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第39話 ダンスは苦手なのだが
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自分が偶々目を向けた先に、ローザアリアが居て驚くザガード。
向こうもザガードを見つけたようで、微笑みながら会釈した。
ザガードも会釈した。
(周りには、いつも傍に居るシオーネは居ないようだな)
ざっと、ローザアリアを見て、シオーネが居ない事に気付いた。
護衛役の者が傍に居ないのは、恐らく飲み物を取りに行っているのだろう。
そう思っていると、ローザアリアがザガードに向かって来る。
何故と思いつつ、ザガードは内心の動揺を顔に出さない様に努力しながら、ローザアリアを迎える。
「これは、ローザアリア様。ご機嫌麗しゅう」
ザガードは一礼すると、ローザアリアはキョロキョロと周りを見だした。
だが、誰も居ない事が分かると、ザガードに挨拶した。
「ええ、まさか、マーガレット様の誕生日パーティーで会えるとは思わなかったわ」
マーガレットの名前を呼ぶと言う事は、マーガレットと親しくしているのだと分かり、ザガードは訊ねた。
「ローザアリア様はフェニクテンプル様とはどういう関係なのですか?」
「簡単に言えば、わたしの姉弟子よ。マーガレット様が弓道部に入っているの知っているでしょう。部活動の紹介の時に弓道部を代表して演舞をしていたでしょう」
「はい。見ているので知っております」
「わたしも弓を習っているのだけど、その先生の娘さんがマーガレット様なのよ」
「成程。という事は、ローザアリア様も弓が出来るのですか?」
ザガードは弓を構えて、弦を引くジェスチャーをした。
「そうね。それなりに出来るわ。でも、マーガレット様と比べたら駄目よ」
「承知しました」
「ところで、貴方が居るのだから、リエリナ様も居るのでしょう。リエリナ様はどちらにおられるの?」
「・・・只今、お花を摘みに」
「そう、じゃあ、後で挨拶させてもらうわ」
「承知しました。ところで、何時も一緒におられる方は如何なさいました?」
「ああ、シオーネ? あの子なら、今は飲み物を貰いにいかせているわ」
「そうですか」
と、ローザアリアと話をしていると、音楽が変わりだした。
「音楽が変わりましたね」
「そうね」
ローザアリアがそう答えるのを聞いて、ザガードは会場を見る。
先程までは、談笑していた人達が手を取って、音楽に合わせて踊りだした。
音楽が変わるという事は、ダンスを踊る時間になったという事だ。
パーティーにダンスは付きものなので、特に変ではない。
ローザアリアがその音楽を聞いて、ザガードに手を伸ばした。
「踊っていただけるかしら?」
ザガードはそれを聞いて、胸が高鳴るのを感じた。
話をしているの時も、少しドキドキしていた心臓が、ローザアリアが手を伸ばしてくれた事で、更に激しく脈動しだした。
ザガードは手を震わせながら、その手を取る。
『女性にダンスを誘われたら、断るのは無礼だからするな』
とセイラに言われたので、ザガードはローザアリアの手を取る。
「喜んで」
そう言って、ザガード達はダンス会場と化した場所に向かう。
向こうもザガードを見つけたようで、微笑みながら会釈した。
ザガードも会釈した。
(周りには、いつも傍に居るシオーネは居ないようだな)
ざっと、ローザアリアを見て、シオーネが居ない事に気付いた。
護衛役の者が傍に居ないのは、恐らく飲み物を取りに行っているのだろう。
そう思っていると、ローザアリアがザガードに向かって来る。
何故と思いつつ、ザガードは内心の動揺を顔に出さない様に努力しながら、ローザアリアを迎える。
「これは、ローザアリア様。ご機嫌麗しゅう」
ザガードは一礼すると、ローザアリアはキョロキョロと周りを見だした。
だが、誰も居ない事が分かると、ザガードに挨拶した。
「ええ、まさか、マーガレット様の誕生日パーティーで会えるとは思わなかったわ」
マーガレットの名前を呼ぶと言う事は、マーガレットと親しくしているのだと分かり、ザガードは訊ねた。
「ローザアリア様はフェニクテンプル様とはどういう関係なのですか?」
「簡単に言えば、わたしの姉弟子よ。マーガレット様が弓道部に入っているの知っているでしょう。部活動の紹介の時に弓道部を代表して演舞をしていたでしょう」
「はい。見ているので知っております」
「わたしも弓を習っているのだけど、その先生の娘さんがマーガレット様なのよ」
「成程。という事は、ローザアリア様も弓が出来るのですか?」
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「そうね。それなりに出来るわ。でも、マーガレット様と比べたら駄目よ」
「承知しました」
「ところで、貴方が居るのだから、リエリナ様も居るのでしょう。リエリナ様はどちらにおられるの?」
「・・・只今、お花を摘みに」
「そう、じゃあ、後で挨拶させてもらうわ」
「承知しました。ところで、何時も一緒におられる方は如何なさいました?」
「ああ、シオーネ? あの子なら、今は飲み物を貰いにいかせているわ」
「そうですか」
と、ローザアリアと話をしていると、音楽が変わりだした。
「音楽が変わりましたね」
「そうね」
ローザアリアがそう答えるのを聞いて、ザガードは会場を見る。
先程までは、談笑していた人達が手を取って、音楽に合わせて踊りだした。
音楽が変わるという事は、ダンスを踊る時間になったという事だ。
パーティーにダンスは付きものなので、特に変ではない。
ローザアリアがその音楽を聞いて、ザガードに手を伸ばした。
「踊っていただけるかしら?」
ザガードはそれを聞いて、胸が高鳴るのを感じた。
話をしているの時も、少しドキドキしていた心臓が、ローザアリアが手を伸ばしてくれた事で、更に激しく脈動しだした。
ザガードは手を震わせながら、その手を取る。
『女性にダンスを誘われたら、断るのは無礼だからするな』
とセイラに言われたので、ザガードはローザアリアの手を取る。
「喜んで」
そう言って、ザガード達はダンス会場と化した場所に向かう。
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