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第65話 これをどうしろと⁈
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「ご当主様。無礼ながらお聞きしてもよろしいですか?」
「何だ? ザガード」
これだけは確認したいザガードはオイゲンに訊ねた。
「イグリス陛下はお目覚めになるのですか?」
「・・・・・・陛下のお身体を見る御医が言うには。このまま目覚める可能性は低く、このまま御隠れになる可能性の方が高いとの事だ」
言葉にするの少し躊躇ったオイゲンであったが、此処に居る者達は口が堅いと見込んで話す事にした。
その言葉を聞いて、皆は先程よりも衝撃を受けた顔をしていた。
「では、そう遠くない内に王位継承権の争いが?」
不敬と思いつつもザガードは言う。
「・・・・・・一つの可能性としてはある」
「そうなった場合、当家はイヴァン王子側に?」
「無論そうなる。というよりも、世間ではもう既に我が家はイヴァン王子側と思われているだろう」
「ご当主がそう決めているのであれば我々は従います」
ウエインが代表して答えると、周りに居る者達は全員、同意とばかりに頷いた。
話が終ると、皆部屋から出て行った。
ザガードは自室に戻る前に、リエリナの様子を見た方が良いと思いリエリナの部屋へと向かう。
少し歩き、リエリナの部屋の前に着くとザガードは身なりを正した。
何処も変な所が無いと分かると、ドアをノックした。
「お嬢様。ザガードです。お話がしたいのですが?」
「・・・・・・どうぞ~」
返事に少し間があった事が気になりつつも、ザガードはドアを開けた。
そして、ドアが開けた先の光景を見て絶句するザガード。
「ああ、ざがーどだあああ、わらひにあいにきたの~~~~?」
部屋の主であるリエリナが顔を赤らめてだらしない顔をしていたのだ。
リエリナの足元には沢山の瓶が横になって倒れていた。
ザガードはその横になっている瓶を手に取り口に鼻を当てて中身の匂いを嗅いだ。
「っ⁈ これは酒じゃないかっ」
「はっはは、偶にはこうして気晴らししないとこいつも肩が凝るだろうからな」
リエリナの傍で酒瓶をラッパ飲みしながら豪快に笑うのはリエリナの姉のゼノミティアであった。
それを見て、リエリナに酒を勧めたのはこの人だとザガードは直ぐに分かった。
「ゼノミティア様。リエリナ様はまだ成人ではないのですから、酒を飲むのは早いと思うのですが?」
「気晴らしに飲むのなら良いだろう。・・・・・・んっ、酒が切れたな。ちょっと厨房に行って幾つか持ってくるか」
酒瓶の中身を覗き込んで一滴も無いのでゼノミティアは立ち上がり部屋から出て行った。
「ゼノミティア様⁉」
ザガードが声を掛けて止めようとしたが、その声が聞こえないのかあるいは早く酒が飲みたいのかゼノミティアは部屋から出て行った。
ゼノミティアを見送ったザガードの裾が掴まれた。
何だと思い振り返ると、頬を膨らませたリエリナが居た。
「もう~、おねえさまじゃなくて、わたひをかわいなさい~、あなたは、わたひのじゅうちゃなんだから~」
「リエリナ様。そろそろ、お酒をお控えになった方がもうかなり酔っている様ですから」
「よっへない‼」
「酔っ払い皆そう言うのです」
「そんなころはいいひから~、ざがーどものみひょ」
そう言ってリエリナは自分の隣に来るようにと手で叩く。
めんどくさいなと思いつつも此処は従うしかないなと思いザガードは従う事にした。
「何だ? ザガード」
これだけは確認したいザガードはオイゲンに訊ねた。
「イグリス陛下はお目覚めになるのですか?」
「・・・・・・陛下のお身体を見る御医が言うには。このまま目覚める可能性は低く、このまま御隠れになる可能性の方が高いとの事だ」
言葉にするの少し躊躇ったオイゲンであったが、此処に居る者達は口が堅いと見込んで話す事にした。
その言葉を聞いて、皆は先程よりも衝撃を受けた顔をしていた。
「では、そう遠くない内に王位継承権の争いが?」
不敬と思いつつもザガードは言う。
「・・・・・・一つの可能性としてはある」
「そうなった場合、当家はイヴァン王子側に?」
「無論そうなる。というよりも、世間ではもう既に我が家はイヴァン王子側と思われているだろう」
「ご当主がそう決めているのであれば我々は従います」
ウエインが代表して答えると、周りに居る者達は全員、同意とばかりに頷いた。
話が終ると、皆部屋から出て行った。
ザガードは自室に戻る前に、リエリナの様子を見た方が良いと思いリエリナの部屋へと向かう。
少し歩き、リエリナの部屋の前に着くとザガードは身なりを正した。
何処も変な所が無いと分かると、ドアをノックした。
「お嬢様。ザガードです。お話がしたいのですが?」
「・・・・・・どうぞ~」
返事に少し間があった事が気になりつつも、ザガードはドアを開けた。
そして、ドアが開けた先の光景を見て絶句するザガード。
「ああ、ざがーどだあああ、わらひにあいにきたの~~~~?」
部屋の主であるリエリナが顔を赤らめてだらしない顔をしていたのだ。
リエリナの足元には沢山の瓶が横になって倒れていた。
ザガードはその横になっている瓶を手に取り口に鼻を当てて中身の匂いを嗅いだ。
「っ⁈ これは酒じゃないかっ」
「はっはは、偶にはこうして気晴らししないとこいつも肩が凝るだろうからな」
リエリナの傍で酒瓶をラッパ飲みしながら豪快に笑うのはリエリナの姉のゼノミティアであった。
それを見て、リエリナに酒を勧めたのはこの人だとザガードは直ぐに分かった。
「ゼノミティア様。リエリナ様はまだ成人ではないのですから、酒を飲むのは早いと思うのですが?」
「気晴らしに飲むのなら良いだろう。・・・・・・んっ、酒が切れたな。ちょっと厨房に行って幾つか持ってくるか」
酒瓶の中身を覗き込んで一滴も無いのでゼノミティアは立ち上がり部屋から出て行った。
「ゼノミティア様⁉」
ザガードが声を掛けて止めようとしたが、その声が聞こえないのかあるいは早く酒が飲みたいのかゼノミティアは部屋から出て行った。
ゼノミティアを見送ったザガードの裾が掴まれた。
何だと思い振り返ると、頬を膨らませたリエリナが居た。
「もう~、おねえさまじゃなくて、わたひをかわいなさい~、あなたは、わたひのじゅうちゃなんだから~」
「リエリナ様。そろそろ、お酒をお控えになった方がもうかなり酔っている様ですから」
「よっへない‼」
「酔っ払い皆そう言うのです」
「そんなころはいいひから~、ざがーどものみひょ」
そう言ってリエリナは自分の隣に来るようにと手で叩く。
めんどくさいなと思いつつも此処は従うしかないなと思いザガードは従う事にした。
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