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第83話 内紛の気配Ⅲ
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事が起こる数時間前。
カルディアから手を貸してくれないと言われたリエリナはそのことについて話がしたいので、カフェの一室を貸して貰った。
その部屋にある椅子に座るカルディアとリエリナ。
ザガードとセイラはリエリナの後ろに立った。
「セイラ」
「はい。この部屋の周辺にはわたし達以外、誰も居ません」
リエリナに訊ねられて、セイラは耳をピクピクと動かしながら答えた。
それを聞いて、リエリナは満足げに頷きカルディアの方に顔を向ける。
「で、手を貸してほしいってどういう事?」
「そうね。回りくどい話は脇に置いておくわ。このカフェを襲う様に指示した黒幕が誰なのか知りたいから、人手を貸してくれるかしら」
「人手? 何で?」
リエリナはどうして必要なのか分からないで訊ねた。
カルディアは隠す事無いのか口を開いた。
「わたしが買い物に行って、このカフェに寄るという事は誰かがわたしのスケジュールを知ってないと出来ないわ」
「まぁ、貴女を捕まえるという事だからそうなのでしょうね」
「だからね。此処でわたしの所に人を使うと、その黒幕にバレる可能性があるわ」
「それで、わたしの所の私兵を貸してほしいのね」
「そういう事、で受けてくれる?」
「見返りが欲しいわね」
リエリナは直球に言う。
カルディアも流石に何の見返りも無しにこんな話はしないと思って訊ねたのか、それとも単純に何の利益も無しに手を貸す気はないと言っているのかは分からない。
だが、カルディアはそんな考えなどお見通しなのかあっさりと見返りを告げた。
「内紛が起こったら、わたしの家は貴女の義兄イヴァン皇太子側に付くわ」
カルディアの発言を聞いて、リエリナ達は耳を疑った。
国王が世継ぎを決めぬまま逝去した事でイヴァン皇太子とライアン王子との間で跡目争いをが起こる事は目に見ていた。
恐らくだが、ライアン王子側には婚約者のローザアリアの実家であるクラ―トゲシャブは付くだろう。
イヴァン側にもリエリナの実家のローレンベルト家が付くだろう。
其処にカルディアの家であるリウンシュハイム家が加われば、まず負ける事は無い。
他の貴族達も雪崩を打ったかのようにイヴァン皇太子の下に集まるだろう。
「貴女の事だから、内紛が起こったら中立を保つだろうと思ったけど、良いの? 当主の了解も取らないで」
「お父様も了承するわ。というよりもさせるわ」
カルディアの目が本気であった。
「まぁ、そちらの家の事情はどうでも良いわ。口約束じゃない事を祈るわ」
「だったら、契約書でも書く?」
「無用よ。そんなの書いても破られる時は破られるのだから」
「それもそうね。でも、わたしは義理堅いから大丈夫よ。そ、れ、に」
カルディアはザガードを見てニコリと笑う。
「貴女の従者は勧誘しているのに、そんな嫌われる様な事はしないわ」
ウインクするカルディア。
「・・・・・・セイラ。あの時の投げたグラスをどうしてこの女に当てなかったの」
「申し訳ございません」
カルディアに聞こえない様に小声で話す二人。
人助けに投げた物でその人を殺したら本末転倒も良い所だ。
そう思いながら、二人がどんな風に黒幕を捕まえるか話し合った。
作戦はこうだ。
犯人の一人が拘束したカルディアを連れて黒幕達が連れて来いと言った場所で待つ。
黒幕達が姿を見せたら、リエリナの私兵達が捕縛する。
単純だがこれが現状で有効な作戦だと言うカルディア。
リエリナも反対しないで、その作戦を行う事にした。
そして、今に至る。
前に出たザガードは腰に差している愛用の刀を抜いた。
「投降せよ。お前達は完全に包囲されている。また、カルディア様を人質に取ろうとしたら」
塀に梯子を掛けているローレベルト家の私兵達は弓を構える。
少しで不審な動きをすれば矢を放たれるだろう。
包囲されて逃げ道がない以上、抵抗は無意味と理解したのかリウンシュハイム家の分家の者達は腰に差している剣をなどを地面に捨てて両手を挙げた。
それを見て入り口を固めていた私兵達が男達に傍に寄り縄で縛り上げていき、何処かに連行して行った
事は終わったので、自由になったカルディアの傍に行くザガード。
「御無事で何よりです」
「ありがとう」
連れて行かれた者達はどうなるのか気になる所だが、リエリナも言っていた通りにカルディナの家の問題なので自分が口出す事では無いと思い、ザガードは何も訊ねなかった。
カルディアから手を貸してくれないと言われたリエリナはそのことについて話がしたいので、カフェの一室を貸して貰った。
その部屋にある椅子に座るカルディアとリエリナ。
ザガードとセイラはリエリナの後ろに立った。
「セイラ」
「はい。この部屋の周辺にはわたし達以外、誰も居ません」
リエリナに訊ねられて、セイラは耳をピクピクと動かしながら答えた。
それを聞いて、リエリナは満足げに頷きカルディアの方に顔を向ける。
「で、手を貸してほしいってどういう事?」
「そうね。回りくどい話は脇に置いておくわ。このカフェを襲う様に指示した黒幕が誰なのか知りたいから、人手を貸してくれるかしら」
「人手? 何で?」
リエリナはどうして必要なのか分からないで訊ねた。
カルディアは隠す事無いのか口を開いた。
「わたしが買い物に行って、このカフェに寄るという事は誰かがわたしのスケジュールを知ってないと出来ないわ」
「まぁ、貴女を捕まえるという事だからそうなのでしょうね」
「だからね。此処でわたしの所に人を使うと、その黒幕にバレる可能性があるわ」
「それで、わたしの所の私兵を貸してほしいのね」
「そういう事、で受けてくれる?」
「見返りが欲しいわね」
リエリナは直球に言う。
カルディアも流石に何の見返りも無しにこんな話はしないと思って訊ねたのか、それとも単純に何の利益も無しに手を貸す気はないと言っているのかは分からない。
だが、カルディアはそんな考えなどお見通しなのかあっさりと見返りを告げた。
「内紛が起こったら、わたしの家は貴女の義兄イヴァン皇太子側に付くわ」
カルディアの発言を聞いて、リエリナ達は耳を疑った。
国王が世継ぎを決めぬまま逝去した事でイヴァン皇太子とライアン王子との間で跡目争いをが起こる事は目に見ていた。
恐らくだが、ライアン王子側には婚約者のローザアリアの実家であるクラ―トゲシャブは付くだろう。
イヴァン側にもリエリナの実家のローレンベルト家が付くだろう。
其処にカルディアの家であるリウンシュハイム家が加われば、まず負ける事は無い。
他の貴族達も雪崩を打ったかのようにイヴァン皇太子の下に集まるだろう。
「貴女の事だから、内紛が起こったら中立を保つだろうと思ったけど、良いの? 当主の了解も取らないで」
「お父様も了承するわ。というよりもさせるわ」
カルディアの目が本気であった。
「まぁ、そちらの家の事情はどうでも良いわ。口約束じゃない事を祈るわ」
「だったら、契約書でも書く?」
「無用よ。そんなの書いても破られる時は破られるのだから」
「それもそうね。でも、わたしは義理堅いから大丈夫よ。そ、れ、に」
カルディアはザガードを見てニコリと笑う。
「貴女の従者は勧誘しているのに、そんな嫌われる様な事はしないわ」
ウインクするカルディア。
「・・・・・・セイラ。あの時の投げたグラスをどうしてこの女に当てなかったの」
「申し訳ございません」
カルディアに聞こえない様に小声で話す二人。
人助けに投げた物でその人を殺したら本末転倒も良い所だ。
そう思いながら、二人がどんな風に黒幕を捕まえるか話し合った。
作戦はこうだ。
犯人の一人が拘束したカルディアを連れて黒幕達が連れて来いと言った場所で待つ。
黒幕達が姿を見せたら、リエリナの私兵達が捕縛する。
単純だがこれが現状で有効な作戦だと言うカルディア。
リエリナも反対しないで、その作戦を行う事にした。
そして、今に至る。
前に出たザガードは腰に差している愛用の刀を抜いた。
「投降せよ。お前達は完全に包囲されている。また、カルディア様を人質に取ろうとしたら」
塀に梯子を掛けているローレベルト家の私兵達は弓を構える。
少しで不審な動きをすれば矢を放たれるだろう。
包囲されて逃げ道がない以上、抵抗は無意味と理解したのかリウンシュハイム家の分家の者達は腰に差している剣をなどを地面に捨てて両手を挙げた。
それを見て入り口を固めていた私兵達が男達に傍に寄り縄で縛り上げていき、何処かに連行して行った
事は終わったので、自由になったカルディアの傍に行くザガード。
「御無事で何よりです」
「ありがとう」
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