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第69話 事情を聞いた
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その後もカトリーヌはライアンに話しかけるのだが、会話が成り立っていなかった。
ライアンは「この後、用事がある」と行ってカトリーヌの手の甲にキスをしてその場を離れて行った。
ライアンが離れて行くのを見届けると、リエリナ達は物陰から顔を出した。
そして、カトリーヌに近付く。
「あっ、リエリナ様にザガードさん」
物陰から出た二人を見るなり一礼するカトリーヌ。
「御機よう。カトリーヌ様」
「はい。御機嫌よう」
「話は聞いているけど、一応本人からも話を聞きたいと思い来たのだけど」
其処まで言ってリエリナは溜め息を吐いた。
「はぁ、わたしも話をしているのですが。どうにも」
カトリーヌも疲れた様な顔をしていた。
「そもそも、ローザリア様と話をして涙を流したと聞くけど、其処の所はどうなの?」
「はい。話を聞いての通りです。リウンシュハイム家からの妨害も嫌がらせも受ける事は無くなると思うと、嬉しくてつい涙が零れまして」
「間の悪い王子だこと」
首を振るリエリナ。
「人の話を聞かないお方なんですね」
「わたしも初めて知りました」
「まぁ、その内、向こうが誤解だと知って頭を下げるでしょう。それまで静観しておきましょうか」
「ライアン王子が頭を下げますかね?」
「其処はあれよ。人が沢山居る所に自分の婚約者を平手打ちする様な男に人気があると思う?」
「わたしはには何とも」
ライアンは見栄えするので女性には人気がある。
対して男性には不人気だ。
気位が高い所為か居丈高に振舞う。
その振る舞いが横柄すぎるので、男子生徒達から一番に名前が上がるほどだ。
ちなみに二番目にはザガードの名前が挙がっている。
その話を親しくしているティルズから聞いた時は、ザガードは首を傾げた。
リエリナもそれを聞いて何となく察した。
本人は気にしてないが、ザガードは女性受けする顔だ。
その上剣術も練達している。魔法の方はやや苦手ではあるが其処は弱点を点にしなかった。
奴隷上がりとは言え、礼儀正しく人当たりも悪くない。
実は他の家から引き抜きの話が出ているが、其処はリエリナの手で密かに潰していた。
「ともかく、この話はこれで終わりよ。ところで、カトリーヌ様」
「はい。何ですか?」
「今日は暇かしら?」
「はい。大丈夫ですけど」
「そう。だったら。放課後にお茶でもしましょう」
「っ⁉ 良いのですか?」
「ええ、今日は暇だから」
「分かりました。では、放課後にそちらの教室に行きますねっ」
「それと絶対にライアン王子を連れてこないでね」
「わ、分かりました」
リエリナが真面目な顔で言うのでカトリーヌも頷いた。
カトリーヌが離れて行くと、ザガードはリエリナの傍に行く。
「良いのですか? 面倒な事に巻き込まれると思い避けていたのでは?」
「大丈夫よ」
リエリナはもう問題は起こらないだろうと思い答えた。
ザガードは大丈夫かなと思いながらも何も言わなかった。
ライアンは「この後、用事がある」と行ってカトリーヌの手の甲にキスをしてその場を離れて行った。
ライアンが離れて行くのを見届けると、リエリナ達は物陰から顔を出した。
そして、カトリーヌに近付く。
「あっ、リエリナ様にザガードさん」
物陰から出た二人を見るなり一礼するカトリーヌ。
「御機よう。カトリーヌ様」
「はい。御機嫌よう」
「話は聞いているけど、一応本人からも話を聞きたいと思い来たのだけど」
其処まで言ってリエリナは溜め息を吐いた。
「はぁ、わたしも話をしているのですが。どうにも」
カトリーヌも疲れた様な顔をしていた。
「そもそも、ローザリア様と話をして涙を流したと聞くけど、其処の所はどうなの?」
「はい。話を聞いての通りです。リウンシュハイム家からの妨害も嫌がらせも受ける事は無くなると思うと、嬉しくてつい涙が零れまして」
「間の悪い王子だこと」
首を振るリエリナ。
「人の話を聞かないお方なんですね」
「わたしも初めて知りました」
「まぁ、その内、向こうが誤解だと知って頭を下げるでしょう。それまで静観しておきましょうか」
「ライアン王子が頭を下げますかね?」
「其処はあれよ。人が沢山居る所に自分の婚約者を平手打ちする様な男に人気があると思う?」
「わたしはには何とも」
ライアンは見栄えするので女性には人気がある。
対して男性には不人気だ。
気位が高い所為か居丈高に振舞う。
その振る舞いが横柄すぎるので、男子生徒達から一番に名前が上がるほどだ。
ちなみに二番目にはザガードの名前が挙がっている。
その話を親しくしているティルズから聞いた時は、ザガードは首を傾げた。
リエリナもそれを聞いて何となく察した。
本人は気にしてないが、ザガードは女性受けする顔だ。
その上剣術も練達している。魔法の方はやや苦手ではあるが其処は弱点を点にしなかった。
奴隷上がりとは言え、礼儀正しく人当たりも悪くない。
実は他の家から引き抜きの話が出ているが、其処はリエリナの手で密かに潰していた。
「ともかく、この話はこれで終わりよ。ところで、カトリーヌ様」
「はい。何ですか?」
「今日は暇かしら?」
「はい。大丈夫ですけど」
「そう。だったら。放課後にお茶でもしましょう」
「っ⁉ 良いのですか?」
「ええ、今日は暇だから」
「分かりました。では、放課後にそちらの教室に行きますねっ」
「それと絶対にライアン王子を連れてこないでね」
「わ、分かりました」
リエリナが真面目な顔で言うのでカトリーヌも頷いた。
カトリーヌが離れて行くと、ザガードはリエリナの傍に行く。
「良いのですか? 面倒な事に巻き込まれると思い避けていたのでは?」
「大丈夫よ」
リエリナはもう問題は起こらないだろうと思い答えた。
ザガードは大丈夫かなと思いながらも何も言わなかった。
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