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しおりを挟むリュウトくんはセッティング済んだのか。わざわざこっちまで来て茶々を入れる。俺はスネアをスティックで軽く叩きながら、返事をする。
「毎日LINE入れて来て会いたがる辺りでもうバレバレなんだからさ、さっさとくっついちゃえばいいのに」
「はぁー?」
チューニングキーをボルトに差し込んでちょっとだけ回す。もう一度、スネアを叩く。もうちょっとだな。
…って、何なんだ、くっついちゃえとか。
「優哉は嫌なの?」
「嫌とかじゃなくて、全然考えてねーから」
「そうなんだ。朝まで何してたの」
うーわ、リュウトくん下世話だな。これ何て回答なら満足なんだ。万が一セックスしてても絶対言わねーからな。
「メロコア語りながらビール呑んでたら、俺が寝落ちた」
「宵闇くん、メロコア好きなの?」
「いや、あいつはメタル全然しらねぇからさ」
「教えてあげてたって感じだ」
「まあそんなとこ」
「で、その後宵闇くんどうしてたの」
「帰れなくなって、朝まで俺が起きるの待ってた」
「ほんと可哀相だなぁ…」
リュウトくんは心底楽しそうにくすくすしてる。そんな面白い話かこれ。全然可哀相だと思ってなさそうだし。
「寝てる間に何かされたんじゃないの?」
「されてねぇし!」
「優哉、出来たか?」
ほら、晶さんに怒られるぞ。最終調整の具合を確かめて、返事をする。
「はい、オッケーです!」
「ミーティング始めるぞ、リュウト、優哉、来い」
何とか怒られなかったぞ。
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