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第22話 合同授業
しおりを挟む二日後。
オベランから言われた通り、他のクラスと合同授業が行われた。
男女別々に受けるので、リエリナは不満そうな顔をしていた。
「むぅ、ザガードの活躍する所が見れると思ったのに」
「その内、見る事が出来ますよ」
ザガードはそう宥めて、リエリナを女生徒が授業をする第二体育館へと送った。
リエリナを体育館が入るのを確認して、ザガードは男子生徒が授業をするグラウンドへと向かう。
ザガードがグラウンドに着くと、ザガードのクラスは既に集まっていた。
「よし。じゃあ、点呼を取る。名前を呼ばれた者は答えてくれ」
男子のクラス委員であるマクスインが男子達を号令していた。
マクスインが声を掛ける事でクラスが集まったのだろう。
ザガードもその中に入る。
「イグオ=ビジョン」
「はい」
「クロウ=リキモド」
「はい」
マクスインが名前順に声を掛けて行く。
「ザガード=ヴォルデモートルク」
「はい」
自分の名前も呼ばれたので、ザガードは声を掛けた。
そうして呼ばれていくと、あっという間にクラス全員が呼ばれた。
「よし。全員居るな」
マクスインがクラスメートが全員いる事を確認した。
少しすると、他のクラスが来た。
同じ新入生なので、何処のクラスなのか皆分からいようであった。
(あれは、ティルズだな)
こちらに来ているクラスの中にティルズが居るのが見えた。
向こうもザガードに気付いたのか、手を振っていた。
ティルズが居るという事は、もう一つのクラスは1-Bという事になる。
それが分かりザガードは安堵した。
まったく知らない者が居るクラスよりも知り合いがいるクラスが居る方が気楽だからだろう。
だが、直ぐにザガードはある者を見て驚いた。
其処には、ライアン皇子も居たからだ。
(ライアン皇子は1-Bだったのか)
ザガードはクラスの割り当てを見た時は、1-Aしか見ていなかったので、皇子が何処のクラスか調べていなかった。
1-Bの者達は着くなり、ガヤガヤと話し出した。
クラス委員が居るのか分からないが、皆話しているだけで、人数確認をしていなかった。
それから三十分後。オベランがやってきた。
「はい。クラス委員の人は、クラスに全員居るか確認しましたか?」
オベランがそう言うと、マクスインが手を挙げる。
「はいっ。1-A組は全員居ますっ」
マクスインが元気よく答えるのを聞いて、オベランは1-Bを見る。
「そちらの方は?」
てっきり、一緒に答えると思ったので訊いたのだが、1-Bのクラス委員は。
「す、すいませんっ。い、いま、数えますっ」
「こういう事は授業が始まる前にするように」
と言って、オベランは苦笑する。
一年生の最初はこんなものだなと言いたげな顔をしていた。
1-Bのクラス委員は慌てて声掛けを行った。
「先生。1-B組も全員居ますっ」
「はい。分かりました」
オベランは笑顔で答えた。
「まずは自己紹介を。わたしはオベランと言います。今日の合同授業を教える先生です。身体を動かす関連の授業は全てわたしが行いますので、よろしくお願いします」
ここ一週間は、全部座学だったので、皆ようやく身体を動かす授業の先生が分かった様だ。
「では、皆さんにはクラスごとの百メートル走をしてもらいます。次はクラス別の徒競走。球投げ、腕立て、腹筋、最後にグラウンド十周で、今日の授業は終わりです。ああ、合間毎に休み時間は設けますので、一気にすべてしませんので、そこは安心してください」
オベランがそう言うと、脇に挟んでいるファイルを手に取った。
「最初はクラスごとの百メートル走を行います。名前を呼ばれた者は前に出て、此処に一列に並ぶように。まずは、1-Aから」
オベランは生徒の名前を呼んでいった。
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