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第五十五話【【手に入れた物】】後
しおりを挟むトイレにつき、許可を与えるようにドアを開けると、導くようにリードを引けば力也は中に入り便座へと座った。
ドアを閉めてくれるのを期待したのか、不安そうな瞳で見てきた力也に意地の悪い笑みを浮かべる。
「見ててやるよ」
「やだ」
「ダメ」
閉める気はないと言うように、ドアを背中で押さえていれば、絶望と懇願が混ざる表情を浮かべるも覚悟を決めるように、力を入れ中に入っていた液を噴出した。
「あっ……はあぁっ……」
苦しむような荒い息を吐きながら、中に入っていたものを最後まで残さず、出し切った。
羞恥心のあまりすべてを出し切ったものの、動けなくなっているその様子に、ニヤッと笑みを浮かべ冬真は傍にきた。
「ほら、ちゃんと最後まで綺麗にしなきゃ」
「やぁっ……」
尻用のウォッシュレットを最強にすると、ボタンを押す。排泄により敏感になっていた秘部に勢いがいい水圧が当たり、声を上げた。
堪え隠すかのように視線を合わせてこない力也を抱きしめるように、覆いかぶさり、尻タブを掴みしっかりと開かせる。
「いいこ」
まともに返事ができるほどの余裕がないのだろう、穴を広げ内部を直接洗われるのを耐える様子を褒めるようにその頭へキスを贈る。
「綺麗、綺麗」
勢いのいい水圧をできる限り中まで、入れ込むように長めに当てる。この後しっかりと使えると思うほどに洗った後臀から手を離せば、力也の体がもたれかかってきた。
あまりの強い羞恥心に震える体を受け止め抱きしめると、しゃくりあげるような嗚咽が聞こえた。泣いちゃったかと思っていると、次の瞬間まるでなにかが決壊したかのように子供のような大きな泣き声に変わった。
「わぁー!! うえぇぇぇ!! 冬真……」
「うん? 恥ずかしかったよな。よく頑張ったな」
いい子いい子と撫でるが、泣き声は止まるどころかより一層大きな声になっていく。頭突きのように、ドンドンと頭をぶつけてくる様子に苦笑を返す。
「力也、痛い痛い」
「冬真のバカ! 変態! 意地悪!」
ドンドンと頭突きを繰り返しながら、不満を訴える子供のように非難というには弱い言葉をぶつけてくる。
「俺は嫌だって言ったのに! 酷い! 変態! スケベ!」
「酷い言い草だな」
そんな攻撃もむしろ楽しそうに笑い返せば今度は頭をグリグリとこすり付けられる。精一杯の仕返しのような仕草が愛おしく感じる。
自覚なく、いままで誰を責めるでもなく頑張り続けてきた力也が、たった一人遠慮なく責せられるのだと思えば嬉しい。愛しのSubかららのそれは強い信頼の証だ。
弱い部分も、醜い部分も、見せろと言われた姿以外の本心も、気兼ねなく見せられるのは心からの信頼がなければできない。
「バカ……意地悪!」
「今更、今更」
はいはい、と流すように笑いながら、慰め謝る様に頭へ軽くキスを送る冬真からは愛情の塊のグレアが漏れ包み込んでいく。
「力也、いいこ。本当にいいこ。恥ずかしいのに頑張って偉かった。Good Boy」【よくできました】
「……すごく、恥ずかしかった」
「悪かったって」
そう言えばやっと泣き止んだ力也は、顔を上げると不審感をたっぷりの目で睨みつけてきた。
「スカトロも好きなのかよ」
「そう言うわけじゃねぇけど、我慢しても耐え切れないの可愛いし、恥ずかしがってのも可愛い」
「物好き、可愛くねぇし……」
「そう言うとこも可愛い。もっと色々な力也を見たい、恐れずに俺を、お前のご主人様を信じてぶつかってこいよ」
「わかった」
隠すことのない要求に、力也は仕方ないなと言うように笑みを浮かべた。その瞳は信頼に満たされていた。
それに答えるように慈愛を込め見つめ返し、背中で結んでいた服の袖を解き、剥ぎ取り洗濯機へ投げる。
「よし、じゃあ戻るか」
そう言い立ち上がると、力也はそのまま自ら四つ這いになり、リードを引っ張り冬真より先に部屋に向い歩き出した。はしゃぐ飼い犬に引っ張られる飼い主のような様子に我ながら笑い、ベッドへと向かう。
散々引っ張った挙句、部屋につくと冬真が座るのを待つかのように、下にしゃがみ込んだ様子に苦笑を浮かべ足を組みベッドに座る。
従順に期待と信頼と忠誠に満ちた瞳を浮かべながらも、興奮と欲望を表すかのように、性器は立ち上がり先端には先走りが光る。
目も、耳も、心も今は冬真しかとらえていない。自分の一挙一足に全ての神経を注いでいるとわかる、その瞬間何かが体中を駆け上がるほどの快感を感じる。
瞳だけでStayを理解し、先ほどまで荒かった息さえも大人しくなる。よしと言われるまで、何時間でも耐えて見せるという意気込みが見える。
「力也、服従のポーズ」
コマンドではなくあえて、選択肢がある指示を出せば力也はきょとんと首を傾げるが、すぐに思いついたのか楽しそうにゴロンと腹を上に寝ころんだ。
チャリッ寝ころぶとタグが鳴り、綺麗に割れた腹筋と鍛えられた胸筋の上に、ツンと立ち上がる乳首にピアスが光る。
そんな力也の腹に向け足を伸ばす、無防備な腹に足を置き、足の平でゆっくりと撫でる。腹から上に、胸に近づくにつれ指先だけを残し、体をなぞれば力也の息は次第に荒くなる。
足の指先で、立ち上がる乳首を押し、転がせばピクピクと体が震える。
力を入れれば踏みつけられる、そんな状況でも、力也は脅えることもなく足から与えられる快感を拾いあげ、歓喜を覚えていた。
「力也、我慢できるか?」
そう尋ねれば、コクリと頷き返された。それに褒めるように笑みを浮かべると、足を胸から下へ降ろし、足の親指と人差し指で性器を挟む。上から下へ、下から上へ擦り上げれば、先走りがあふれ出す。
もどかしいほどの刺激でも、確実に快感を誘い、足の動きに合わせ微かに腰が上下する。
「出したい?」
「出した……い……あっ……あぁっ……」
縋るように涙に濡れる瞳で、見つめられ、煽る様に足の指先で先端をグリグリと押せば、短い嬌声と先走りがとめどなく漏れる。
「あっ……イイ、とうまぁ」
足先での愛撫に恍惚とした表情を浮かべるその様子に、ドロドロとした征服感が満たさていく、それでもまだまだ足りない。
この止めどない欲望を受け入れ満たしてくれるのは力也一人だけだろう。この体に巣食う欲望を一滴残らず受け入れて欲しい。
「力也、Come」【こい】
足を下ろし、両手を広げ呼べば、力也はすぐに勢いよく起きあがった。快感に溺れながらも、待っていたと言うように直ぐに両手を広げている冬真へ抱き着く。
「自分でいれて動けるよな?」
「できる。みてて」
いそいそと、膝にまたがり立ち上がる性器の上に秘部を合わせると見ずから手でしっかりと尻タブを広げ、血管が浮き上がるほど硬くなったそれを受け入れる。
達さないように、ゆっくりと腰を落とす力也に、悪戯心が湧き反対にその腰を掴み一気に突き刺した。
「はぁっぁ!」
奥まで突き刺した瞬間、一際大きい嬌声が上がり、同時に達してしまったのだろう、勢いよく精液が飛び出した。
「あーあ、イっちゃった」
呆れたような口調でそう言えば、力也は愕然とした表情を浮かべ、グズグズと泣き声をあげ、涙を流す。
「ご、ごめん…なさい……」
「なんで我慢できなかったんだ?」
「え?」
流れ落ちる涙を舌で舐め取り、優しく微笑み尋ねれば、力也は理解ができないかのように聞き返す。しかし、次の瞬間遊ばれているのに気づき怒ったように冬真を睨んだ。
「冬真が、いきなりしたから」
「そうそう。だから俺は怒ってねぇよ」
そう言うと、睨み続けるその目尻にキスを送れば、あっさりと表情が崩れる。ご機嫌取りのように角度を変え、もう片方の目尻にもキスを送り、くすぐったそうな声をあげる力也に何度もキスをする。
「動いて、力也」
「うん」
幾度もキスを重ね、幸せに満たされた力也にそう、懇願すれば肩に手を置き腰を少しあげた。そうして自ら、激しく冬真の上で腰を振り始めた。
腰を振るたびに、カチャカチャと目の前でタグが跳ねる。まるで導かれるように顔を近づけ、そのタグを口に含んだ。
けして逃がさない、どこへいこうとも力也は自分の物だと言うように。
自分もこんなに泣けるのかと驚くほど、みっともなく泣きじゃくった。嫌だってたくさん言ったのに、冬真はそれでも怒ることもせずに嬉しそうだった。
ぐちゃぐちゃのドロドロになるまで愛されて、なにがなんだかわからなくなるほどかわいがられた。
俺を見下ろすその表情は余裕と貫禄さえあってすごくかっこよかったのに、完璧なご主人様に見えた冬真はいまベッドの上で動けなくなっている。
「無理するから」
「ヤってるときは痛くなかったのに」
「自分から動いてるから大丈夫なんだと思ったのに」
「俺の運動不足あまく見んなよ」
「いや、威張られても」
終わるなり腰と足が痛いと言いだした冬真を甲斐甲斐しく、マッサージしながらツッコめば不満そうな瞳を向けられた。
「明日、演技教室だろ? 行けんのか?」
「行くしかねぇだろ。あー力也がもっと甘やかしてくれたら、楽になんのに」
「またよくわかんねぇこと……」
どうしてほしいのかはっきり言えばいいのに、期待に満ちた目を向けるだけで何も言わない様子にため息をつき、思考を巡らせる。
「仕方ないな……冬真、頑張って」
結局考えてもなにも思いつかず、うつぶせになっている冬真の顔にそっと口を近づけた。
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