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第29話 ひょんなことから
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翌日。
朝になったので、ザガードは顔を洗い寝間着から制服に着換えて私室を出た。
部屋を出て、公爵家の家族達が食事をする部屋に向かう。
その部屋に向かう途中、使用人にすれ違ったのだが。
「ぷっ」
その使用人はザガードに挨拶しようとしたら、ザガードの顔を見るなりプッと吹きだした。
そして、手で口を抑えながら肩を震わせていた。
ザガードはそんな失礼な事をされても怒る事もなく、そのまま通り過ぎた。
それからも、使用人達とすれ違う度に、皆、吹きだした。
皆、何故吹きだしたのかと言うと、これには理由があった。
原因は昨日のリエリナが作った料理だ。
尋常じゃない量の唐辛子を入れた所為で、その日の夜には、ザガードの唇が赤く腫れあがっていた。
医者に見せると、唐辛子の辛みで一時的に赤く腫れあがっているだけなので、二日ほどしたら治ると言われた。
なので、ザガードは暫くの間、この赤く腫れあがった唇のままで過ごす事となった。
使用人達も分かってはいるのだが、普段のザガードとあまりに違うので思わず笑っていた。
ザガードは仕方が無いなと思いつつ、食事をする部屋へと向かった。
食事をする部屋の前まで来ると、扉を守っている私兵の者達がザガードを見るなり笑い出しそうになったが、慌てて口を手で塞いで笑うのを堪えた。
そして、扉を開けてザガードを部屋に入れた。
部屋に入ると、リエリナは既に食事を取っていた。
ザガードがリエリナの方を見ると、プイっと顔を背けるリエリナ。
(まだ、機嫌が悪いのか?)
昨日から何も話していないので、どうして機嫌が悪いのか分からないザガード。
なので、此処はほとぼりが冷めるのを待つ事にした。
朝食を食べ終えたザガード達は、馬車に乗って学園へと向かう。
例の如く、御者役のオロルフに笑われたが、ザガードは気にせず馬車に乗り込んだ。
馬車に揺られながら、二人が乗り込んだ馬車の中は静かであった。
いつもは、リエリナが暇つぶしに話しかけるのだが、今日は一言も話さない。
そんな無言の中、ザガードは窓から見える景色を眺めていた。
(今日は、朝最初の授業は魔法学だったから、移動だな。何も用意しなくても良いと前もって聞いていたから、このまま何も持たないでいけばいいか)
外の風景を見ながらそう考えていたザガード。
そうこうしている内に、馬車は学園に到着した。
最初にザガードが降りて、周囲に何も無い事を確認してから、馬車のドアの所に踏み台を置く。
そして、ザガードは手を伸ばすと、リエリナは何も言わずその手を取り踏み台を踏んで降りていく。
「・・・・・・ありがとう」
今日初めて、ザガードはリエリナの声を聞いた。
ザガードは頭だけ下げた。
不機嫌な時は、極力声を掛けない方が良いと長年の経験で理解しているからだ。
そして、二人は校舎へと歩き出した。
校舎に入り、魔法学の教室に行こうと二人は階段をあがろうとしたら。
「きゃあっ」
階段の踊り場から女性の声が聞こえた。
ザガードが見上げると、女生徒がバランスを崩したのか足を踏み外したのかは分からないが、女生徒が階段から落ちた。
「っ⁉」
いきなりの事で階段近くに居た生徒達は呆然と見ていた中、ザガードは駈け出して、女生徒を受け止めた。
「大丈夫ですか?」
ザガードは受け止めた女生徒の顔を見る。何処かに怪我がないか確認するために。
確認をした事で、自分が受け止めた女生徒が誰か知る。
「・・・トランバートリー様」
それは、昨日、ライアン皇子と親しくしていた御令嬢であった。
朝になったので、ザガードは顔を洗い寝間着から制服に着換えて私室を出た。
部屋を出て、公爵家の家族達が食事をする部屋に向かう。
その部屋に向かう途中、使用人にすれ違ったのだが。
「ぷっ」
その使用人はザガードに挨拶しようとしたら、ザガードの顔を見るなりプッと吹きだした。
そして、手で口を抑えながら肩を震わせていた。
ザガードはそんな失礼な事をされても怒る事もなく、そのまま通り過ぎた。
それからも、使用人達とすれ違う度に、皆、吹きだした。
皆、何故吹きだしたのかと言うと、これには理由があった。
原因は昨日のリエリナが作った料理だ。
尋常じゃない量の唐辛子を入れた所為で、その日の夜には、ザガードの唇が赤く腫れあがっていた。
医者に見せると、唐辛子の辛みで一時的に赤く腫れあがっているだけなので、二日ほどしたら治ると言われた。
なので、ザガードは暫くの間、この赤く腫れあがった唇のままで過ごす事となった。
使用人達も分かってはいるのだが、普段のザガードとあまりに違うので思わず笑っていた。
ザガードは仕方が無いなと思いつつ、食事をする部屋へと向かった。
食事をする部屋の前まで来ると、扉を守っている私兵の者達がザガードを見るなり笑い出しそうになったが、慌てて口を手で塞いで笑うのを堪えた。
そして、扉を開けてザガードを部屋に入れた。
部屋に入ると、リエリナは既に食事を取っていた。
ザガードがリエリナの方を見ると、プイっと顔を背けるリエリナ。
(まだ、機嫌が悪いのか?)
昨日から何も話していないので、どうして機嫌が悪いのか分からないザガード。
なので、此処はほとぼりが冷めるのを待つ事にした。
朝食を食べ終えたザガード達は、馬車に乗って学園へと向かう。
例の如く、御者役のオロルフに笑われたが、ザガードは気にせず馬車に乗り込んだ。
馬車に揺られながら、二人が乗り込んだ馬車の中は静かであった。
いつもは、リエリナが暇つぶしに話しかけるのだが、今日は一言も話さない。
そんな無言の中、ザガードは窓から見える景色を眺めていた。
(今日は、朝最初の授業は魔法学だったから、移動だな。何も用意しなくても良いと前もって聞いていたから、このまま何も持たないでいけばいいか)
外の風景を見ながらそう考えていたザガード。
そうこうしている内に、馬車は学園に到着した。
最初にザガードが降りて、周囲に何も無い事を確認してから、馬車のドアの所に踏み台を置く。
そして、ザガードは手を伸ばすと、リエリナは何も言わずその手を取り踏み台を踏んで降りていく。
「・・・・・・ありがとう」
今日初めて、ザガードはリエリナの声を聞いた。
ザガードは頭だけ下げた。
不機嫌な時は、極力声を掛けない方が良いと長年の経験で理解しているからだ。
そして、二人は校舎へと歩き出した。
校舎に入り、魔法学の教室に行こうと二人は階段をあがろうとしたら。
「きゃあっ」
階段の踊り場から女性の声が聞こえた。
ザガードが見上げると、女生徒がバランスを崩したのか足を踏み外したのかは分からないが、女生徒が階段から落ちた。
「っ⁉」
いきなりの事で階段近くに居た生徒達は呆然と見ていた中、ザガードは駈け出して、女生徒を受け止めた。
「大丈夫ですか?」
ザガードは受け止めた女生徒の顔を見る。何処かに怪我がないか確認するために。
確認をした事で、自分が受け止めた女生徒が誰か知る。
「・・・トランバートリー様」
それは、昨日、ライアン皇子と親しくしていた御令嬢であった。
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