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第10話 ザガート達の実力
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ティルズと剣術部の部員が向かい合う。
体格面で言えば、ティルズの方が優っている。
だが、副将に選ばれるのだから、実力がないとは言えない。
ティルズもそこが分かっているのか、表情を引き締めている。
そして、二人は木剣を構える。
「副将戦。始めっ」
フィリックの声と共に駆けだしたのは、剣術部の生徒であった。
「ちぇやあああああっ」
声を張り上げながら、袈裟切りをみまう。
ティルズはその攻撃を躱したが、部員の方は攻撃が回避される事を予測してたようで、そこから右切り上げを繰り出す。
その攻撃は躱す事が出来ず、剣で受け止めるティルズ。
鍔迫り合う二人。
どちらかともなく、二人は距離を取った。
そして、剣を構える二人。
だが、剣術部の部員の方は先程と同じく中段に構えているが、ティルズは上段に構えた。
「・・・貴様、舐めているのか?」
この構えを見て、剣術部の部員はティルズを睨みながら言う。
「さぁ、どうだろうな」
ティルズは笑う。
その顔を見て、剣術部の部員はいきり立つ。
この構えは剣を頭上に振り上げている事から攻撃的な構えで、防御に向かない。
ただ、相手よりも早く切る。この構えとるという事は、それしか勝つ方法がない。
それは、明らかに舐められているという事だ。
剣術部の部員もそれが分かっているので、いきり立っている。
そんな相手を見て、ティルズは笑みを浮かべる。
「どうした? 早く打ち込んでこないか?」
挑発するティルズ。
「おのれっっっ‼」
剣術部の部員は駈け出した。
狙いはティルズの胴体。
掛ける事で距離を詰められていくが、ティルズは構えたまま何もしない。
そして、後十歩という所まで剣術部の部員が来ると。
「うおおおおおおっ‼」
ティルズは剣を振り下ろした。
振り下ろされた一撃は、そのまま部員の肩に当たる。
「ぐわあああああっ⁈」
部員は痛みにより剣を落とし、膝を付いた。
そして、剣が当たった肩の所を手で抑える。
「それまでっ。勝者、ティルズ」
フィリックがそう言うと、魔導剣闘術部の者達が声をあげて喜ぶ。
反対に剣術部は士気が下がると思われたが、そうではなかった。
何故なら、最後の大将戦は見学に来た者だからだ。
人数合わせで大将になったと思うのが、普通だ。
それなので、剣術部の者達もティルズに負けたのも仕方がないと諦める事が出来た。
次で勝てば良いという思いがあるからだろう。
(……次で勝てば良いと思っているのだろうな)
ザガードは剣術部の部員達の顔を見て、そう感じ取ることが出来た。
というよりも、皆顔に出しすぎだと思うザガード。
剣術部の最後の者とザガードが前に出た。
ザガードはちらりとリエリナを見る。
(直ぐに済ませなさい)
(御意)
ザガードは一瞬だけ目を瞑り、前を見る。
剣術部の部員は笑みを浮かべながら、ザガードを見る。
最初から、人数合わせだという事が分かっているので、楽勝に勝てるだと思っているようだ。
ザガードはそんな笑みを見ても何とも思っていない。
「では、大将戦。始めっ」
フィリックは開始の声をあげた。
その声が響いた瞬間、ザガードは消えた。
「っ!⁈」
いきなり、姿を消したザガードので、剣を構えながら辺りを見る剣術部の部員。
首を動かして周囲を見回していると。
「後ろだっ」
控えている剣術部の者が声を掛けた。
その声と共に、部員は後ろを振り向いた。
その瞬間。
「ふっ‼」
ザガードは部員の胴体に一撃を見舞う。
「ぐはっ‼」
部員はその一撃をくらい、気を失った。
「一本。それまでっ」
フィリックはザガードに手を挙げた。
体格面で言えば、ティルズの方が優っている。
だが、副将に選ばれるのだから、実力がないとは言えない。
ティルズもそこが分かっているのか、表情を引き締めている。
そして、二人は木剣を構える。
「副将戦。始めっ」
フィリックの声と共に駆けだしたのは、剣術部の生徒であった。
「ちぇやあああああっ」
声を張り上げながら、袈裟切りをみまう。
ティルズはその攻撃を躱したが、部員の方は攻撃が回避される事を予測してたようで、そこから右切り上げを繰り出す。
その攻撃は躱す事が出来ず、剣で受け止めるティルズ。
鍔迫り合う二人。
どちらかともなく、二人は距離を取った。
そして、剣を構える二人。
だが、剣術部の部員の方は先程と同じく中段に構えているが、ティルズは上段に構えた。
「・・・貴様、舐めているのか?」
この構えを見て、剣術部の部員はティルズを睨みながら言う。
「さぁ、どうだろうな」
ティルズは笑う。
その顔を見て、剣術部の部員はいきり立つ。
この構えは剣を頭上に振り上げている事から攻撃的な構えで、防御に向かない。
ただ、相手よりも早く切る。この構えとるという事は、それしか勝つ方法がない。
それは、明らかに舐められているという事だ。
剣術部の部員もそれが分かっているので、いきり立っている。
そんな相手を見て、ティルズは笑みを浮かべる。
「どうした? 早く打ち込んでこないか?」
挑発するティルズ。
「おのれっっっ‼」
剣術部の部員は駈け出した。
狙いはティルズの胴体。
掛ける事で距離を詰められていくが、ティルズは構えたまま何もしない。
そして、後十歩という所まで剣術部の部員が来ると。
「うおおおおおおっ‼」
ティルズは剣を振り下ろした。
振り下ろされた一撃は、そのまま部員の肩に当たる。
「ぐわあああああっ⁈」
部員は痛みにより剣を落とし、膝を付いた。
そして、剣が当たった肩の所を手で抑える。
「それまでっ。勝者、ティルズ」
フィリックがそう言うと、魔導剣闘術部の者達が声をあげて喜ぶ。
反対に剣術部は士気が下がると思われたが、そうではなかった。
何故なら、最後の大将戦は見学に来た者だからだ。
人数合わせで大将になったと思うのが、普通だ。
それなので、剣術部の者達もティルズに負けたのも仕方がないと諦める事が出来た。
次で勝てば良いという思いがあるからだろう。
(……次で勝てば良いと思っているのだろうな)
ザガードは剣術部の部員達の顔を見て、そう感じ取ることが出来た。
というよりも、皆顔に出しすぎだと思うザガード。
剣術部の最後の者とザガードが前に出た。
ザガードはちらりとリエリナを見る。
(直ぐに済ませなさい)
(御意)
ザガードは一瞬だけ目を瞑り、前を見る。
剣術部の部員は笑みを浮かべながら、ザガードを見る。
最初から、人数合わせだという事が分かっているので、楽勝に勝てるだと思っているようだ。
ザガードはそんな笑みを見ても何とも思っていない。
「では、大将戦。始めっ」
フィリックは開始の声をあげた。
その声が響いた瞬間、ザガードは消えた。
「っ!⁈」
いきなり、姿を消したザガードので、剣を構えながら辺りを見る剣術部の部員。
首を動かして周囲を見回していると。
「後ろだっ」
控えている剣術部の者が声を掛けた。
その声と共に、部員は後ろを振り向いた。
その瞬間。
「ふっ‼」
ザガードは部員の胴体に一撃を見舞う。
「ぐはっ‼」
部員はその一撃をくらい、気を失った。
「一本。それまでっ」
フィリックはザガードに手を挙げた。
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