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ばんざーい!
ある兵士の一日 4
しおりを挟む俺は非常口の扉を開けた。
その先は鬱蒼と茂る森だ。
ココが非常口?安全は確保されるのか?
そう思うのは仕方がない。
現在進行形で、アルは気絶中なのだ。
そう戸惑う俺の前に一人の女が現れた。
なんだ?!気配がしなかったぞ?!
その女は無機質な声で話しかけてきた。
『ここは非常口になります。棄権すると言うことでよろしいでしょうか?』
「あぁ、そうだ」
『それはチームとしてですか?それとも誰かだけになりますか?』
その言葉は意外だった。
棄権する・・・戦線を離脱する場合にはチーム単位になる。
それが、一人でも良いと言う。
この言葉に、後ろに居る二人を見た。
「俺はこのまま続行で問題ないっす」
「私も」
『貴方は如何いたしますか?』
「俺も続行で問題ない」
『畏まりました。では、魔導士アルを棄権させます』
その言葉に、アルもその女も目の前から消え、更には扉も消えた。
不思議な現象だが、ここは愛し子が魔法で作った空間。何が起こるのかは、俺達にはわからない・・・。
「ここでの棄権はアルだけだから、扉が消えたのかしら?」
「たぶんそうだろう」
そう俺とアンが話していると
「せんぱーい!花があったっす!」
そう言いつつ、ギドが黄色の花を持って来た。
これでやっと2本目だ・・・。
「それじゃあ、続きだ。確か、この部屋の先には扉はなかったよな?」
「そうね・・・手近な扉には入ったけど、なかったと思うわ」
「俺もそう思うっす」
「ふむ・・・だが確証はないから、通路の先を確認してから引き返すかを考えよう」
「また、さっきのが居たらどうするの?」
「俺が思うにさっきのアンデット同様に、居なくなっている可能性が高い。愛し子様は『驚かす場所』だと言った。俺ならば先程とは違う手で行く」
「それもそうっすね・・・」
「ならここで、あーだこーだ言っても仕方がないから、部屋を出ましょう」
アンのその言葉で、扉に向かう。
カチャ・・・カチャ・・カチャカチャ・・・
何か金属が鳴る音が後ろからする。
・・・・振り向かなければよかった。
「せ、先輩・・・扉を開けっるっすーーーー!!!!」
ギドの言葉と共に、扉を出て元来た通路を走る!
後ろからは幾つものナイフの様な物が追いかけてくる!
「さっきの奴はいないけど!物理攻撃は、ないんじゃなかったの?!」
「わからん!!とにかく走れーーー!!!」
通路の角を曲がると、ナイフは壁に突き刺さった・・・。
間一髪・・・と言ったところか?
“・・・残念。串刺しにならなかったなぁ・・・”
心底残念そうな男の声が木霊する・・・。
「ねぇ・・・愛し子様は怖がらすだけ・・・って言ってたわよね?あれ間違いかしら?明らかに敵意があるけど・・・・」
「でも、殺気はないっすよ?」
「グダグダ言っていても仕方がない・・・先に進もう」
そう言って、俺達は折り返して来た道を進む。
ペタ・・ペタ・・・ペタペタペタ
「ねぇ・・・また後ろから音がするんだけど・・・」
アンの言葉に
バァン!バァンバァン!!
と窓ガラスに赤い手形が付く。
そして、窓を割る勢いで音が響く!
今度は一体、何なんだ!!!
俺達は、そのまま走り抜け、再び受付まで戻って来た。
「ここな一息つけるっすかね?」
「はぁ・・・はぁ・・っここなら・・問題・・・ないでしょ・・・」
「アン、大丈夫か?」
そう言えば、アンは魔導士だった・・・。
ここまで俺達に付いて来られるのならば、魔導士の基礎体力をUPすることを検討してもらえるように、申し出てもいいかも知れんな・・・。
「・・・先輩?なんか、変な事考えてないっすか?」
ん?ギドは鋭い部分があるな・・・。
俺もいささか疲れてきたぞ・・・。
* * *
「ねぇルーチェ。意外と人が残ってない?」
「そうだね・・・てぬる過ぎた?なんか・・・もっと・・・こう、キャーキャー言ってもらいたいんだけど・・・」
「そうですね・・・一応、リタイアは出てはいますが・・・あまり多くはないですね」
「それにこの人達、基本的に連携してるから対処出来ててつまらないね」
そう、私達は複数のモニターの前に居ます。
なんかさぁ・・・アンデットってこの世界に居るから、兵士とかはたいして驚かないんだよね~。
唯一、攻撃が出来ないから、逃げるしかない!って感じなだけで・・・。
それでもまぁ、お化け苦手な人は何人か手術室で脱落はしてるけど・・・。
ルーチェさんの目指すところは、全員なんだよね!
「仕方がない。ぷらんBに変更だ!!」
フフフ、恐怖とは決して一つではないのだ!
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