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四、五月十三日 水曜日 七時
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高広が店へ降りていくと、サヤカが店内を掃除していた。しかも、カウンターにスツールを上げて本式にモップがけを。
高広はあくびをかみ殺しながら挨拶した。
「おはよう。早いね」
「あ。おはようございます」
サヤカはモップを抱いておじぎした。案外育ちがいいのかもしれない。
高広はカウンターの中へ入り、冷蔵庫から卵を五個取り出した。湯を沸かしてコーヒーを淹れる。決まりきった朝のルーティンだ。
サヤカはモップを片付け、スツールを下ろして台を拭き始めた。開店業務が分かっている。
「すごいね、お店の仕事、よく分かってるね」
高広がそう褒めると、サヤカはうっすら頬を赤くして答えた。
「バイトしてたので」
「ふーん、何屋さん?」
「洋食屋さんです。『スパカツ』が人気で」
「スパカツ?」
「ええ。聞いたことありません? スパゲッティの上に豚カツが載っていて、デミグラスソースがかかってて」
「うん、知らない」
高広はドリッパーに湯滴を慎重に落とした。
「僕、もともとコッチのひとじゃないの。祖父が死んでね、この店を引き継ぐことになって、引っ越してきたの」
コーヒーの香りに引かれて、ペタペタと裸足が階段を下りてきた。
「マスター、俺にもコーヒーちょーだぁい」
くたびれたスウェットの裾に手を入れ、良平は腹をボリボリ掻いている。髪はてんでバラバラな方向へ跳ねていた。
「良くん、もうちょっと行儀よく」
「あぁ?」
でかいあくびをした良平は目をむいた。
「あ、あんた」
「おはようございます」
サヤカは澄まして挨拶をした。良平はこの闖入者の存在を忘れていたらしい。部屋着でも一応衣服を身につけてくれていてよかった。
良平は無言でマグカップを用意し、高広の淹れたコーヒーを注いだ。その横で、高広がタマネギを刻む。
良平はマグカップをひとつと牛乳の一Lパックを、ドンとカウンターの上に置いた。砂糖壺を押しやりながら「好きなように飲んで」とサヤカに言った。
「いただきます」
サヤカは微かに頭を下げた。良平はそれには構わず、半開きの眠そうな目のまま冷蔵庫から数種の野菜を取り出して水に漬け、皿を並べた。
高広が具を刻み終わったら、自然な動きでまな板を洗い、今度は自分が人参を細く刻んだ。高広は小さなボウルに調味料を合わせ、別のボウルに卵を割り入れた。
コーヒーがなみなみ入ったマグカップを時折傾けながら、打ち合わせもなく朝食の準備を進めるふたりを、サヤカはカウンターに肘をついて眺めていた。
ジュワーとよい音がして、熱したフライパンにタマネギが投入された。次に鶏肉、それからご飯。
手際よくフライパンを返す高広の手つきは様になっていた。プロの域に近付いている。炒めたご飯を一旦よけて、今度は別のフライパンに卵を垂らした。
「はい、どうぞ。召し上がれ」
高広は手早くオムライスを三つ作った。それと同時に良平がサラダをカウンターに上げる。
「うーん、やっぱり同じ味にしかならない」
高広はオムライスをひと口味わって肩を落とした。
「しょーがないでしょ。同じ作り方してんだから」
良平は容赦ない。どっちがバイトなのか。
「だよねえ。あー、タイムマシンがあればなあ。じいさんの作ってるとこ、ガン見しに行ってやるのに」
「ドラ●もんは今頃、●び太にかかりきりなんじゃないですかね」
国民的コンテンツを引き合いに出して、良平はもぐもぐと高広の作ったオムライスを頬ばる。
「別に、充分おいしいじゃない。俺、好きだけどな」
良平は高広の背後から、その向こうのサヤカに声をかけた。
「なあ、あんたもそう思わない?」
「え? あたし?」
突然話しかけられて、サヤカは目をバチくりさせた。サヤカはちょっと考えて、言った。
「そうね、もちろんおいしいんだけど」
「けど?」
高広はサヤカの方に向き直った。サヤカはその様子に驚いて、口ごもった。
「け、けど。ちょ、ちょっと物足りないと言われればそう感じなくも……」
「ない、か」
高広は考え込んだ。
良平が話の流れ上、しぶしぶサヤカに状況を説明した。
「前のマスターがさ、あ、あんたとこのひとのおじいちゃんだけど、前のマスターがいたとき、この店の人気メニューがオムライスだったんだって。フードに力を入れてる店じゃなかったから、食事メニューはオムライスの他はトーストくらいだったみたいなんだけど、えらくおいしかったって常連さんたちが」
サヤカはサラダをつつきながらうなずいた。
「で、みんなの記憶を頼りに、その味を再現しようと試みてるんだけど。肝腎のこのひとはおじいさんがオムライス作ってるとこを見たわけじゃないし、そもそも食べたことだってない訳で」
「それは難しいわね」
「そう」
良平は今度は高広に言った。
「だからさ、記憶は美化されていくじゃん。常連さんたちの舌だって、それほど当てにならないのかもしれないよ? そんなに気にしなくていいんじゃないですか?」
「そうかなあ」
「……分かんないけど」
良平は尻すぼみになった。高広は言った。
「でも、サヤカさんも、何か物足りないと思ったんだよね。ってことは、やっぱりオムライスとして何か足りないんだよ」
それは何なのか。それさえ分かれば人気メニューが再現できる。人気メニューが復活すれば、常連さんたちは喜ぶだろう。
「喫茶とらじゃ」は一応、駅から徒歩五分だ。街の中心へ通う住人たちが、周りにたくさん住んでいる。そうした住民相手の商店が通り沿いに並んでいる。昔に比べさびれたとはいえ、まだまだ商圏人口は多い方だ。
オムライスとサラダのブランチに、おいしいコーヒーが飲めるとあれば、新規客を誘引できるかもしれない。それが目論見なのだが。
食事が済み、サヤカが皿を回収して洗い始めた。開店まで時間に余裕がある高広と良平は、そのままカウンターでコーヒーを飲んでいた。
「結局、昨日酒井さんが持ってきた物件って、どんな条件だったんですか?」
「ああ、あれね。そうだ、そっちの問題もあったんだ」
高広は良平に、昨日常連さんたちには聞かせなかった金額を伝えた。
「はあ。結構な額ですね」
「そう。結構な額なの」
払えない金額ではなかった。「喫茶とらじゃ」の収益は微々たるものだが、会社員時代、高広は結婚もせず旅にも出ず、忙しすぎて金をつかう当てがなかったので、何年分ものボーナスがほぼ手付かずで残っていた。
祖父の葬式は高広が出したが、ちょうど葬式代くらいの残高が祖父の口座にあったので、貯金には手を付けずに済んでいる。
「虎之介さんのお金じゃないからね。それは僕が自分で働いて貯めたお金」
サヤカが聞き耳を立てていたので、高広はそう釘を刺した。
「何なら遺産分割協議書見せようか?」
サヤカの来訪の目的は、祖父の遺産だった。「金は要らない、台本を寄こせ」なんて風変わりなことを言ってきたが、台本なんて見たこともない。難癖をつけて、結局最終目的は金銭なのかもしれない。
「いいえ、お金がなかったことは分かっていますから」
「君の言う『台本』だってないけどねえ……」
はあ、本当に面倒くさい。
高広はあくびをかみ殺しながら挨拶した。
「おはよう。早いね」
「あ。おはようございます」
サヤカはモップを抱いておじぎした。案外育ちがいいのかもしれない。
高広はカウンターの中へ入り、冷蔵庫から卵を五個取り出した。湯を沸かしてコーヒーを淹れる。決まりきった朝のルーティンだ。
サヤカはモップを片付け、スツールを下ろして台を拭き始めた。開店業務が分かっている。
「すごいね、お店の仕事、よく分かってるね」
高広がそう褒めると、サヤカはうっすら頬を赤くして答えた。
「バイトしてたので」
「ふーん、何屋さん?」
「洋食屋さんです。『スパカツ』が人気で」
「スパカツ?」
「ええ。聞いたことありません? スパゲッティの上に豚カツが載っていて、デミグラスソースがかかってて」
「うん、知らない」
高広はドリッパーに湯滴を慎重に落とした。
「僕、もともとコッチのひとじゃないの。祖父が死んでね、この店を引き継ぐことになって、引っ越してきたの」
コーヒーの香りに引かれて、ペタペタと裸足が階段を下りてきた。
「マスター、俺にもコーヒーちょーだぁい」
くたびれたスウェットの裾に手を入れ、良平は腹をボリボリ掻いている。髪はてんでバラバラな方向へ跳ねていた。
「良くん、もうちょっと行儀よく」
「あぁ?」
でかいあくびをした良平は目をむいた。
「あ、あんた」
「おはようございます」
サヤカは澄まして挨拶をした。良平はこの闖入者の存在を忘れていたらしい。部屋着でも一応衣服を身につけてくれていてよかった。
良平は無言でマグカップを用意し、高広の淹れたコーヒーを注いだ。その横で、高広がタマネギを刻む。
良平はマグカップをひとつと牛乳の一Lパックを、ドンとカウンターの上に置いた。砂糖壺を押しやりながら「好きなように飲んで」とサヤカに言った。
「いただきます」
サヤカは微かに頭を下げた。良平はそれには構わず、半開きの眠そうな目のまま冷蔵庫から数種の野菜を取り出して水に漬け、皿を並べた。
高広が具を刻み終わったら、自然な動きでまな板を洗い、今度は自分が人参を細く刻んだ。高広は小さなボウルに調味料を合わせ、別のボウルに卵を割り入れた。
コーヒーがなみなみ入ったマグカップを時折傾けながら、打ち合わせもなく朝食の準備を進めるふたりを、サヤカはカウンターに肘をついて眺めていた。
ジュワーとよい音がして、熱したフライパンにタマネギが投入された。次に鶏肉、それからご飯。
手際よくフライパンを返す高広の手つきは様になっていた。プロの域に近付いている。炒めたご飯を一旦よけて、今度は別のフライパンに卵を垂らした。
「はい、どうぞ。召し上がれ」
高広は手早くオムライスを三つ作った。それと同時に良平がサラダをカウンターに上げる。
「うーん、やっぱり同じ味にしかならない」
高広はオムライスをひと口味わって肩を落とした。
「しょーがないでしょ。同じ作り方してんだから」
良平は容赦ない。どっちがバイトなのか。
「だよねえ。あー、タイムマシンがあればなあ。じいさんの作ってるとこ、ガン見しに行ってやるのに」
「ドラ●もんは今頃、●び太にかかりきりなんじゃないですかね」
国民的コンテンツを引き合いに出して、良平はもぐもぐと高広の作ったオムライスを頬ばる。
「別に、充分おいしいじゃない。俺、好きだけどな」
良平は高広の背後から、その向こうのサヤカに声をかけた。
「なあ、あんたもそう思わない?」
「え? あたし?」
突然話しかけられて、サヤカは目をバチくりさせた。サヤカはちょっと考えて、言った。
「そうね、もちろんおいしいんだけど」
「けど?」
高広はサヤカの方に向き直った。サヤカはその様子に驚いて、口ごもった。
「け、けど。ちょ、ちょっと物足りないと言われればそう感じなくも……」
「ない、か」
高広は考え込んだ。
良平が話の流れ上、しぶしぶサヤカに状況を説明した。
「前のマスターがさ、あ、あんたとこのひとのおじいちゃんだけど、前のマスターがいたとき、この店の人気メニューがオムライスだったんだって。フードに力を入れてる店じゃなかったから、食事メニューはオムライスの他はトーストくらいだったみたいなんだけど、えらくおいしかったって常連さんたちが」
サヤカはサラダをつつきながらうなずいた。
「で、みんなの記憶を頼りに、その味を再現しようと試みてるんだけど。肝腎のこのひとはおじいさんがオムライス作ってるとこを見たわけじゃないし、そもそも食べたことだってない訳で」
「それは難しいわね」
「そう」
良平は今度は高広に言った。
「だからさ、記憶は美化されていくじゃん。常連さんたちの舌だって、それほど当てにならないのかもしれないよ? そんなに気にしなくていいんじゃないですか?」
「そうかなあ」
「……分かんないけど」
良平は尻すぼみになった。高広は言った。
「でも、サヤカさんも、何か物足りないと思ったんだよね。ってことは、やっぱりオムライスとして何か足りないんだよ」
それは何なのか。それさえ分かれば人気メニューが再現できる。人気メニューが復活すれば、常連さんたちは喜ぶだろう。
「喫茶とらじゃ」は一応、駅から徒歩五分だ。街の中心へ通う住人たちが、周りにたくさん住んでいる。そうした住民相手の商店が通り沿いに並んでいる。昔に比べさびれたとはいえ、まだまだ商圏人口は多い方だ。
オムライスとサラダのブランチに、おいしいコーヒーが飲めるとあれば、新規客を誘引できるかもしれない。それが目論見なのだが。
食事が済み、サヤカが皿を回収して洗い始めた。開店まで時間に余裕がある高広と良平は、そのままカウンターでコーヒーを飲んでいた。
「結局、昨日酒井さんが持ってきた物件って、どんな条件だったんですか?」
「ああ、あれね。そうだ、そっちの問題もあったんだ」
高広は良平に、昨日常連さんたちには聞かせなかった金額を伝えた。
「はあ。結構な額ですね」
「そう。結構な額なの」
払えない金額ではなかった。「喫茶とらじゃ」の収益は微々たるものだが、会社員時代、高広は結婚もせず旅にも出ず、忙しすぎて金をつかう当てがなかったので、何年分ものボーナスがほぼ手付かずで残っていた。
祖父の葬式は高広が出したが、ちょうど葬式代くらいの残高が祖父の口座にあったので、貯金には手を付けずに済んでいる。
「虎之介さんのお金じゃないからね。それは僕が自分で働いて貯めたお金」
サヤカが聞き耳を立てていたので、高広はそう釘を刺した。
「何なら遺産分割協議書見せようか?」
サヤカの来訪の目的は、祖父の遺産だった。「金は要らない、台本を寄こせ」なんて風変わりなことを言ってきたが、台本なんて見たこともない。難癖をつけて、結局最終目的は金銭なのかもしれない。
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