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3、もう、ムリなんだって

眠れぬ夜

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(もうムリだ)

 伸幸には出てってもらおう。

 これ以上、自分の心を乱されないうちに。

 部屋のカギも、置いてってもらう。

 瞬は決心して弁当屋を出た。

 表通りにも、途中のスーパーにも、伸幸はいなかった。

 瞬はストック用のゼリー飲料を買って部屋へ帰った。

 伸幸は部屋にもいなかった。

 またどこかへ出かけているのだろう。

 瞬は肩すかしを食ったような気分になった。

 心を決めた今日すぐに「出てってくれ」と言いたかったが、言いにくいことを言わずにすんでホッとしてもいる。

 今日すぐに言わなくても、伸幸が戻ってきたらどうせ言うんだから。

(なら、とっととすませたかったのにな)

 夜になって、瞬はひとりのふとんに潜りこんだ。

 寝つけなくて何度も寝返りを打つうちに、いつの間にか眠りに落ちた。
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