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第三十四話【刻みこむ】後
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またなんか長くなりそうだと見切りをつけ、力也はさっさと施設へと向かった。冬真は元々愛情表現が大げさだったが、パートナー講習会を受けてからさらにひどくなっている気がした。こんな人通りのある場所で人の目を気にせず、怒鳴り合う状況は完全な痴話げんかだった。
顔をしかめられる内容ではなかったが、だからといって苦笑されてしまうのもどうなのか?
(確実に悪化してる)
もしも、これがずっと続くのだとしたら…。そう思った力也は自分の顔がにやけていることに気づいた。
(おかしい、おかしい、嬉しい、嬉しい)
抑えようとしても、にやける顔は変わらず、それだけでなく楽しくてしかなくなってくる。嬉しくて幸せで、涙が出そうなぐらい安心できる。もうその言葉だけで充分だと思えるほどに。これ以上なにをねだれというのだろうか。
そもそも、力也は今日が誕生日だと忘れていた。誕生日だから特別だったのはずっと昔のことで、母が施設に入ってからはほとんど一人だった。時には、たまたまその時相手をしてくれていたDomがいた時もあるが、それでも誕生日らしいことをした覚えはない。
孝仁と仲良くなり、プロフィールから誕生日がばれプレゼントをもらうまで、力也にとってはいつも通りのなんてことない日だった。
いつものお礼だと言ってプレゼントをもらうたびにそういえばと思い出し、それをもって母のとこにいき、二人で食べる。ただそれだけの日だった。
それが、冬真の所為で変わる予感がした。あれだけ言ったのだから、冬真はここぞとばかりに甘やかすつもりなんだろう。
(困ったな)
あの様子では、何もしてくれなくていいと言っても納得しないだろう。納得しないどころか、また拗ねてしまうかもしれない。
ケーキをねだってもいいけれど、それだけじゃ絶対また騒ぐ。我儘と甘えとおねだり、を強請られ力也はしきりに頭を巡らせた。
冬真にしてほしいことを考えるが、正直思いつくものはなく。いつもそれ以上のものをもらっていると思ってしまう。
(どうしろっていうんだよ…)
本当に厄介な人をご主人様にしてしまったと苦笑しつつ、母のいる施設に向かい足を急がせたのだった。
散々大騒ぎして力也を施設に送り出した冬真は、しばらくその後姿を見送っていたが、姿が見えなくなると大きくため息をついた。
(どうしよう)
ああは言ったものの、冬真もなにをしたらいいのかわからない。なにせ、今日が当日だ。プレゼントを用意するにも時間がないし、なにより実のところお金がない。
(衣装の買い取りなんかしなきゃよかったな)
既に使ってしまった無駄な出費に今更後悔しても始まらず、かといって定番のケーキを買おうにも孝仁が既にそれっぽいものを贈ってしまっていた。
なにか力也がおねだりしてくれればいいが、あの様子ではそれも難しいかもしれない。
普段Playとは言え、こちらの要求に従ってばかりなのだから何を言われても要求されてもいいのに、なぜあれほど無欲でいられるのか。
慣れない我儘を言って困らせるそんな姿さえ、欲しいと思える冬真からすれば不思議でしかたないものだった。
過去も未来も今もすべてが欲しい。否定も肯定も聞きたい。何一つ失わないまま、更なる魅力を表した力也が欲しい。どこまでも貪欲に、強欲な想いだけが頭にあった。
それから数時間後二人は冬真のアパートにいた。力也が母と面会している間に手に入れた夕飯を片手に庭にバイクを止めた冬真は力也へ鍵を渡した。
「これ、この前言ってたやつ」
「ありがとう」
前に渡すと言っていた合い鍵だとわかり、嬉しそうに受け取った力也だが、その鍵につけてあるものをみて首を傾げた。
「お前のだって印にハリネズミつけといたから」
「冬真ハリネズミ好きだね」
そこにはお腹を出して丸くなるかわいいハリネズミのラバーストラップと、シルバーに光るプレートがつけられていた。
「かわいいだろ。あ、一緒についてるそれもお前のだから」
なんとなく、ハリネズミを見ていた力也だが、そう冬真に言われシルバーのプレートを改めてみた。そこには“WITH LOVE”愛をこめてと一言と、そして“D/T.K”と刻まれていた。
「これって…」
「お前のドックタグ、Collarはまだ用意してねぇけどとりあえずそれだけ」
「ドックタグ?」
不思議そうに首を傾げつつ、それをじっと見つめる力也の様子に冬真は少し照れたように早口になる。
「Collarにつけて渡すのもいいんだけど、まだ選べなくて、タグだけなら後でなんか追加して彫ってもいいし。とりあえず、仮契約ってことで…」
「仮契約?」
「そうだけど…ってあれ?まさかこれって一般的じゃない?」
照れた様子で早口に説明する冬真とは対照的に、力也は不思議そうにドックタグを持ち上げじっと見ていた。その様子に、嫌な予感がした冬真は戸惑いながらも問い返した。
「うーん、俺は聞いたことないかな?」
「くっそ!またか、俺の学校では当たり前に教えてたのに!」
どうやらまたダイナミクス専門学校のマイナー知識だったらしく、頭を抱えた冬真の様子に力也は笑った。
「この前の店でSubは皆つけてただろ! 覚えてねぇ!?」
(そう言えば)
言われて見れば、確かに全員それっぽい物をcollarにつけていた気がするが、あの時はそれどころではなく気にしてなかった。
「どーだったかな?」
「絶対覚えてんだろ!」
慌てる様子がちょっと面白くて流してみれば、あっさり見破られてしまってまた笑う。
冬真が言っていた学校はダイナミクス専門というだけあり、かなり深いことやマイナーなことも教えているらしく、一般的には使われていないものもたまにある。
今回もその一つだったらしい。
「でも、今ので大体の意味はわかったから。これって要は、婚約指輪みたいなものってことだよな?」
「そう!正式クレイム前の所有者がいる印ってこと!あーもう、喜ぶと思ったのに通じねぇとか!」
驚かせようと思っていたらしく、肩透かしを食らったかのように最大に嘆く冬真の様子に力也は声を立て笑った。感動的シーンのはずが台無しになり、完全にプロポーズが失敗したようにしか見えない。
「なんだよ、もうグダグダじゃねぇか!くっそ、この前の仕返しのつもりだったのに…」
「喜んでたのに?」
「だから、もっと喜ばせようと思って、ほんとはかっこよく渡すつもりだったのに、お前が今日誕生日だっていうからここしかねぇって…」
本気で悔しがる冬真の言葉に、力也は声を立て笑い。しかし、次の瞬間冬真へとその瞳を向けた。震える瞳は潤み、唇も震え、ただ見つめるその全身から嬉しさがあふれていた。
「嬉しい、嬉しいよ。ありがとう」
他にどう言えばいいのだろうか、もっと他の言葉があるはずなのに力也の口からでたのはそれだけだった。さっきまで笑えていたのに、今はもう笑うこともできない。
ポロリとその瞳からは涙が零れ落ち、それでも瞼は閉じることなく冬真を見つめていた。
決して離さぬようにぎゅっとドックタグを両手で握り、祈るようにたった一人の大切な主人を見つめる。
「そ、そっか、よかった」
その瞳に、視線を反らしたのは冬真のほうだった。こんなにも瞳が語ることあるのかと思うほどの、喜びに包まれた力也をまともにみることができずに視線を泳がす。
「ちなみに、やっぱやり直したいっていったら返してくれる?」
「やだ」
「じつは箱もあるし」
「やだ」
「せめて部屋に入ってから」
「いやだ。絶対返さない」
とられると思ったのか、大事そうにぎゅっと握りしめ逃げるように体をひねる。断固として渡そうとはしない力也の様子に、冬真はため息をつくとそのまま抱きしめた。
押し寄せる幸福を受け止めきれず、震える体も、この瞬間すべてを記憶しようと閉じない瞳も、想いを伝えようと流れる涙もすべてが愛おしい。
けして失いたくない、力也の何もかも、すべて損なわないまま、自分の存在を刻み付けたい。
「ごめん、お前の誕生日なのに、結局俺がお前をもらうつもりでいる。許して力也」
その言葉と共に冬真が発した愛情と懇願が混じったグレアに、力也の精神は絡めとられた。まともな言葉は浮かばず、今ひとたび口を開けば嗚咽のような声が漏れるだけだろう。
(どうしよう、いまものすごく支配されたい)
抱きしめられているのに、今すぐに跪き、貴方の物だと誓いたい。すべてを投げだし、何も考えず、冬真の思うがまま犯されたい。縛って、奪って、壊して、原形がなくなるまでにドロドロに溶かしてほしい。
頭を埋め尽くすのはただ一人の自分のご主人様からの、欲を受け止めるだけの所有物になりたいただそれだけだった。人より早くSub性に目覚めいままで生きてきて、こんなにもSub性を実感したのは初めてだった。
今までも人から与えられたものに嬉しい、幸せと感じたことはあったが冬真から与えられるものはそれ以上だった。
例えるならば、多くの人から与えられる喜びは一滴の水、例えその場限りだとしても喉の渇きを癒す。
大切な人たちから与えられる喜びはコップ一杯の水、体に染みわたり、次を望みたくなる。
でも冬真から与えられるものはまさに恵みの雨、全身を濡らし、隅々までいきわたり、生きていくに必要な分も与えてくれる。
それは喉を潤すだけでなく、力也が傷つき寒さを感じる時は温泉のように癒し温めてくれる。
洪水のように冬真から与えられるものに、飲み込まれ息もできなくなった力也の瞳からはとめどなく涙があふれ続けた。
「力也、Kiss」【キスして】
そんな力也を救い上げるのもまた、冬真の言葉だった。
その優しいコマンドと共に少し体を離され、力也は冬真を見つめた。冬真の指先が指し示すように自分の唇へと触れる。
タグを大事に持ったまま、力也は導かれるようにその唇へと自らの唇を寄せたのだった。
顔をしかめられる内容ではなかったが、だからといって苦笑されてしまうのもどうなのか?
(確実に悪化してる)
もしも、これがずっと続くのだとしたら…。そう思った力也は自分の顔がにやけていることに気づいた。
(おかしい、おかしい、嬉しい、嬉しい)
抑えようとしても、にやける顔は変わらず、それだけでなく楽しくてしかなくなってくる。嬉しくて幸せで、涙が出そうなぐらい安心できる。もうその言葉だけで充分だと思えるほどに。これ以上なにをねだれというのだろうか。
そもそも、力也は今日が誕生日だと忘れていた。誕生日だから特別だったのはずっと昔のことで、母が施設に入ってからはほとんど一人だった。時には、たまたまその時相手をしてくれていたDomがいた時もあるが、それでも誕生日らしいことをした覚えはない。
孝仁と仲良くなり、プロフィールから誕生日がばれプレゼントをもらうまで、力也にとってはいつも通りのなんてことない日だった。
いつものお礼だと言ってプレゼントをもらうたびにそういえばと思い出し、それをもって母のとこにいき、二人で食べる。ただそれだけの日だった。
それが、冬真の所為で変わる予感がした。あれだけ言ったのだから、冬真はここぞとばかりに甘やかすつもりなんだろう。
(困ったな)
あの様子では、何もしてくれなくていいと言っても納得しないだろう。納得しないどころか、また拗ねてしまうかもしれない。
ケーキをねだってもいいけれど、それだけじゃ絶対また騒ぐ。我儘と甘えとおねだり、を強請られ力也はしきりに頭を巡らせた。
冬真にしてほしいことを考えるが、正直思いつくものはなく。いつもそれ以上のものをもらっていると思ってしまう。
(どうしろっていうんだよ…)
本当に厄介な人をご主人様にしてしまったと苦笑しつつ、母のいる施設に向かい足を急がせたのだった。
散々大騒ぎして力也を施設に送り出した冬真は、しばらくその後姿を見送っていたが、姿が見えなくなると大きくため息をついた。
(どうしよう)
ああは言ったものの、冬真もなにをしたらいいのかわからない。なにせ、今日が当日だ。プレゼントを用意するにも時間がないし、なにより実のところお金がない。
(衣装の買い取りなんかしなきゃよかったな)
既に使ってしまった無駄な出費に今更後悔しても始まらず、かといって定番のケーキを買おうにも孝仁が既にそれっぽいものを贈ってしまっていた。
なにか力也がおねだりしてくれればいいが、あの様子ではそれも難しいかもしれない。
普段Playとは言え、こちらの要求に従ってばかりなのだから何を言われても要求されてもいいのに、なぜあれほど無欲でいられるのか。
慣れない我儘を言って困らせるそんな姿さえ、欲しいと思える冬真からすれば不思議でしかたないものだった。
過去も未来も今もすべてが欲しい。否定も肯定も聞きたい。何一つ失わないまま、更なる魅力を表した力也が欲しい。どこまでも貪欲に、強欲な想いだけが頭にあった。
それから数時間後二人は冬真のアパートにいた。力也が母と面会している間に手に入れた夕飯を片手に庭にバイクを止めた冬真は力也へ鍵を渡した。
「これ、この前言ってたやつ」
「ありがとう」
前に渡すと言っていた合い鍵だとわかり、嬉しそうに受け取った力也だが、その鍵につけてあるものをみて首を傾げた。
「お前のだって印にハリネズミつけといたから」
「冬真ハリネズミ好きだね」
そこにはお腹を出して丸くなるかわいいハリネズミのラバーストラップと、シルバーに光るプレートがつけられていた。
「かわいいだろ。あ、一緒についてるそれもお前のだから」
なんとなく、ハリネズミを見ていた力也だが、そう冬真に言われシルバーのプレートを改めてみた。そこには“WITH LOVE”愛をこめてと一言と、そして“D/T.K”と刻まれていた。
「これって…」
「お前のドックタグ、Collarはまだ用意してねぇけどとりあえずそれだけ」
「ドックタグ?」
不思議そうに首を傾げつつ、それをじっと見つめる力也の様子に冬真は少し照れたように早口になる。
「Collarにつけて渡すのもいいんだけど、まだ選べなくて、タグだけなら後でなんか追加して彫ってもいいし。とりあえず、仮契約ってことで…」
「仮契約?」
「そうだけど…ってあれ?まさかこれって一般的じゃない?」
照れた様子で早口に説明する冬真とは対照的に、力也は不思議そうにドックタグを持ち上げじっと見ていた。その様子に、嫌な予感がした冬真は戸惑いながらも問い返した。
「うーん、俺は聞いたことないかな?」
「くっそ!またか、俺の学校では当たり前に教えてたのに!」
どうやらまたダイナミクス専門学校のマイナー知識だったらしく、頭を抱えた冬真の様子に力也は笑った。
「この前の店でSubは皆つけてただろ! 覚えてねぇ!?」
(そう言えば)
言われて見れば、確かに全員それっぽい物をcollarにつけていた気がするが、あの時はそれどころではなく気にしてなかった。
「どーだったかな?」
「絶対覚えてんだろ!」
慌てる様子がちょっと面白くて流してみれば、あっさり見破られてしまってまた笑う。
冬真が言っていた学校はダイナミクス専門というだけあり、かなり深いことやマイナーなことも教えているらしく、一般的には使われていないものもたまにある。
今回もその一つだったらしい。
「でも、今ので大体の意味はわかったから。これって要は、婚約指輪みたいなものってことだよな?」
「そう!正式クレイム前の所有者がいる印ってこと!あーもう、喜ぶと思ったのに通じねぇとか!」
驚かせようと思っていたらしく、肩透かしを食らったかのように最大に嘆く冬真の様子に力也は声を立て笑った。感動的シーンのはずが台無しになり、完全にプロポーズが失敗したようにしか見えない。
「なんだよ、もうグダグダじゃねぇか!くっそ、この前の仕返しのつもりだったのに…」
「喜んでたのに?」
「だから、もっと喜ばせようと思って、ほんとはかっこよく渡すつもりだったのに、お前が今日誕生日だっていうからここしかねぇって…」
本気で悔しがる冬真の言葉に、力也は声を立て笑い。しかし、次の瞬間冬真へとその瞳を向けた。震える瞳は潤み、唇も震え、ただ見つめるその全身から嬉しさがあふれていた。
「嬉しい、嬉しいよ。ありがとう」
他にどう言えばいいのだろうか、もっと他の言葉があるはずなのに力也の口からでたのはそれだけだった。さっきまで笑えていたのに、今はもう笑うこともできない。
ポロリとその瞳からは涙が零れ落ち、それでも瞼は閉じることなく冬真を見つめていた。
決して離さぬようにぎゅっとドックタグを両手で握り、祈るようにたった一人の大切な主人を見つめる。
「そ、そっか、よかった」
その瞳に、視線を反らしたのは冬真のほうだった。こんなにも瞳が語ることあるのかと思うほどの、喜びに包まれた力也をまともにみることができずに視線を泳がす。
「ちなみに、やっぱやり直したいっていったら返してくれる?」
「やだ」
「じつは箱もあるし」
「やだ」
「せめて部屋に入ってから」
「いやだ。絶対返さない」
とられると思ったのか、大事そうにぎゅっと握りしめ逃げるように体をひねる。断固として渡そうとはしない力也の様子に、冬真はため息をつくとそのまま抱きしめた。
押し寄せる幸福を受け止めきれず、震える体も、この瞬間すべてを記憶しようと閉じない瞳も、想いを伝えようと流れる涙もすべてが愛おしい。
けして失いたくない、力也の何もかも、すべて損なわないまま、自分の存在を刻み付けたい。
「ごめん、お前の誕生日なのに、結局俺がお前をもらうつもりでいる。許して力也」
その言葉と共に冬真が発した愛情と懇願が混じったグレアに、力也の精神は絡めとられた。まともな言葉は浮かばず、今ひとたび口を開けば嗚咽のような声が漏れるだけだろう。
(どうしよう、いまものすごく支配されたい)
抱きしめられているのに、今すぐに跪き、貴方の物だと誓いたい。すべてを投げだし、何も考えず、冬真の思うがまま犯されたい。縛って、奪って、壊して、原形がなくなるまでにドロドロに溶かしてほしい。
頭を埋め尽くすのはただ一人の自分のご主人様からの、欲を受け止めるだけの所有物になりたいただそれだけだった。人より早くSub性に目覚めいままで生きてきて、こんなにもSub性を実感したのは初めてだった。
今までも人から与えられたものに嬉しい、幸せと感じたことはあったが冬真から与えられるものはそれ以上だった。
例えるならば、多くの人から与えられる喜びは一滴の水、例えその場限りだとしても喉の渇きを癒す。
大切な人たちから与えられる喜びはコップ一杯の水、体に染みわたり、次を望みたくなる。
でも冬真から与えられるものはまさに恵みの雨、全身を濡らし、隅々までいきわたり、生きていくに必要な分も与えてくれる。
それは喉を潤すだけでなく、力也が傷つき寒さを感じる時は温泉のように癒し温めてくれる。
洪水のように冬真から与えられるものに、飲み込まれ息もできなくなった力也の瞳からはとめどなく涙があふれ続けた。
「力也、Kiss」【キスして】
そんな力也を救い上げるのもまた、冬真の言葉だった。
その優しいコマンドと共に少し体を離され、力也は冬真を見つめた。冬真の指先が指し示すように自分の唇へと触れる。
タグを大事に持ったまま、力也は導かれるようにその唇へと自らの唇を寄せたのだった。
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