上 下
48 / 100
第一章 日下部さん家の四姉妹

42.四女はエッチな悪魔ちゃん⑥

しおりを挟む
 僕は美月ちゃんの手を引いて、通学路を自宅に向かって歩いていく。

「…………」

 美月ちゃんは無言。無表情。瞳はぼんやりと前方を真っすぐ見つめている。
 ただ、右手はしっかりと僕の手を握りしめており、どことなく上機嫌な様子が伝わってくる。
 僕と一緒に小学校から帰宅するという珍しい状況を、美月ちゃんなりに楽しんでいるのかもしれない。

「そういえば……今日は華音姉さんも飛鳥姉も留守だったね。晩ご飯は何が食べたい? 外食でもいいよ?」

 華音姉さんと飛鳥姉。大人勢が留守にしており、今日の日下部家は高・中・小の未成年者3人だけ。
 華音姉さんから夕飯代は預かっている。外食か、あるいは何か買って帰るつもりだ。

「んんっ……」

 美月ちゃんが考え込むように視線をさまよわせる。
 ぼんやりとした眼差しだったが……そこには不思議と真剣な色が混じっていた。
 たっぷり3分程無言で考え込み、やがて答えをひねり出す。

「お寿司…………回らないお店の」

「容赦ないな! いや、いくらでもいいけどさあ!」

 華音姉さんから預かっている夕飯代だけでは回らない寿司はきつい。
 だが、今の僕の預金残高は100億円。勇者として魔王を倒した報酬がほぼ手付かずで残っている。その気になれば、寿司屋を店ごと買い取ることだってできるだろう。

「確か、駅前に高級そうなお寿司屋さんがあったよね? 風夏にも連絡して、アッチで合流しよう。後から飛鳥姉が羨ましがりそうだね」

「ん……」

「ああ、問題ないよ。臨時収入があったからデザートだって好きなだけ食べていい。お兄ちゃんに存分に甘えなさい」

「ん、好き。大好き」

 美月ちゃんがムギューッと抱き着いてきた。

「おっふ……」

 冗談で言ったつもりなのだが、本気で甘えてきた。
 超絶美少女に『大好き』と言われてハグされてしまった。わりと理性が崩れそうな状況である。

「……お願いだから、僕以外にそんなことをしないでくれよ。ロリに目覚めそうになったじゃないか」

「ん……好き」

「ありがとう……あー、こんな所を見られたら通報されちゃうよ。さっさと風夏に連絡をとって……ん?」

 駅前に向けて路地を曲がった僕達だったが……進んだ道の真ん中に人影が立っている。
 そこにいたのはウチの高校の学生服を男子生徒が2人。名前はわからないが、不思議と見覚えがあった。

「あ……」

 思い出した。
 コイツらはさっき校舎の裏庭で月白さんを強引にナンパしていた3人組の2人だ。1人が何処に行ったのかは知らないが。
 まさかとは思うが……僕にやられた仕返しをするために追いかけてきたのだろうか?

「……お前、さっき俺を殴ったよな?」

 2人の不良――その真ん中にいた男が口を開く。

「……何のことかな? 誰かと間違えてない?」

 答えながら、「ありえない」と心の中でつぶやく。
 相手が自分を認識するよりも先に、顎を強打して気絶させたはずである。仮に僕の姿を見ていたとしても、脳を揺らした衝撃で直前の記憶など吹き飛んでいるはず。

「お前だ……お前に、ちがいねえ……」

「間違いない、まちがいない、マチガイナイ……」

「ちがいねえ、ちがいねえ、ちがいねえちがいねえちがいねえちがいねえ……」

「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス……」

「コイツら……クスリでも決めてるのか?」

 2人の不良は瞳の焦点が合っていなかった。僕を見ているようでありながら、虚ろな眼差しは何も映していないようだ。
 明らかに様子がおかしい。異世界にいた頃に薬物中毒になった人間を見たことがあるが、まさにこんな感じだった。

「よりにもよって美月ちゃんと一緒の時に……!」

 僕は美月ちゃんを自分の背中で庇うようにする。
 彼らがどうしてこんな不気味な有様になったのかは知らないが……美月ちゃんをこちらの事情に巻き込んでしまった。
 月白さんには申し訳ないが、俺は手を出さずに適当に先生に報告しておけば良かったとすら思ってしまう。

「美月ちゃん、下がってて。危ないと思ったら僕を置いて逃げていいから。どこでもいいから、近くの家かお店に逃げ込むんだよ?」

「ん……気をつけて」

 コクリと頷いた美月ちゃんをその場に残して、僕は2人の不良の前に出た。
 その気になれば、美月ちゃんの身体を抱きかかえてここから逃げることくらい超簡単。
 だが……目の前にいる不良らは僕のことを狙っている。そして、僕と美月ちゃんが一緒にいる場面を見られていた。
 つまり、僕がいない場所で美月ちゃんが狙われるという可能性が生まれてしまったことになる。

「この不良達はここで潰す。そんでもって警察に引き渡す。まあ、どう考えてもまともそうじゃないし……あとは適当にどうにかしてくれるだろう」

 そういうわけで……僕は前に飛び出した。
 2人の不良の真ん中を通り抜け、両手で左右の不良それぞれにラリアットを決める。

「グゲッ!」

「ガハッ!」

「はい、おしまい」

 2人の不良が道路に倒れる。間違いなく決まった。殺すほどではないが、しばらく起きることはできないはず。
 しかし……

「ぐ、が……よくも、よくも……」

「コロスコロスコロスコロスコロス……」

「……マジかよ。冗談でしょ?」

 ありえない。
 魔族やモンスターであればまだしも、ただの人間……それも格闘家や軍人でもない素人が、この一撃を受けて立ち上がれるわけがない。

「コイツら……本当に人間か?」

 俺の疑問はすぐに氷解することになる。
 立ち上がった不良らが腰を折ってうずくまったかと思うと、見る見るうちにその姿が変貌していったのだ。

「「ウガアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」」

「ッ……!」

 2人の不良が目の前で化け物に変身した。
 右の不良は鳥の頭、両腕が制服を破って大きな翼に。左の不良は狼の頭、両手両足が爪の生えた獣の四肢にそれぞれ変貌する。

「参ったな……日本に帰ってきてから変な事件に巻き込まれてばっかりじゃないか」

 ひょっとして、日本は異世界よりもファンタジーなのだろうか?
 自分が信じていた常識が粉々に砕け散ってしまったような心境である。

「一応、訊いておくけど……超能力者か妖怪変化か宇宙からの侵略者じゃないよね?」

『キイイイイイイイイイイイイイッ!』

『ガアアアアアアアアアアアアアッ!』

「はい、返答は期待していなかったよ。さて……とりあえず斬ろう!」

 アイテムボックスから剣を出して斬りつける。もう美月ちゃんの視線を気にして入られない。
 鳥頭が翼をはためかせて頭上に飛びあがって回避し、狼頭が右手の爪で斬撃を受け止めた。

「速いな……想像以上に!」

『キイイイイイイイイイイイイイッ!』

 鳥頭が上から飛びかかってきた。猛禽類のような鋭い嘴を突き刺そうとしてくる。

「フッ!」

『ガアアアアアアアアアアアアアッ!』

 後方に飛んで回避するが、狼頭が距離を詰めて襲いかかってきた。

「フッ!」

『ガッ!』

 噛みついてきた狼頭の下顎を蹴りつける。そして、怯んだところを剣で胴体を切り裂いた。
 直後、鳥頭が頭上から飛びかかってきたので下から剣を投擲する。槍投げのようにぶん投げられた剣が鳥頭の胴体に真っすぐ突き刺さり、串刺しになって撃墜させた。

『グ、ウウウウウ……』

『キュイイイイイ……』

 狼頭と鳥頭が道路に倒れる。ドクドクと流れてアスファルトに広がっていく血の色は赤。人間と変わらない色だった。
 そのまま絶命するかと思いきや……2体の怪物の姿が徐々に変身していく。

「これは……」

「う、ぐ……」

「痛え、痛えよ……」

 狼頭と鳥頭が人間の姿に戻っていく。
 ゼエゼエと苦悶の呻き声をあげて身体を痙攣させている。

「これってもしかして……マジヤバくね?」

 彼らがどうして怪物に変身していたのかはわからない。
 美月ちゃんを守るため、怪物を剣で倒した判断を間違っているとも思わない。
 しかし……この状況は、傍目には俺が刃物で同じ学校の生徒を斬殺したように見えてしまうのではないか。

「クリーチャーに変身して襲いかかってきたからぶった切りました……うん、絶対に信じてもらえないよな」

 警察にせよ、救急隊員にせよ、こんなことを信じるわけがない。
 むしろ、俺の方が異常者か薬物中毒者のように扱われてしまうのがオチである。

「とりあえず死体を隠して……いや、まずは手当てをした方がいいのか?」

 俺はとりあえず、鳥頭だった少年の胸に刺さった剣を引き抜いた。
 同時に、アイテムボックスから取り出したポーションを2人の傷口にかけておく
 エリクサーのような上位の魔法薬と違って、ポーションには即効性の治癒力はない。それでも、止血してジワジワと傷を治していく程度の効果はあった。

「これで死ぬことはないと思うけど、警察と救急車はどうしようか……いや、その前に」

 それよりも、まずは美月ちゃんだ。
 不気味な怪物の出現、凄惨な戦いの現場を見てしまった美月ちゃんの心のケアをしなくては。

「美月ちゃん、ごめん! 大丈夫か……!?」

 後ろの美月を振り返り……俺は大きく目を見開いた。

 美月ちゃんはそこにいた。
 逃げることなく、いつものぼんやりとした無表情でこちらを見つめている。

 問題は、そのさらに背後である。

『ゲコゲコゲコゲコッ』

 美月ちゃんが立っている場所から5メートルほど後ろにある、マンホールの蓋が開いている。そして、そこから学生服にカエルの頭部を持った怪物が上半身を出していたのだ。
 蛙頭はギョロリと大きな眼球を動かして美月ちゃんの姿を補足し、ベロンと長い舌ベロを鞭のように振るってくる。

「美月ちゃん! 伏せて!」

 僕は咄嗟に叫び、駆け出した。
 焦りに焦って可愛い妹を助けようとするも……遠すぎる。この位置からでは間に合わない。
 自分に魔法使いとしての才能がないのが恨めしい。魔法が使えたら、美月ちゃんが攻撃を受けるよりも先に火でも雷でも打ち込んでやれるのに。

「美月ちゃああああああああああんっ!」

 必死に叫べど、時は止まらない。
 美月ちゃんは攻撃に気づいていないのか、ぼんやりと立ち竦んでいる。
 蛙頭の舌ベロ攻撃は吸い込まれるように美月ちゃんの頭部に迫っており、鋭く小さな頭を弾こうとして……

「…………は?」

「ん……」

 パシリと。内野フライでもキャッチするような気軽さで止められたのだ。
 驚くべきことに……蛙頭の舌ベロ攻撃を右手で受け止めたのは、僕の可愛い妹分である美月ちゃんだった。

「鬱陶しいですわ。下級悪魔ふぜいが、誰の頭に汚い舌を叩きつけようとしているのですか?」

「み、美月ちゃん?」

「滅びなさい……デーモンフレア」

 驚きの状況はなおも続く。
 舌ベロを受け止めた美月ちゃんの瞳が金色に輝いたかと思うと、その右腕から炎が溢れ出たのだ。
 蛙頭の舌から胴体へ、まるで花火の導火線が燃え尽きるように炎が進んでいく。

『ゲコオオオオオオオオオオオッ!?』

 蛙頭の身体が炎に包まれる。
 ガソリンでも被ったように真っ赤な炎に包まれた蛙頭は、バッタリと地面に倒れて動かなくなってしまう。

 驚いて目を見張る僕の視線の先……美月ちゃんが白い髪をかき上げて口を開いた。

「やれやれ……不覚ですわ。まさかお兄様と一緒にいるところを襲われてしまうだなんて。これでは正体を隠し続けることができないではありませんか」

「…………」

 普段の無口から一転して、ペラペラと流暢に話す美月ちゃん。
 小学生の少女の口から紡がれる理解不明な言葉の数々に、僕はパクパクと口を開閉させる。

「……仕方がありませんわね。お兄様」

「っ……!?」

 驚きすぎて言葉を失う僕を、美月ちゃんが真っすぐに見つめてくる。

「この状況を見て、聡明にして賢明なるお兄様であればお気づきかと思いますが……私はこれまでずっとお兄様を騙しておりました」

「へ……だ、騙す?」

「はい」

 美月ちゃんは右手を胸に、左手でスカートの裾をつまんで、丁寧な仕草で頭を下げた。

「私の本当の名前はルーナプレイナ・アスモデウス。地獄から地上にやってきた悪魔なのです」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢

alunam
恋愛
 婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。 既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……  愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……  そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……    これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。 ※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定 それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!

【悲報】最弱ジョブ「弓使い」の俺、ダンジョン攻略中にSランク迷惑パーティーに絡まれる。~配信中に最弱の俺が最強をボコしたらバズりまくった件~

果 一
ファンタジー
 俺こと、息吹翔の通う学校には、Sランクパーティーのメンバーがいる。名前は木山豪気。ハイレベルな強さを持つ“剣士”であり、世間的にも有名である――ただし悪い意味で。  人を見下し、学校のアイドルを盗撮し、さらには平気で他のダンジョン冒険者を襲う、最低最悪の人間だった。しかも俺が最弱ジョブと言われる「弓使い(アーチャー)」だとわかるや否や、ガムを吐き捨てバカにしてくる始末。 「こいつとは二度と関わりたくないな」  そう思った矢先、ダンジョン攻略中に豪気が所属するSランクパーティーと遭遇してしまい、問答無用で攻撃を受けて――  しかし、豪気達は知らない。俺が弓捌きを極め、SSランクまで到達しているということを。  そして、俺も知らない。豪気達との戦いの様子が全国配信されていて、バズリまくってしまうということを。 ※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。 ※本作はカクヨム・小説家になろうでも公開しています。両サイトでのタイトルは『【悲報】最弱ジョブ「弓使い」の俺、ダンジョン攻略中にSランク迷惑パーティーに絡まれる。~全国配信されていることに気付かず全員返り討ちにしたら、バズリまくって大変なことになったんだが!?~』となります。

【完結】行き遅れ聖女の結婚騒動

天田れおぽん
恋愛
聖女ですが行き遅れと周りが圧をかけてくるので結婚しました。 村は聖女を失って大騒ぎですけど私は悪くありませんよね? ※他サイトでも掲載中 ★⌒*+*⌒★ ☆宣伝☆ ★⌒*+*⌒★  初書籍 「婚約破棄された不遇令嬢ですが、イケオジ辺境伯と幸せになります!」  が、レジーナブックスさまより発売中です。  紙書籍も電子書籍も発売されております。  書籍は、月戸先生による可愛く美しいイラストと共にお楽しみいただけます。    紙書籍版はピンクの効いた可愛らしくも情熱的な表紙が目印です。  電子書籍版はブルーの効いた爽やかで可愛らしい表紙が目印となっております。  紙書籍のほうも帯を外せば爽やかバージョンになりますので、これからの暑くジメジメした季節への対策として一冊いかがでしょうか? (笑)    大幅加筆・改稿を経て書籍いたしましたので、アルファポリスサイト連載時とは、また違った魅力のある作品となっております。  文字数が足りないと困ると思って頑張った結果、ちょっとボリュームが……となっているような気がしますが。(笑)  書籍を手売りする感覚でアルファポリスサイトでの投稿も頑張っていこうと思っています。  書籍 「婚約破棄された不遇令嬢ですが、イケオジ辺境伯と幸せになります!」  と著者  天田れおぽん  を、どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m  ★⌒*+*⌒★ ☆宣伝☆ ★⌒*+*⌒★

ノアズアーク 〜転生してもスーパーハードモードな俺の人生〜

こんくり
ファンタジー
27歳にして、今ゆっくりと死に向かう男がいる。 彼の人生は実にスーパーハードモードだった。 両親は早くに他界し、孤児院でイジメられ、やっと出れたと思えば余命宣告をされた。 彼は死に際に願う。 「来世は最強の魔法使いとか世界を救う勇者とかになりたいものだ。あ、あとハーレムも追加で。」と。 力尽きた彼が目を覚ますと、子供の体に転生していた。 転生は成功した。 しかし、願いは1つも叶わない。 魔術?厄災?ノア? 訳の分からないことばかりだ。 彼の2度目のスーパーハードモードな人生が始まる。

【R 18】友人の母親とセックスした話 【特選3篇】

吉良 純
恋愛
お前の母ちゃん俺のモノ

あなたの愛はいりません

oro
恋愛
「私がそなたを愛することは無いだろう。」 初夜当日。 陛下にそう告げられた王妃、セリーヌには他に想い人がいた。

転生悪役貴族、なぜか秘密結社の危険な美少女達に懐かれる~最凶美少女達のせいでシナリオ崩壊がひどいけど、ハッピーエンドを目指します~

救舟希望
ファンタジー
ひきこもりの高校生長嶺暁は、義妹の自殺騒動に巻き込まれて死亡し、大作RPG『デウス』の悪役貴族、サルヴァ・サリュに転生していた。 暁は、これは人生やり直しのチャンスだと奮起するが、問題が一つあった。 それはこの『デウス』世界の原作は、バッドエンド確定の鬱ゲーであるという事である。 原作において、主人公はヒロインをサルヴァに寝取られた上で、ヒロインが持つ女神の力を奪うためにヒロインを殺され、復讐に燃えた主人公はサルヴァをボロ雑巾のように殺す。そして主人公はその後女神の力で自らも死亡し、最後は主人公の事が好きだった秘密結社の少女が、世界ごと女神を滅ぼしながら盛大な自殺をする。それがこの〈デウス〉世界の悲しき運命であった。 だが当然暁は、殺されるのも、世界がバッドエンドを迎えるのも嫌だった。 暁改めサルヴァは決意する。強くなり、自分がこの世界を主人公には出来なかったハッピーエンドに導いてみせると。 だがその過程でサルヴァの下には、ゲーム内に存在する謎の秘密結社〈円環の唄〉の幹部、〈天の秘密を唄う使徒〉などと名乗る使徒たちが集まってくる。 サルヴァは、ヤンデレ美少女ばかりの〈円環の唄〉の使徒達に次々好かれていき、結果として原作シナリオは見事に崩壊していく―― ゲーム知識から来る特異な行動が、サルヴァに原作キャラ達との原作にない因縁を作り、サルヴァは否応なく誰も見た事がないストーリー展開に巻き込まれていくのだった――

運命の番?棄てたのは貴方です

ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。 番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。 ※自己設定満載ですので気を付けてください。 ※性描写はないですが、一線を越える個所もあります ※多少の残酷表現あります。 以上2点からセルフレイティング

処理中です...