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第78話 命令とあれば
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オイゲン達の頼み事とは即ち命令と同義語だ。
それが分かっているザガードは畏まった。
「何なりとご命令ください。如何なる命令であっても完遂致します」
ザガードが頭を下げた。
「そうか。では、お前に頼みたい事はリウンシュハイム家の本家のカルディア=フォン=リウンシュハイムの事を知っているな」
「はい。勿論です」
本人は認めないがリエリナの数少ない友人だ。カルディアはシーリアとも親しくしている。
「最近リウンシュハイム家の分家がどうも不審な行動を取っている。その事を次期当主であるカルディアに直接聞いて来てくれないか」
「わたしがですか?」
「うむ。君なら、カルディア嬢とも親しくしているからな。それに、彼女も君の事を大層気に入っているそうじゃないか」
「はい。そうですね」
何せ、リエリナのお供で来ると必ず勧誘してくる。
気に入っていると言っても過言ではない。
「では、リエリナ様と共に行くという事ですか?」
「いや、違う。君一人で行ってくれ」
オイゲンの一言を聞いて、ザガードは目を剥いた。
「わたし一人ですか?」
「ああ、お前一人の方が彼女も気を許すだろう。それに、リエリナが傍に居たら心の内を話すかどうか分からないからな」
「確かにそうですが。わたしはお嬢様の従者ですから」
ザガードはリエリナの傍を離れると問題ではと尋ねた。
「問題ない。リエリナが屋敷から出さなければ良いのだからな」
「幸いにも陛下がお亡くなりなり学校は暫く休校だ。家に居ても問題ない」
「分かりました。ご命令に従います」
「頼む」
「明日にでも行ってくれ。事前の調べではカルディア嬢も明日は屋敷に居ると報告を聞いている」
「はっ」
ザガードは一礼して部屋から出て行った。
翌日。
ザガードは何時もの習慣で何時もの時間に目覚めた。
目覚めて、服を着ているとはたっと気付いた。
今日はオイゲン達に命令された事があった事を思い出した。
「服は来たから、腰に愛刀を下げれば良いか」
ザガードは部屋の壁に付けている刀掛けに掛けている刀に手を伸ばした。
其処には二振りの刀を掛けていた。
ザガードはその二振りの刀を取り、左腰に差した。
「さて、行くか」
部屋を出たザガード。
廊下を歩いていると、一応リエリナに言ってから出た方が良いかなと思った。
「・・・・・・まぁ、良いか。後の事は旦那様に任せたら大丈夫だろう」
そう思い、ザガードはリエリナに何も言わず屋敷から出て行った。
その後姿を廊下の角から見る者達が居た。
「むぅ、わたしに一言も断りを入れないなんて失礼ね」
「お嬢様の気持ちを考えたからでは?」
其処にはリエリナとセイラが居た。
「むぅ、こうなったら後を付けて何をしたのか、屋敷に帰って来たら問い詰めてやる」
「はぁ。お嬢様。干渉が過ぎると嫌われますよ」
リエリナ達はザガードの後を追い掛けた。
それが分かっているザガードは畏まった。
「何なりとご命令ください。如何なる命令であっても完遂致します」
ザガードが頭を下げた。
「そうか。では、お前に頼みたい事はリウンシュハイム家の本家のカルディア=フォン=リウンシュハイムの事を知っているな」
「はい。勿論です」
本人は認めないがリエリナの数少ない友人だ。カルディアはシーリアとも親しくしている。
「最近リウンシュハイム家の分家がどうも不審な行動を取っている。その事を次期当主であるカルディアに直接聞いて来てくれないか」
「わたしがですか?」
「うむ。君なら、カルディア嬢とも親しくしているからな。それに、彼女も君の事を大層気に入っているそうじゃないか」
「はい。そうですね」
何せ、リエリナのお供で来ると必ず勧誘してくる。
気に入っていると言っても過言ではない。
「では、リエリナ様と共に行くという事ですか?」
「いや、違う。君一人で行ってくれ」
オイゲンの一言を聞いて、ザガードは目を剥いた。
「わたし一人ですか?」
「ああ、お前一人の方が彼女も気を許すだろう。それに、リエリナが傍に居たら心の内を話すかどうか分からないからな」
「確かにそうですが。わたしはお嬢様の従者ですから」
ザガードはリエリナの傍を離れると問題ではと尋ねた。
「問題ない。リエリナが屋敷から出さなければ良いのだからな」
「幸いにも陛下がお亡くなりなり学校は暫く休校だ。家に居ても問題ない」
「分かりました。ご命令に従います」
「頼む」
「明日にでも行ってくれ。事前の調べではカルディア嬢も明日は屋敷に居ると報告を聞いている」
「はっ」
ザガードは一礼して部屋から出て行った。
翌日。
ザガードは何時もの習慣で何時もの時間に目覚めた。
目覚めて、服を着ているとはたっと気付いた。
今日はオイゲン達に命令された事があった事を思い出した。
「服は来たから、腰に愛刀を下げれば良いか」
ザガードは部屋の壁に付けている刀掛けに掛けている刀に手を伸ばした。
其処には二振りの刀を掛けていた。
ザガードはその二振りの刀を取り、左腰に差した。
「さて、行くか」
部屋を出たザガード。
廊下を歩いていると、一応リエリナに言ってから出た方が良いかなと思った。
「・・・・・・まぁ、良いか。後の事は旦那様に任せたら大丈夫だろう」
そう思い、ザガードはリエリナに何も言わず屋敷から出て行った。
その後姿を廊下の角から見る者達が居た。
「むぅ、わたしに一言も断りを入れないなんて失礼ね」
「お嬢様の気持ちを考えたからでは?」
其処にはリエリナとセイラが居た。
「むぅ、こうなったら後を付けて何をしたのか、屋敷に帰って来たら問い詰めてやる」
「はぁ。お嬢様。干渉が過ぎると嫌われますよ」
リエリナ達はザガードの後を追い掛けた。
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