79 / 88
第79話 参ったな
しおりを挟む
とあるカフェの中。
其処では一組の男女が向かい合っていた。
「はい。あ~ん」
カルディアはスプーンをザガードへと突き出した。
そのスプーンにはアイスクリームが一口分乗っていた。
ちなみに、そのスプーンは先程カルディアが使っていたものだ。
「あの」
「あ~ん」
「カルディア様。流石にそれは」
「あ~ん」
「ですから」
「あ~ん」
さっきから「あ~ん」しか言わないカルディア。
これでは話にならないと思うザガード。
仕方が無いので口を開けるザガード。
「美味しい?」
「はい。とても」
「そう。良かった」
カルディアと対面の椅子に座るザガードは口の中に入れたアイスクリームを味わいながら考えた。
どうして、こうなっているのだろうと。
オイゲン達の命令でカルディアの屋敷を向かうと、丁度カルディアは外に出掛ける所だった。
なので、後日改めて訊ねようとしたら。カルディアが。
『今日は従者の仕事は休みなのかしら? じゃあ、申し訳ないけど付き合ってくれないかしら』
と言われた。
話したい事があるので、ついでに訊ねれるかもしれないと思いザガードはその話を受けた。
それでカルディアのお供をする事になった。
カルディアが何処に行くのか訊ねると、買い物だそうだ。
元々のお供と一緒にザガードはカルディアの買い物に付き合った。
ザガード達の両手にはこれでもかと言うぐらいに買った物を持たされた。
その量は馬車に何とか載せれる量であった。
流石に多いので一度、元々のお供の者達は荷物と共に馬車は屋敷に戻る事となった。
その間、適当なカフェに入りカルディアとザガードは一緒に座りデザートを食べていた。
最初ザガードは席に座る事を固辞したが、カルディアが無理矢理座らせた。
そして今に至る。
口の中は甘く冷たい味が広がっている。
普通に食べれれば美味しいと感じれるだろう。普通に食べれれば。
「ぐぬぬ、・・・・・・わたしだってした事が無い事を・・・・・・」
「お嬢様。声が大きいですよ」
ザガードの右斜め後ろの席から怒りに満ちた声が聞こえてきた。
耳が良いザガードはそれだ誰なのか振り返らなくても分かっていた。声の主はリエリナ達だ。
と言うよりも、カルディアの買い物に付き合っている時にこそこそと付け回しているのが見えたのだ。
自分の主人の目があるので、ザガードは素直にアイスクリームを味わう事が出来なかった。
「どうかしたの?」
「いえ、何でもありません」
カルディアは気付いた様子はなかった。
ザガードは咳払いをしてカルディアを見る。
「本日参りましたのはお話ししたい事があり罷り越しました」
「ふぅん。我が家に雇われるという話をする為に来たのではないのね」
カルディアのその一言で、背中に冷や汗が浮かんだ。
「御冗談を」
「そう。で、わたしの下に来たのはあれでしょう。分家がライアン王子に肩入れし始めている事でしょう」
「・・・・・・はい。その通りです」
「まぁ、そんな所でしょうね。別に隠す事でもないから言うけど」
カルディアが言葉を続けようとしたら。
バシーン‼ という音と共にカフェのドアが開いた。
其処では一組の男女が向かい合っていた。
「はい。あ~ん」
カルディアはスプーンをザガードへと突き出した。
そのスプーンにはアイスクリームが一口分乗っていた。
ちなみに、そのスプーンは先程カルディアが使っていたものだ。
「あの」
「あ~ん」
「カルディア様。流石にそれは」
「あ~ん」
「ですから」
「あ~ん」
さっきから「あ~ん」しか言わないカルディア。
これでは話にならないと思うザガード。
仕方が無いので口を開けるザガード。
「美味しい?」
「はい。とても」
「そう。良かった」
カルディアと対面の椅子に座るザガードは口の中に入れたアイスクリームを味わいながら考えた。
どうして、こうなっているのだろうと。
オイゲン達の命令でカルディアの屋敷を向かうと、丁度カルディアは外に出掛ける所だった。
なので、後日改めて訊ねようとしたら。カルディアが。
『今日は従者の仕事は休みなのかしら? じゃあ、申し訳ないけど付き合ってくれないかしら』
と言われた。
話したい事があるので、ついでに訊ねれるかもしれないと思いザガードはその話を受けた。
それでカルディアのお供をする事になった。
カルディアが何処に行くのか訊ねると、買い物だそうだ。
元々のお供と一緒にザガードはカルディアの買い物に付き合った。
ザガード達の両手にはこれでもかと言うぐらいに買った物を持たされた。
その量は馬車に何とか載せれる量であった。
流石に多いので一度、元々のお供の者達は荷物と共に馬車は屋敷に戻る事となった。
その間、適当なカフェに入りカルディアとザガードは一緒に座りデザートを食べていた。
最初ザガードは席に座る事を固辞したが、カルディアが無理矢理座らせた。
そして今に至る。
口の中は甘く冷たい味が広がっている。
普通に食べれれば美味しいと感じれるだろう。普通に食べれれば。
「ぐぬぬ、・・・・・・わたしだってした事が無い事を・・・・・・」
「お嬢様。声が大きいですよ」
ザガードの右斜め後ろの席から怒りに満ちた声が聞こえてきた。
耳が良いザガードはそれだ誰なのか振り返らなくても分かっていた。声の主はリエリナ達だ。
と言うよりも、カルディアの買い物に付き合っている時にこそこそと付け回しているのが見えたのだ。
自分の主人の目があるので、ザガードは素直にアイスクリームを味わう事が出来なかった。
「どうかしたの?」
「いえ、何でもありません」
カルディアは気付いた様子はなかった。
ザガードは咳払いをしてカルディアを見る。
「本日参りましたのはお話ししたい事があり罷り越しました」
「ふぅん。我が家に雇われるという話をする為に来たのではないのね」
カルディアのその一言で、背中に冷や汗が浮かんだ。
「御冗談を」
「そう。で、わたしの下に来たのはあれでしょう。分家がライアン王子に肩入れし始めている事でしょう」
「・・・・・・はい。その通りです」
「まぁ、そんな所でしょうね。別に隠す事でもないから言うけど」
カルディアが言葉を続けようとしたら。
バシーン‼ という音と共にカフェのドアが開いた。
0
お気に入りに追加
91
あなたにおすすめの小説
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。
しかも、定番の悪役令嬢。
いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。
ですから婚約者の王子様。
私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。
勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる
千環
恋愛
第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。
なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を庇おうとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる