々人間の永遠の課題となっている。
「じゃああれはなんなんだろう」
影魔術ではない影を扱う魔術……?と言うべきだろうか。
後で本人に聞くしかないだろう。
そうこうしている内に戦況は変わり変わっていく。
転身・影猫を使用したコレットは、その姿を漆黒に染めていた。
「これはどうっスかね」
「!?」
驚いたことにコレットは自分の影に入り込んだ。
しかし、ガルドは落ち着いていた。
それもそのはず、ここは室内と言えども天井にはライトがある。
影に入ることが出来るとしても、その対象はそんなに多くないはずだ。
「影に入る レントみたいなこと するんだな」
「彼には……及ばなさそうっスけどね!!」
そういうが早いか、ガルドの影からコレットが出てきてガルドへと攻撃に転じる。
この魔術は影魔術にもある『影化』に似ている。
というか、やっていることがほとんど同じに見えた。
影魔術の達人なら、いつどこからでもどんな場所にだって瞬時に移動してのける。
なんなら、片腕のみなんて芸当も可能だ。
しかし、流石のガルドと言ったところだろう。
その手は読めていたようだ。
「甘い」
「うおっ!?」
ガルドは自分の影に向かって風の刃を飛ばす。
何とかギリギリで避けられたその攻撃は、地面をえぐらせられるほどには威力があったようだ。
「うーん、反応速度で勝てないっすか……。やるっスねぇ」
「そっちこそ これ 見たことある。それなかったら やられてた こっち」
恐らく練習してた時のレントの使った影化だろう。
違う魔術でも同じ事なら、対応も同じでいいということだ。
レントもこれには勉強になる。
(どうやら、影魔術に似た魔術系統があるらしい。相手の手札にないと思って戦うのは禁物だな)
レントはより一層油断なく戦うことにした。
しかし、ほぼ互角と思われたこの戦いに突然として終わりを迎えることになる。
2人が次が最後だと言わんばかりに構え始めたのだ。
「うーん、私たちじゃ1発の火力が出しにくいッスね」
「あぁ だから 次 終わらせる」
2人して魔術の準備をしている。
天魔術と言うのに興味があったレントは、ここで初めてその片鱗を見ることになる。
『煌天獄』
『凰嵐凪風』
方や光の奔流、方や風の暴力。
どちらも半人前の魔術士では行使することができないレベルの代物だ。
煌天獄は無数の光線を発生させ、暇を与えることなく打ち続ける魔術。
無数あるとはいえ1本あたりのダメージは計り知れない。
当たりさえすればその部分が焼け焦げて蒸発するのだ。
凰嵐凪風は九方向からの竜巻の攻撃。
周囲を嵐と変え、逃げ場所すら与えずに風に切り刻まれる技だ。
こちらも当たって痛いでは済まない。
身体中ズタズタに刻まれた挙句、上空に吹っ飛ばされるのだ。
そんな技が出てきたからか教師たちは焦ったが、誰も止めることはしなかった。
放たれたふたつの魔術は激突し、激しい魔力衝突を繰り返しながら進もうとする。
────そして、決着となる。
その場に立っていたのは──コレットだった。
「残念」
「危なかったッス……」
その身をボロボロにしながらも何とか光線を打ち続け、なんとか勝利したようだ。
とはいえ、勝ちは勝ち。
ひとまず先鋒戦は先輩チームの勝利に終わったようだ。
「さて、ガルド。手は必要かい?」
レントはガルドのところまで行き、手を差し伸べた。
「ありがとう」
素直に手を取ったガルドは、残念そうに席へと戻った。
「うむ! とりあえず先鋒戦は先鋒チーム、コレットの勝利とする! これより荒れた会場を整備する時間とする。少しの間、待っているように」
レントはこの時間にコレットの元へと向かっていった。
「ん?やぁ、レントくん。私に何か用ッスか?」
「えぇ。さっきの影の魔術を聞きたくて」
あぁ、とコレットは納得のいった表情を作る。
「あれはわかってると思うけど影魔術じゃないッス。あれは、周囲の光を利用して自らに影を作って使う魔術ッス」
「えっ」
それでは影魔術のアイデンティティが失われてしまわないかと思った。
「あぁ、影魔術には足元にも及ばないッスよ? 光と言っても自然光じゃないと使えないッス。そしてそれが弱ければ弱いほど制約が重くなるッス」
「自然光……」
そう呟いたレントは訓練所の天井を見上げる。
そこに付いているのは魔術由来の魔術光だ。
間違っても自然光ではない。
「一応、この訓練場にも太陽光が降り注いでるッス。ほら」
そう指し示す先は訓練場に着いている窓だった。
あんな小さく、魔術光に上書きされてしまうようなレベルの光でも使えることに驚いた。
「制約が重すぎたッス」
そう言いながら、自分の足元にある影を今度を指し示した。
「この光の量では、そこまで長い間潜れないしそんなに離れた位置に行くことも出来ないッス。今の光なら、せいぜい3mで時間も5秒がいいとこッス」
あの時にあのタイミングで出たのは、単にそんなに潜っていられないからだったのかとレントは振り返る。
「これなら影魔術としてはまだまだって感じかな」
「仕方ないッス。影魔術じゃないッスから」
その性質上、夜や暗闇にこそ輝く影魔術だが彼女の使い方ではその時には使えないって事だ。
レントは少しホッとした。
「さて、次の試合もあるッスから行ってくるッス」
「はい、こちらは今度は負けませんよ」
話してる内に整備が整ったようで、2人は持ち場に戻ることにした。
次の対戦相手もコレットだ。
流石に手の内のわかってる相手に負けるほど、僕達は弱くないだろう。とレントは思っているが、果たしてどうなるだろうか。
自分の持ち場に戻ったレントは、次誰が出るのか聞いていた。
「次鋒だから、アガーテだ」
ライゴウが教えてくれたが、少し意外だった。
てっきり中堅なのかなとでも思っていたのだ。
「確かに、私がこの意味不明な無口と筋肉ダルマに魔術で劣っているとは思いませんわ! ですけれど、応用力であったり経験であったりでまだまだ至らないのです。それもあってかこの順番にしてもらいましたわ」
「なるほどなぁ。ところでアガーテはその銃を使うの?」
レントはアガーテの腰に付いている銃を指さして聞いてみた。
「えぇ。この愛銃マックスは私の唯一の武器ですわ。この中を経由させて私の魔術を使うんですの」
「へぇ」
アガーテの持つその銃をレントはまじまじと眺めて観察をしている。
金属に見えて金属らしからぬ光沢感、そして派手にならない程度にあしらった金装飾、何よりも気になるのは少し小ぶりな狙撃銃のような見た目をしている事だ。
「その狙撃銃みたいな見た目で接近した相手を狙えるの?」
「ふふっ、それは見てのお楽しみですわよ」
そう言われたら、より気にはなるがそうしなくちゃ見れなそうなので対戦相手でも見ておくことにした。
(近距離主体のコレットと、銃撃による攻撃のアガーテ。遠距離主体にみえるアガーテの獲物は、お楽しみと言うに対策がありそうだ。また新しい戦いが見れそうだ)
「さて! そろそろ先鋒vs次鋒の第2回戦といこうじゃないか! 前に出るといい」
「怪我は治してもらったからまだまだ余裕はあるッス。頑張るッスよ」
「私は連戦で倒せるほど甘くは無いですわよ!」
2人の意気込みは十分のようだ。
「よし、出揃ったな。では、始め!」
────この戦い。レントはこの人生で1番と言っていほど珍しいものが見れることになる。
先輩たちとの戦いを、いきなりさせられることとなったレント達は諦めと呆れを見せながら進めていく。
そんな中、先鋒戦であるケットシー族のコレットとハーティア族のガルド。
この2人の戦いから始まることになった。
「んやぁぁぁ!!」
「ほっ」
高速で動き続けるコレットは間髪を入れずガルドへと攻撃を入れていた。
ガルドもこれには参っているようで、交わしたり受けたりすることは出来ても、攻めに転じることは難しそうだ。
「ちょっと つらい 俺も攻撃 する」
「させないッスよ!」
ガルドは強引に突破を図る。
その手に魔力を込めた時、コレットは見逃さずにその部分に攻撃を仕掛ける。
「ぐっ」
不発にさせられた魔術と、その部位に食らった攻撃に苦虫を噛まされるガルド
流石に上級生ということだろう。
戦闘経験値が天と地ほどの差がある。
「そろそろッスかね?」
「あぁ そろそろ うごく」
どうにかガルドは強引に突破する方法を取れたようで、それを試そうとしていた。
コレットもわかった上で戦っていたようだ。
『風鳴神』
風属性の幻影魔術のひとつだ。
その身を風と同化し、あらゆる攻撃をすり抜ける魔術。
「へー、そんな技も使えるんッスね」
コレットさ体術しか使っておらず、その上でその速さである。
流石に魔術抜きでは戦いづらそうだが……。
「何も苦手だからって使えないことは無いッスよ!」
それもそのはず、以前の試験にあったカラットも魔術を使えていたのだ。
(カラットにコレット……間違えそうだ)
戦いとは全く関係ないことをレントは思っていると、その戦闘は変わった動きを見せた。
『転身・影猫』
影と聞きレントは目を向けざるをえなかった。
「やはり、レント君は気になるわよね」
そう言うのはオリティアだ。
いつの間にかレントの横に来ていたらしい。
「ここ、選手控えだけどいいの?」
「いいのよ。許可は貰ってるわ」
そう言って指を向けたのは校長先生。
目が合うと頷き返された。
「まぁ、いいならいいんだけど……あれ、影魔術じゃないよね」
「そうね、あれは影魔術では無いわ。コレット先輩の魔術は天魔術だもの」
人は努力次第では自分の適した魔術以外も使用が可能だ。
ただし、ひとつの例外が存在する。
「相反する属性の魔術はどう足掻いても使用出来ないもんなぁ」
「えぇ、それがあるからあれは天魔術とは反対の影魔術では無いわ」
火魔術と風魔術、雷魔術と水魔術、天魔術と影魔術。
これら相反する属性は同じ使用者では覚えることが出来ず、我々人間の永遠の課題となっている。
「じゃああれはなんなんだろう」
影魔術ではない影を扱う魔術……?と言うべきだろうか。
後で本人に聞くしかないだろう。
そうこうしている内に戦況は変わり変わっていく。
転身・影猫を使用したコレットは、その姿を漆黒に染めていた。
「これはどうっスかね」
「!?」
驚いたことにコレットは自分の影に入り込んだ。
しかし、ガルドは落ち着いていた。
それもそのはず、ここは室内と言えども天井にはライトがある。
影に入ることが出来るとしても、その対象はそんなに多くないはずだ。
「影に入る レントみたいなこと するんだな」
「彼には……及ばなさそうっスけどね!!」
そういうが早いか、ガルドの影からコレットが出てきてガルドへと攻撃に転じる。
この魔術は影魔術にもある『影化』に似ている。
というか、やっていることがほとんど同じに見えた。
影魔術の達人なら、いつどこからでもどんな場所にだって瞬時に移動してのける。
なんなら、片腕のみなんて芸当も可能だ。
しかし、流石のガルドと言ったところだろう。
その手は読めていたようだ。
「甘い」
「うおっ!?」
ガルドは自分の影に向かって風の刃を飛ばす。
何とかギリギリで避けられたその攻撃は、地面をえぐらせられるほどには威力があったようだ。
「うーん、反応速度で勝てないっすか……。やるっスねぇ」
「そっちこそ これ 見たことある。それなかったら やられてた こっち」
恐らく練習してた時のレントの使った影化だろう。
違う魔術でも同じ事なら、対応も同じでいいということだ。
レントもこれには勉強になる。
(どうやら、影魔術に似た魔術系統があるらしい。相手の手札にないと思って戦うのは禁物だな)
レントはより一層油断なく戦うことにした。
しかし、ほぼ互角と思われたこの戦いに突然として終わりを迎えることになる。
2人が次が最後だと言わんばかりに構え始めたのだ。
「うーん、私たちじゃ1発の火力が出しにくいッスね」
「あぁ だから 次 終わらせる」
2人して魔術の準備をしている。
天魔術と言うのに興味があったレントは、ここで初めてその片鱗を見ることになる。
『煌天獄』
『凰嵐凪風』
方や光の奔流、方や風の暴力。
どちらも半人前の魔術士では行使することができないレベルの代物だ。
煌天獄は無数の光線を発生させ、暇を与えることなく打ち続ける魔術。
無数あるとはいえ1本あたりのダメージは計り知れない。
当たりさえすればその部分が焼け焦げて蒸発するのだ。
凰嵐凪風は九方向からの竜巻の攻撃。
周囲を嵐と変え、逃げ場所すら与えずに風に切り刻まれる技だ。
こちらも当たって痛いでは済まない。
身体中ズタズタに刻まれた挙句、上空に吹っ飛ばされるのだ。
そんな技が出てきたからか教師たちは焦ったが、誰も止めることはしなかった。
放たれたふたつの魔術は激突し、激しい魔力衝突を繰り返しながら進もうとする。
────そして、決着となる。
その場に立っていたのは──コレットだった。
「残念」
「危なかったッス……」
その身をボロボロにしながらも何とか光線を打ち続け、なんとか勝利したようだ。
とはいえ、勝ちは勝ち。
ひとまず先鋒戦は先輩チームの勝利に終わったようだ。
「さて、ガルド。手は必要かい?」
レントはガルドのところまで行き、手を差し伸べた。
「ありがとう」
素直に手を取ったガルドは、残念そうに席へと戻った。
「うむ! とりあえず先鋒戦は先鋒チーム、コレットの勝利とする! これより荒れた会場を整備する時間とする。少しの間、待っているように」
レントはこの時間にコレットの元へと向かっていった。
「ん?やぁ、レントくん。私に何か用ッスか?」
「えぇ。さっきの影の魔術を聞きたくて」
あぁ、とコレットは納得のいった表情を作る。
「あれはわかってると思うけど影魔術じゃないッス。あれは、周囲の光を利用して自らに影を作って使う魔術ッス」
「えっ」
それでは影魔術のアイデンティティが失われてしまわないかと思った。
「あぁ、影魔術には足元にも及ばないッスよ? 光と言っても自然光じゃないと使えないッス。そしてそれが弱ければ弱いほど制約が重くなるッス」
「自然光……」
そう呟いたレントは訓練所の天井を見上げる。
そこに付いているのは魔術由来の魔術光だ。
間違っても自然光ではない。
「一応、この訓練場にも太陽光が降り注いでるッス。ほら」
そう指し示す先は訓練場に着いている窓だった。
あんな小さく、魔術光に上書きされてしまうようなレベルの光でも使えることに驚いた。
「制約が重すぎたッス」
そう言いながら、自分の足元にある影を今度を指し示した。
「この光の量では、そこまで長い間潜れないしそんなに離れた位置に行くことも出来ないッス。今の光なら、せいぜい3mで時間も5秒がいいとこッス」
あの時にあのタイミングで出たのは、単にそんなに潜っていられないからだったのかとレントは振り返る。
「これなら影魔術としてはまだまだって感じかな」
「仕方ないッス。影魔術じゃないッスから」
その性質上、夜や暗闇にこそ輝く影魔術だが彼女の使い方ではその時には使えないって事だ。
レントは少しホッとした。
「さて、次の試合もあるッスから行ってくるッス」
「はい、こちらは今度は負けませんよ」
話してる内に整備が整ったようで、2人は持ち場に戻ることにした。
次の対戦相手もコレットだ。
流石に手の内のわかってる相手に負けるほど、僕達は弱くないだろう。とレントは思っているが、果たしてどうなるだろうか。
自分の持ち場に戻ったレントは、次誰が出るのか聞いていた。
「次鋒だから、アガーテだ」
ライゴウが教えてくれたが、少し意外だった。
てっきり中堅なのかなとでも思っていたのだ。
「確かに、私がこの意味不明な無口と筋肉ダルマに魔術で劣っているとは思いませんわ! ですけれど、応用力であったり経験であったりでまだまだ至らないのです。それもあってかこの順番にしてもらいましたわ」
「なるほどなぁ。ところでアガーテはその銃を使うの?」
レントはアガーテの腰に付いている銃を指さして聞いてみた。
「えぇ。この愛銃マックスは私の唯一の武器ですわ。この中を経由させて私の魔術を使うんですの」
「へぇ」
アガーテの持つその銃をレントはまじまじと眺めて観察をしている。
金属に見えて金属らしからぬ光沢感、そして派手にならない程度にあしらった金装飾、何よりも気になるのは少し小ぶりな狙撃銃のような見た目をしている事だ。
「その狙撃銃みたいな見た目で接近した相手を狙えるの?」
「ふふっ、それは見てのお楽しみですわよ」
そう言われたら、より気にはなるがそうしなくちゃ見れなそうなので対戦相手でも見ておくことにした。
(近距離主体のコレットと、銃撃による攻撃のアガーテ。遠距離主体にみえるアガーテの獲物は、お楽しみと言うに対策がありそうだ。また新しい戦いが見れそうだ)
「さて! そろそろ先鋒vs次鋒の第2回戦といこうじゃないか! 前に出るといい」
「怪我は治してもらったからまだまだ余裕はあるッス。頑張るッスよ」
「私は連戦で倒せるほど甘くは無いですわよ!」
2人の意気込みは十分のようだ。
「よし、出揃ったな。では、始め!」
────この戦い。レントはこの人生で1番と言っていほど珍しいものが見れることになる。
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