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第58話 仰せのままに
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ザガード達が教練場で待っていると、ようやくリウンシュハイム家の者達がやって来た。
しかし、その人数を見て眉を顰めるザガード。
先程カトリーヌを脅迫していた人数は五人であったが、何時の間に呼んでいたのか十人になっていた。
「遅くなったな」
「我々の準備は完了だ」
リウンシュハイム家の者達は剣を構える。
教練場の照明の明かりに当たると、刀身の部分が鈍く光った。
その光を見て、ザガードは相手が持っている剣が何なのか分かった。
ザガードは内心思った。
(真剣だな? あいつらは馬鹿なのか?)
ザガードが持っている剣は訓練用で刃引きはしてあるが真剣とお区別の為に光に当てても光らない様に細工をしている。
こんな所で刃傷沙汰を起こせば自分達も処罰されるとは考えないのだろうかと思うザガード。
「リエリナ様。今回の決闘をする前に二つほど確認したい事があるが宜しいか」
「何かしら?」
「まず一つは見届け人を用意してなかったので、こちらで用意したが問題あるか?」
「ないわよ」
「では、最後にもう一つ。今回の決闘の勝者は何を得るのでしょうか?」
「そうね。・・・・・・」
リエリナは考えていなかったのか少し考える。
「・・・・・・そうだわ。貴方達が勝ったらわたしが殿下を紹介してあげるわ」
「っ⁉ 真でしょうな?」
「嘘はつかないわ。でも、わたし達が勝ったら今回の事を貴方達の本家の者に話すけどいいわね」
リエリナの条件を聞いてリウンシュハイム家の者達は一瞬顔を顰めたが直ぐに笑みを浮かべた。
「その条件で我らは問題ないです」
「なら、良いわね。で、見届け人は?」
リエリナが訊ねるとリウンシュハイム家の者達の中でリーダー格の者が手を叩いた。
すると、リウンシュハイム家の者達が開けたドアから人が入って来た。
年齢は三十代後半の男性で教職のようだが、残念ながらザガード達は見た事が無い顔であった。
「こちらの方は?」
「こちらは当学園の教員で副教頭のガリアン=フォン=ヒシュリテンです」
「お初にお目に掛かります」
紹介を受けたガリアンはリエリナに一礼する。
リエリナも会釈で返して、ザガードを手招きする。
観客席と試合場は柵で区切られているので、柵越しで話す二人。
「お嬢様。あの方は」
「みなまで言わなくても分かるわ。多分、リウンシュハイム家の分家の者でしょうね。向こうが勝つ為に呼んだんでしょうね」
「でしょうね。で、如何しますか?」
「完膚なきまで誰が見ても文句が出ない勝ち方をしなさい」
「承知しました」
「相手は十人だけど問題ないでしょう?」
「はい。寧ろ十対一でも勝てます」
ザガードは先程、相手の動きや足運びなどを見たがどう見ても戦った事がある者の動きではなかった。
なので、真剣を持っていたとしても問題なく勝つ自信があるザガード。
「じゃあ、そうしましょうか」
リエリナはザガードと話すのは止めて、相手を見る。
「一対一では時間が掛かるから纏めて相手をするでいいわね」
それを聞いたリウンシュハイム家の者達はぎょっとした。
審判のガリアンも本気かという顔をしていた。
「構わないわね?」
「仰せのままに。お嬢様」
ザガードは一礼して、試合場に入る。
そして、訓練用の剣を構える。
「では、お相手を」
「ふざけた事をっ」
「良いだろう。その大言壮語に後悔するが良い」
リウンシュハイム家の者達は全員、試合場に入り剣を構えた。
全員、その構え方を見て勝てるとザガートは思った。
そんな思い顔には出さないで真面目な顔をするザガード。
「では、始め!」
審判のガリアンが開始の声と共にリウンシュハイム家の者達は声を上げて駈け出した。
しかし、その人数を見て眉を顰めるザガード。
先程カトリーヌを脅迫していた人数は五人であったが、何時の間に呼んでいたのか十人になっていた。
「遅くなったな」
「我々の準備は完了だ」
リウンシュハイム家の者達は剣を構える。
教練場の照明の明かりに当たると、刀身の部分が鈍く光った。
その光を見て、ザガードは相手が持っている剣が何なのか分かった。
ザガードは内心思った。
(真剣だな? あいつらは馬鹿なのか?)
ザガードが持っている剣は訓練用で刃引きはしてあるが真剣とお区別の為に光に当てても光らない様に細工をしている。
こんな所で刃傷沙汰を起こせば自分達も処罰されるとは考えないのだろうかと思うザガード。
「リエリナ様。今回の決闘をする前に二つほど確認したい事があるが宜しいか」
「何かしら?」
「まず一つは見届け人を用意してなかったので、こちらで用意したが問題あるか?」
「ないわよ」
「では、最後にもう一つ。今回の決闘の勝者は何を得るのでしょうか?」
「そうね。・・・・・・」
リエリナは考えていなかったのか少し考える。
「・・・・・・そうだわ。貴方達が勝ったらわたしが殿下を紹介してあげるわ」
「っ⁉ 真でしょうな?」
「嘘はつかないわ。でも、わたし達が勝ったら今回の事を貴方達の本家の者に話すけどいいわね」
リエリナの条件を聞いてリウンシュハイム家の者達は一瞬顔を顰めたが直ぐに笑みを浮かべた。
「その条件で我らは問題ないです」
「なら、良いわね。で、見届け人は?」
リエリナが訊ねるとリウンシュハイム家の者達の中でリーダー格の者が手を叩いた。
すると、リウンシュハイム家の者達が開けたドアから人が入って来た。
年齢は三十代後半の男性で教職のようだが、残念ながらザガード達は見た事が無い顔であった。
「こちらの方は?」
「こちらは当学園の教員で副教頭のガリアン=フォン=ヒシュリテンです」
「お初にお目に掛かります」
紹介を受けたガリアンはリエリナに一礼する。
リエリナも会釈で返して、ザガードを手招きする。
観客席と試合場は柵で区切られているので、柵越しで話す二人。
「お嬢様。あの方は」
「みなまで言わなくても分かるわ。多分、リウンシュハイム家の分家の者でしょうね。向こうが勝つ為に呼んだんでしょうね」
「でしょうね。で、如何しますか?」
「完膚なきまで誰が見ても文句が出ない勝ち方をしなさい」
「承知しました」
「相手は十人だけど問題ないでしょう?」
「はい。寧ろ十対一でも勝てます」
ザガードは先程、相手の動きや足運びなどを見たがどう見ても戦った事がある者の動きではなかった。
なので、真剣を持っていたとしても問題なく勝つ自信があるザガード。
「じゃあ、そうしましょうか」
リエリナはザガードと話すのは止めて、相手を見る。
「一対一では時間が掛かるから纏めて相手をするでいいわね」
それを聞いたリウンシュハイム家の者達はぎょっとした。
審判のガリアンも本気かという顔をしていた。
「構わないわね?」
「仰せのままに。お嬢様」
ザガードは一礼して、試合場に入る。
そして、訓練用の剣を構える。
「では、お相手を」
「ふざけた事をっ」
「良いだろう。その大言壮語に後悔するが良い」
リウンシュハイム家の者達は全員、試合場に入り剣を構えた。
全員、その構え方を見て勝てるとザガートは思った。
そんな思い顔には出さないで真面目な顔をするザガード。
「では、始め!」
審判のガリアンが開始の声と共にリウンシュハイム家の者達は声を上げて駈け出した。
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