悪役令嬢に恋した黒狼

正海広竜

文字の大きさ
上 下
22 / 88

第22話 合同授業

しおりを挟む
 
 二日後。

 オベランから言われた通り、他のクラスと合同授業が行われた。
 男女別々に受けるので、リエリナは不満そうな顔をしていた。
「むぅ、ザガードの活躍する所が見れると思ったのに」
「その内、見る事が出来ますよ」
 ザガードはそう宥めて、リエリナを女生徒が授業をする第二体育館へと送った。

 リエリナを体育館が入るのを確認して、ザガードは男子生徒が授業をするグラウンドへと向かう。
 ザガードがグラウンドに着くと、ザガードのクラスは既に集まっていた。
「よし。じゃあ、点呼を取る。名前を呼ばれた者は答えてくれ」
 男子のクラス委員であるマクスインが男子達を号令していた。
 
 マクスインが声を掛ける事でクラスが集まったのだろう。
 ザガードもその中に入る。
「イグオ=ビジョン」
「はい」
「クロウ=リキモド」
「はい」
 マクスインが名前順に声を掛けて行く。
「ザガード=ヴォルデモートルク」
「はい」
 自分の名前も呼ばれたので、ザガードは声を掛けた。

 そうして呼ばれていくと、あっという間にクラス全員が呼ばれた。
「よし。全員居るな」
 マクスインがクラスメートが全員いる事を確認した。
 少しすると、他のクラスが来た。
 同じ新入生なので、何処のクラスなのか皆分からいようであった。
(あれは、ティルズだな)
 こちらに来ているクラスの中にティルズが居るのが見えた。
 向こうもザガードに気付いたのか、手を振っていた。
 
 ティルズが居るという事は、もう一つのクラスは1-Bという事になる。
 それが分かりザガードは安堵した。
 まったく知らない者が居るクラスよりも知り合いがいるクラスが居る方が気楽だからだろう。
 だが、直ぐにザガードはある者を見て驚いた。
 其処には、ライアン皇子も居たからだ。
(ライアン皇子は1-Bだったのか)
 ザガードはクラスの割り当てを見た時は、1-Aしか見ていなかったので、皇子が何処のクラスか調べていなかった。
 1-Bの者達は着くなり、ガヤガヤと話し出した。
 クラス委員が居るのか分からないが、皆話しているだけで、人数確認をしていなかった。
 それから三十分後。オベランがやってきた。
「はい。クラス委員の人は、クラスに全員居るか確認しましたか?」
 オベランがそう言うと、マクスインが手を挙げる。
「はいっ。1-A組は全員居ますっ」
 マクスインが元気よく答えるのを聞いて、オベランは1-Bを見る。
「そちらの方は?」
 てっきり、一緒に答えると思ったので訊いたのだが、1-Bのクラス委員は。
「す、すいませんっ。い、いま、数えますっ」
「こういう事は授業が始まる前にするように」
 と言って、オベランは苦笑する。
 
 一年生の最初はこんなものだなと言いたげな顔をしていた。
 1-Bのクラス委員は慌てて声掛けを行った。
「先生。1-B組も全員居ますっ」
「はい。分かりました」
 オベランは笑顔で答えた。
「まずは自己紹介を。わたしはオベランと言います。今日の合同授業を教える先生です。身体を動かす関連の授業は全てわたしが行いますので、よろしくお願いします」
 ここ一週間は、全部座学だったので、皆ようやく身体を動かす授業の先生が分かった様だ。
「では、皆さんにはクラスごとの百メートル走をしてもらいます。次はクラス別の徒競走。球投げ、腕立て、腹筋、最後にグラウンド十周で、今日の授業は終わりです。ああ、合間毎に休み時間は設けますので、一気にすべてしませんので、そこは安心してください」
 オベランがそう言うと、脇に挟んでいるファイルを手に取った。
「最初はクラスごとの百メートル走を行います。名前を呼ばれた者は前に出て、此処に一列に並ぶように。まずは、1-Aから」
 オベランは生徒の名前を呼んでいった。
 


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されなかった者たち

ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。 令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。 第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。 公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。 一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。 その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。 ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私のお父様とパパ様

ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。 婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。 大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。 ※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。 追記(2021/10/7) お茶会の後を追加します。 更に追記(2022/3/9) 連載として再開します。

逃げて、追われて、捕まって

あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。 この世界で王妃として生きてきた記憶。 過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。 人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。 だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。 2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ 2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。 **********お知らせ*********** 2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。 それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。 ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

【完結】公爵令嬢は、婚約破棄をあっさり受け入れる

櫻井みこと
恋愛
突然、婚約破棄を言い渡された。 彼は社交辞令を真に受けて、自分が愛されていて、そのために私が必死に努力をしているのだと勘違いしていたらしい。 だから泣いて縋ると思っていたらしいですが、それはあり得ません。 私が王妃になるのは確定。その相手がたまたま、あなただった。それだけです。 またまた軽率に短編。 一話…マリエ視点 二話…婚約者視点 三話…子爵令嬢視点 四話…第二王子視点 五話…マリエ視点 六話…兄視点 ※全六話で完結しました。馬鹿すぎる王子にご注意ください。 スピンオフ始めました。 「追放された聖女が隣国の腹黒公爵を頼ったら、国がなくなってしまいました」連載中!

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

処理中です...