41 / 50
第四十一話:クリスティーナの本心
しおりを挟む「わたし…わたしぃ…」
「泣かないの、私がいじめてるみたいじゃない…もう、いいのよ」
「でも…!」
「なら、ここから生きて出られたら。私の作ったウエディングドレスちゃんと着てね」
「え?」
「え、じゃないわよ。誰の為に作ったと思ってるの?」
「だ、だってクリスティーナ様自分で着て」
「あー、そうね。まだ説明してなかったものね…。そう、そういう風に見えるわよね…」
「え、えっ?」
そこから私はしっかりと説明をされた。
クリスティーナ様が私の為を思って王妃になろうと、私に相談しようとしていた事。
その時に私が家出中で連絡できなかった事。
ウエディングドレスもしっかりと私の分が作られていて、クリスティーナ様はそれの試着をしていただけだという事など。
確かに貴族同士の腹の探り合いだとか、国同士の利益だとかはまだ私には解らない。
せいぜいが、パーティに出てお行儀よく出来る程度だ。
「たった5年で陛下の隣でそれができるだけでも上等よ?」
「でも…」
「私達は何十年も令嬢やってるんだから、それにマホ様ならこれからも努力はするでしょう?」
「は、はい!」
クリスティーナ様は私の結婚式と同時に結婚式を挙げる予定だと言っていた。
妾で平民扱いの私の結婚式を大々的に行うのは難しい。
だが、クリスティーナ様と陛下の結婚式を行い、その後、続けて私との結婚式を行うなら誰も文句はないだろうと言っていた。
扱いも側室や妾ではなくなり、私の扱いは第二妃という王妃に劣らぬ立場に出来るらしい。
王妃が同じ結婚式の舞台に立たせて、それを証明する形だ。
そしてイラス様とクリスティーナ様、そして僅かながらも私が一緒に仕事をすればそれなりに自由な時間が多く取れるだろうと。
そうなれば私はイラス様と一緒に、クリスティーナ様は好きな服作りが出来る。
そういう相談をしたかったらしい。
それでいいのか?と尋ねると。
「子供についても、優秀な兄や父が居るわ。それでノーク侯爵家は安泰よ、王妃を輩出した家にもなる訳だしね」
「そ、そうですか…」
「それにマホ様は嫌でしょ?私が陛下と子供つくるの」
「そ、それは…」
「それくらいでいいのよ。誰にでも分け隔てなくなんてのは無茶だもの、まぁ大変だって言うなら手伝うけど?」
「い、いえ!最初は!そ、、その…」
「いいわよ。子だくさんも困るけど一人だけっていうのもちょっと困るからね。そこだけは覚えておいて」
「は、はひぃ…」
いきなり子作りの話になってしまった。
でも王族には必要な事なのは確かだ。
そんな話をしていると目の前に一人の女の人が現れた。
0
お気に入りに追加
107
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!
愛のゆくえ【完結】
春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした
ですが、告白した私にあなたは言いました
「妹にしか思えない」
私は幼馴染みと婚約しました
それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか?
☆12時30分より1時間更新
(6月1日0時30分 完結)
こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね?
……違う?
とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。
他社でも公開
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
平凡なピピルと氷雪の王子の四年間
碧りいな
恋愛
ピピルは15歳だった一年前、自分が転生した事に気が付いた。しかも前世の記憶では母親よりも歳上の良いお年。今生は長めの人生経験を活用し地道に堅実に安定した人生を送ろうと計画するが、訳もわからぬまま王子の側室候補になってしまう。
見た目よりも多めの経験値と割り切りと要領の良さで順調にやり過ごして行くけれど、肝心の王子に放置され続けて早一年。社交界デビューを卒無くこなしたピピルは怒りを含んだ冷たい視線を感じる。その視線の主こそが……
小説家になろう様でも投稿させて頂いています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる