転生しても山あり谷あり!

tukisirokou

文字の大きさ
上 下
131 / 149
ばんざーい!

ある兵士の一日 4

しおりを挟む
 
 俺は非常口の扉を開けた。
 その先は鬱蒼と茂る森だ。
 ココが非常口?安全は確保されるのか?
 そう思うのは仕方がない。
 現在進行形で、アルは気絶中なのだ。

 そう戸惑う俺の前に一人の女が現れた。
 なんだ?!気配がしなかったぞ?!
 その女は無機質な声で話しかけてきた。

『ここは非常口になります。棄権すると言うことでよろしいでしょうか?』

「あぁ、そうだ」

『それはチームとしてですか?それとも誰かだけになりますか?』

 その言葉は意外だった。
 棄権する・・・戦線を離脱する場合にはチーム単位になる。
 それが、一人でも良いと言う。
 この言葉に、後ろに居る二人を見た。

「俺はこのまま続行で問題ないっす」

「私も」

『貴方は如何いたしますか?』

「俺も続行で問題ない」

『畏まりました。では、魔導士アルを棄権させます』

 その言葉に、アルもその女も目の前から消え、更には扉も消えた。
 不思議な現象だが、ここは愛し子が魔法で作った空間。何が起こるのかは、俺達にはわからない・・・。

「ここでの棄権はアルだけだから、扉が消えたのかしら?」

「たぶんそうだろう」

 そう俺とアンが話していると

「せんぱーい!花があったっす!」

 そう言いつつ、ギドが黄色の花を持って来た。
 これでやっと2本目だ・・・。

「それじゃあ、続きだ。確か、この部屋の先には扉はなかったよな?」

「そうね・・・手近な扉には入ったけど、なかったと思うわ」

「俺もそう思うっす」

「ふむ・・・だが確証はないから、通路の先を確認してから引き返すかを考えよう」

「また、さっきのが居たらどうするの?」

「俺が思うにさっきのアンデット同様に、居なくなっている可能性が高い。愛し子様は『驚かす場所』だと言った。俺ならば先程とは違う手で行く」

「それもそうっすね・・・」

「ならここで、あーだこーだ言っても仕方がないから、部屋を出ましょう」

 アンのその言葉で、扉に向かう。


 カチャ・・・カチャ・・カチャカチャ・・・


 何か金属が鳴る音が後ろからする。
 ・・・・振り向かなければよかった。

「せ、先輩・・・扉を開けっるっすーーーー!!!!」

 ギドの言葉と共に、扉を出て元来た通路を走る!
 後ろからは幾つものナイフの様な物が追いかけてくる!

「さっきの奴はいないけど!物理攻撃は、ないんじゃなかったの?!」

「わからん!!とにかく走れーーー!!!」

 通路の角を曲がると、ナイフは壁に突き刺さった・・・。
 間一髪・・・と言ったところか?


 “・・・残念。串刺しにならなかったなぁ・・・”


 心底残念そうな男の声が木霊する・・・。

「ねぇ・・・愛し子様は怖がらすだけ・・・って言ってたわよね?あれ間違いかしら?明らかに敵意があるけど・・・・」

「でも、殺気はないっすよ?」

「グダグダ言っていても仕方がない・・・先に進もう」

 そう言って、俺達は折り返して来た道を進む。


 ペタ・・ペタ・・・ペタペタペタ


「ねぇ・・・また後ろから音がするんだけど・・・」

 アンの言葉に


 バァン!バァンバァン!!


 と窓ガラスに赤い手形が付く。
 そして、窓を割る勢いで音が響く!

 今度は一体、何なんだ!!!
 俺達は、そのまま走り抜け、再び受付まで戻って来た。

「ここな一息つけるっすかね?」

「はぁ・・・はぁ・・っここなら・・問題・・・ないでしょ・・・」

「アン、大丈夫か?」

 そう言えば、アンは魔導士だった・・・。
 ここまで俺達に付いて来られるのならば、魔導士の基礎体力をUPすることを検討してもらえるように、申し出てもいいかも知れんな・・・。

「・・・先輩?なんか、変な事考えてないっすか?」

 ん?ギドは鋭い部分があるな・・・。
 俺もいささか疲れてきたぞ・・・。


 *  *  *


「ねぇルーチェ。意外と人が残ってない?」

「そうだね・・・てぬる過ぎた?なんか・・・もっと・・・こう、キャーキャー言ってもらいたいんだけど・・・」

「そうですね・・・一応、リタイアは出てはいますが・・・あまり多くはないですね」

「それにこの人達、基本的に連携してるから対処出来ててつまらないね」

 そう、私達は複数のモニターの前に居ます。
 なんかさぁ・・・アンデットってこの世界に居るから、兵士とかはたいして驚かないんだよね~。

 唯一、攻撃が出来ないから、逃げるしかない!って感じなだけで・・・。
 それでもまぁ、お化け苦手な人は何人か手術室で脱落はしてるけど・・・。
 ルーチェさんの目指すところは、全員なんだよね!

「仕方がない。ぷらんBに変更だ!!」

 フフフ、恐怖とは決して一つではないのだ!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。 ※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。 ※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・) 更新はめっちゃ不定期です。 ※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。

異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?! はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?! 火・金・日、投稿予定 投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

知らない異世界を生き抜く方法

明日葉
ファンタジー
異世界転生、とか、異世界召喚、とか。そんなジャンルの小説や漫画は好きで読んでいたけれど。よく元ネタになるようなゲームはやったことがない。 なんの情報もない異世界で、当然自分の立ち位置もわからなければ立ち回りもわからない。 そんな状況で生き抜く方法は?

転生したら捕らえられてました。

アクエリア
ファンタジー
~あらすじ~ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 目を覚ますと薄暗い牢獄にいた主人公。 思い付きで魔法を使ってみると、なんと成功してしまった! 牢獄から脱出し騎士団の人たちに保護され、新たな生活を送り始めるも、なかなか平穏は訪れない… 転生少女のチートを駆使したファンタジーライフ! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 見切り発車なので途中キャラぶれの可能性があります。 感想やご指摘、話のリクエストなど待ってます(*^▽^*) これからは不定期更新になります。なかなか内容が思いつかなくて…すみません

処理中です...