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番外 過去【王華学校】
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その名は伯父から聞いたことがあった。ダイナミクスに特化した学校だと。
興味はあったが、場所も遠いし寮生活と聞き、最初は選ぶ気はなかった。
それでもグレアの暴走を経験し、いってみようという気になった。思えば、Domだと判明したときに伯父が勧めてくれれば思い悩む事もなかったかもしれないのに。
受験をしなくてすんだのは助かった。何せSubの子を怯えさせてしまったのがショックで、勉強には自信がなかった。
「君はどんなDomになりたいのかな?」
面接の先生にそう聞かれ、口ごもってしまったが無事に学校に入ることはできた。
入学式は校内にあったホールで開かれた。Domは1階、Subは二階、見上げないとSubの姿が見えないと、皆騒いでいた。
「はい、新入生のDomの諸君、静粛に」
檀上に上がった高齢の男性教師がそう言った。それでもまだ収まらず、騒ぎ続ける俺たちに向かい高齢の男性教師はもう一度言った。
「黙りなさい」
けして怒鳴ったわけでも、叫んだわけでもないのに、その声に俺達は黙ることしかできなかった。
その後スムーズに式が進み、二階のSub達が退場し、次は俺達の番だと思い待っていると、Domの教師達が檀上に上がった。
次の瞬間、まるで歓迎の証と言うように大量のグレアが叩きつけられた。
洗礼と言う名の、容赦のないマウンティングは、グレアを選ばれた人に与えられた特別な力のように思っていた者達の自信を叩きおった。
こうして俺の高校生活は始まった。
「癒し、癒しが足りない……」
「Play練習がDom同士って最悪だろ」
「最悪なのは俺だよ。相手先生だよ?」
「お前は自分をコントロールできないのが原因だろ」
寮で同室になった生徒どうし、気づけばグループのようになっていた。
元は地元も出身校も違うもの同士、話の共通点があるわけでもないが、そこは年頃の男同士話すことはあった。
とはいえ、Dom性にしっかり目覚めているから、対象は男女関係なくSubしかいない。
「あー、Subに会いたい」
「撫でたい」
「抱き締めたい」
「従わせたい」
「そんなんだからお前は相手が先生なんだろう」
呆れたようにいえば、友人は痛いところをつかれたような顔をした。
「いいじゃん! 言うぐらい! きっと俺に好きなように作り替えて欲しいっていうSubだっているよ!」
「作り替えるぐらいなら最初から、好みの選べよ」
「それはそうなんだけど! 俺の理想は流され安いけど、壊れにくくて、俺を飽きさせないようなSubなんだよ」
随分わがままな理想を語る友人につられるようにして他の友人たちも理想を語り始めた。
「明るい子がいいな、甘えん坊の」
「自分にしか懐かない子とか最高だよね」
「怖がりもいいな、守りたくなる」
それぞれ理想を語り、最後に冬真へ視線が向いた。
「冬真は?」
「俺? 俺は……わかんない」
「はぁ?」
「どんなタイプとかわかんない。Subは皆可愛いし……だから俺は沢山色々なSubを見たい」
生徒も先生も、伯父のパートナーも同じSubでも全員違って見えた。
自分の好きなタイプは自分でもよくわからない。
今はただ、沢山のSubを知りたい、ただそれだけだった。
興味はあったが、場所も遠いし寮生活と聞き、最初は選ぶ気はなかった。
それでもグレアの暴走を経験し、いってみようという気になった。思えば、Domだと判明したときに伯父が勧めてくれれば思い悩む事もなかったかもしれないのに。
受験をしなくてすんだのは助かった。何せSubの子を怯えさせてしまったのがショックで、勉強には自信がなかった。
「君はどんなDomになりたいのかな?」
面接の先生にそう聞かれ、口ごもってしまったが無事に学校に入ることはできた。
入学式は校内にあったホールで開かれた。Domは1階、Subは二階、見上げないとSubの姿が見えないと、皆騒いでいた。
「はい、新入生のDomの諸君、静粛に」
檀上に上がった高齢の男性教師がそう言った。それでもまだ収まらず、騒ぎ続ける俺たちに向かい高齢の男性教師はもう一度言った。
「黙りなさい」
けして怒鳴ったわけでも、叫んだわけでもないのに、その声に俺達は黙ることしかできなかった。
その後スムーズに式が進み、二階のSub達が退場し、次は俺達の番だと思い待っていると、Domの教師達が檀上に上がった。
次の瞬間、まるで歓迎の証と言うように大量のグレアが叩きつけられた。
洗礼と言う名の、容赦のないマウンティングは、グレアを選ばれた人に与えられた特別な力のように思っていた者達の自信を叩きおった。
こうして俺の高校生活は始まった。
「癒し、癒しが足りない……」
「Play練習がDom同士って最悪だろ」
「最悪なのは俺だよ。相手先生だよ?」
「お前は自分をコントロールできないのが原因だろ」
寮で同室になった生徒どうし、気づけばグループのようになっていた。
元は地元も出身校も違うもの同士、話の共通点があるわけでもないが、そこは年頃の男同士話すことはあった。
とはいえ、Dom性にしっかり目覚めているから、対象は男女関係なくSubしかいない。
「あー、Subに会いたい」
「撫でたい」
「抱き締めたい」
「従わせたい」
「そんなんだからお前は相手が先生なんだろう」
呆れたようにいえば、友人は痛いところをつかれたような顔をした。
「いいじゃん! 言うぐらい! きっと俺に好きなように作り替えて欲しいっていうSubだっているよ!」
「作り替えるぐらいなら最初から、好みの選べよ」
「それはそうなんだけど! 俺の理想は流され安いけど、壊れにくくて、俺を飽きさせないようなSubなんだよ」
随分わがままな理想を語る友人につられるようにして他の友人たちも理想を語り始めた。
「明るい子がいいな、甘えん坊の」
「自分にしか懐かない子とか最高だよね」
「怖がりもいいな、守りたくなる」
それぞれ理想を語り、最後に冬真へ視線が向いた。
「冬真は?」
「俺? 俺は……わかんない」
「はぁ?」
「どんなタイプとかわかんない。Subは皆可愛いし……だから俺は沢山色々なSubを見たい」
生徒も先生も、伯父のパートナーも同じSubでも全員違って見えた。
自分の好きなタイプは自分でもよくわからない。
今はただ、沢山のSubを知りたい、ただそれだけだった。
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