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第二章 クラスメイトは吸血鬼

1.僕と四姉妹と時々おっぱい①

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 突然の三人称プロローグから失礼して。
 僕――八雲勇治は勇者である。

 かつて女神によって異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った経験があった。

 無事に役目をはたして日本に帰還。
 家族にも等しい4人の女性と再会して日常を取り戻した僕であったが……それで「めでたしめでたし」と物語は終わらない。
 日本に帰ってきた僕は、お隣に住んでいる四姉妹を巡る戦いに巻き込まれることになったのである。



 半魚人を倒してエレベーターで上の階に戻ると、建物のエントランスに2人の女性が待ち構えていた。

「勇治、戻ったのね」

 最初に声をかけてきたのは高校2年生の僕よりも2つ年下の少女である。

 日下部風夏。御年15歳。
 中学3年生であり、マンガ家志望。
 超能力者として秘密結社に所属しているという謎の経歴を持った少女である。

 隣の家に住んでいるお隣さん。
 僕にとって大切な家族である、日下部家四姉妹の三女である。

「うん。下にも何体か半魚人がいたけど特に問題はなかったよ。せっかく編み出した新技を使う暇もなくて不完全燃焼なくらいさ。それと生け贄として捕まっている女の人を見つけたんだけど……まあ、そっちのケアは任せるよ」

「ちょっと、勇治……どうして顔を赤くしてるのよ」

「いや、それはその……」

 僕は顔を逸らして黙り込む。
 半魚人を蹴散らした後に奥の部屋を確認したのだが……そこには裸の女性が閉じ込められていたのだ。
 あの半魚人共が邪神に捧げる生け贄として女性を攫っているという事前情報は得ていたが、まさか裸で監禁されているとは思わなかった。
 10代、20代の若い女性の全裸を目の当たりにして、思わず赤面して逃げてしまったのである。

「……勇治の馬鹿。ムッツリすけべ」

「いやいやいや! 紳士な対応だと思うけどね!? あのまま外に出すわけにもいかないし、まずは服とか取ってこないと!」

 半眼で睨んでくる風夏に言い訳をして、僕はアワアワと両手を振った。

「ユウはヘタレだもんねー。お姉ちゃん達の裸もちゃんと見れないんだから」

 からかうように風夏の後ろから顔を覗かせたのは10歳前後の幼女だった。
 日曜朝の女児向けアニメというか、「魔法少女」としか言いようのないような装飾タップリのフワフワドレスに身を包んでいる。

 日下部家の次女。日下部飛鳥。
 年齢20歳で大学生のお姉さんであったが、とある事情によって魔法少女となっており、宇宙からの侵略者から地球を守るために戦っている。
 ちなみに、魔法少女としての名前は「エクレア・バード」というらしい。

「今日はみんなのおかげで助かっちゃったよん♪ 相手は大勢。悪の組織を相手にした大仕事だったから、私1人じゃきつかったのよね。みんなの愛にバビュッと感謝感謝♪」

「…………」

「…………」

「ちょ……2人して黙らないでくれる!? 好きでこんな口調になってるんじゃないからね!?」

 可哀そうなものを見る目になった僕と風夏に、飛鳥姉ことエクレア・バードが慌てたように叫んでくる。
 魔法少女に変身した飛鳥姉はテンションが妙に上がってしまうらしく、いつもと口調も変わってしまうのだ。

 正直……かなり痛ましい。
 この人、今年で20歳なんだぜ? 大学生で日本水泳界を背負っているオリンピック候補生なんだぜ?

「うー……2人とも後で覚えてなさいよね。お風呂で仕返ししてやるんだから」

「お風呂で僕をどうしようっていうのかな? いや、それはいいんだけど……地下にいる女の人達、どうしようか?」

 そもそも、僕達がこのビルに乗り込んできたきっかけは飛鳥姉である。
 魔法少女として『エルダー』という侵略者と戦っている飛鳥姉であったが……今回、人間の女性を攫っている半魚人の組織と戦うことになったのだ。

 敵は大勢。おまけに攫われた女性が人質になっていた。
 飛鳥姉だけでは荷が重いということで、僕達が加勢することになったのである。

 僕は勇者として異世界で培った経験、そして女神の加護を所持していた。
 風夏もまた超能力者であり、あらゆるものを消滅させる『破壊デストロイ』という異能を有している。

 また、僕らのほかにも援軍は来ている。
 ちょうどビルのドアが開いて彼女達が入ってきた。

「あ、弟くん! 無事だったのねー!」

「どうやら問題なく勝利したようですね。流石はお兄様です」

 ビルに入ってきたのは2人の美女。どちらも背が高くてスタイルは抜群。
 おまけにダイナマイトどころか核弾頭級の大きさを持った、スーパー巨乳のおっぱい美人さんだった。

 日下部家長女、日下部華音。

 日下部家四女、日下部美月。

 20代の専業主婦である血のつながらない姉と、12歳の小学生である血のつながらない妹。
 僕にとって大切な家族である2人が豊満すぎるおっぱいを揺らしながら、こちらに駆けてきたのである。

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