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第4章 砂漠陰謀編
70.ナーム、浴場の乱
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「ええっと・・・なんだ、この状況は?」
スフィンクス家から借り受けた屋敷の浴室。湯船には5人の人間が湯に浸かっている。
この屋敷で生活している俺とサクヤ、俺の保護下に入っているネフェルティナ。ここまではよい。
問題は残る二人。スフィンクス家の嫡女であるナーム・スフィンクスと、バロン先輩の婚約者であるミスト・カイロである。
全裸で入浴しているサクヤとネフェルティナとは違って、二人は白い湯着に身を包んでいた。そのため、胸やら尻やら決定的な部分については辛うじて隠されている。
しかし、身体が濡れたことで湯着がピッタリと肌に密着しており、褐色肌のボディラインがこれでもかと浮き彫りになっていた。
屋敷の浴槽は十分な広さがあったが、さすがに五人の人間が同時に入浴すると手狭である。俺達は自然と身体を寄せ合う形になってしまい、正面にいるナームとミストと足の先が触れ合っていた。
「よいではありませんか。たまにはこういうのも」
カイロ嬢が悪戯っぽく笑った。
彼女は細身ながらも出るところはきちんと出ており、なかなか見応えのあるスタイルをしている。湯に浸かってほんのりと上気する肌は艶めかしく、俺はゴクリと唾を飲んでしまった。
「はう・・・恥ずかしいです」
対するナームは幼く、サクヤ以上に凹凸のない体つきである。
その手の趣味を持たない俺にしてみれば別に色めき立つことはなかったが、恥ずかしがって身体を縮こまらせ、チラチラとこちらを窺ってくる姿はなかなか愛らしい。
「・・・屋敷の入り口には警備の人間がいたはずだけど、どうやって入ったんだ?」
「ここはもともとスフィンクス家のお屋敷ですし、警備をしているのはウチの兵士ですから。私達でしたら顔パスで入れてもらえますよ?」
「それはそうかもしれないが・・・風呂場に突撃してくる理由にはなってないと思うけどな」
美女と入浴というのはご褒美以外の何物でもない。
しかし、その相手が婚約者を亡くしたばかりの未亡人と13歳の少女となれば喜んでばかりはいられない。
できることなら二人の身体を余すところなく鑑賞し尽くしたいところだが、さすがの俺だって気を遣ってしまう。
「マクスウェル様にはこういうお礼のほうが喜ぶかと思いまして。ご不快でしたか?」
「不快ではないけどな。なんというか・・・嬉しい以上に後ろめたくなるぜ。バロン先輩が化けて出てきそうだ」
「ふふ、彼がまた会いに来てくれるのなら喜んで浮気もするのですけどね」
本気とも冗談とも判断できない口調のカイロ嬢に、俺は「勘弁してくれ」と両目を手で覆う。
ただでさえ、バロン先輩は俺がナームと親しくしていることを面白く思っていないのだ。この期に及んでカイロ嬢にまで手を出してしまえば、確実に祟られてしまう。
(ミイラの次は怨霊になって対決とか笑えねえぞ。さすがにそろそろ、安らかに眠ってくれよな)
「冗談はさておき・・・貴方には本当に感謝しているのです。西方辺境を『恐怖の軍勢』から救っていただいて、バロンの仇も討ってもらい、本当にありがとうございます」
「構わないさ。ミイラも目玉邪神も、どちらも安い首だったよ」
「まさか『恐怖の軍勢』を操っていたのが邪神だったとは思いませんでしたが・・・いえ、あれほどの災害を引き起こせるのですから、それぐらいの黒幕がいるのも当然ですね」
「・・・そうだな」
スフィンクス家の面々には『死者の都』で邪神を討ち取り、永遠に『恐怖の軍勢』を葬り去ったことは伝えてある。
ネフェルティナのことは、『死者の都』から帰る途中で行き倒れていた記憶喪失の少女として説明していた。
本当のことを言ってもスフィンクス家にしてみれば対処に困るだろうし、下手に処刑などということになってせっかく助けた少女の首が落とされることになるのも、俺としては徒労に終わって気分が悪い。
「・・・義姉さんばっかり、ディンギルさまとお話をしてずるいです」
「ん?」
「あらあら、仕方がないわね」
ナームが拗ねたように唇を尖らせながら、俺の足先を両脚で挟んで引き寄せてくる。
妹分の少女のかわいらしい姿にカイロ嬢も微笑ましそうに笑い、ナームの頭を撫でた。
「だったら、マクスウェル様のお背中をお流ししてあげたらどうかしら? 私達を救ってくださった英雄をねぎらってさしあげなさい」
「はうっ・・・でも・・・そんな・・・」
「ナームがやらないのなら、私がやっちゃおうかしら? マクスウェル様のお背中、大きくて流し甲斐がありそうですし」
「むっ・・・! わたしがやるっ!」
ナームが両手をぐっと握り、重大な決意をしたように唇を引き締める。
「ディンギルさまっ! こっちへきてください!」
「ちょ、ナームちゃん!?」
ナームが俺の手を引いて浴槽から引きずり出す。
「ふあ・・・?」
「いや、えーと・・・」
ちなみに、俺は二人が突入してくることを予期していなかったため全裸である。
サクヤと湯船の中で密着して、カイロ嬢の身体を鑑賞した結果、俺の下半身はそれなりに臨戦態勢をとっていた。
湯船から無理やり引きずり出されたせいで、乙女にしてみれば凶器としか言いようのない「それ」がナームの目の前へと突きつけられてしまった。
「は・・・わわっ、でっかいへび・・・」
「ちょっ・・・おおいっ!?」
ふらりとナームの身体が傾ぎ、後ろに向かって倒れた。
「あらあら、大変なことになったわね」
「ディンギル様のものはまさに名刀ですからね。処女には目の毒でしょう」
「のんきなこと言ってる場合じゃないだろうが! ちょ、ナームちゃん、戻ってこいっ!」
「ふぁああああっ・・・」
目をグルグルと回して気を失うナームの身体を抱きかかえ、俺はまったりと湯に浸かっているカイロ嬢とサクヤへと声を張り上げるのであった。
スフィンクス家から借り受けた屋敷の浴室。湯船には5人の人間が湯に浸かっている。
この屋敷で生活している俺とサクヤ、俺の保護下に入っているネフェルティナ。ここまではよい。
問題は残る二人。スフィンクス家の嫡女であるナーム・スフィンクスと、バロン先輩の婚約者であるミスト・カイロである。
全裸で入浴しているサクヤとネフェルティナとは違って、二人は白い湯着に身を包んでいた。そのため、胸やら尻やら決定的な部分については辛うじて隠されている。
しかし、身体が濡れたことで湯着がピッタリと肌に密着しており、褐色肌のボディラインがこれでもかと浮き彫りになっていた。
屋敷の浴槽は十分な広さがあったが、さすがに五人の人間が同時に入浴すると手狭である。俺達は自然と身体を寄せ合う形になってしまい、正面にいるナームとミストと足の先が触れ合っていた。
「よいではありませんか。たまにはこういうのも」
カイロ嬢が悪戯っぽく笑った。
彼女は細身ながらも出るところはきちんと出ており、なかなか見応えのあるスタイルをしている。湯に浸かってほんのりと上気する肌は艶めかしく、俺はゴクリと唾を飲んでしまった。
「はう・・・恥ずかしいです」
対するナームは幼く、サクヤ以上に凹凸のない体つきである。
その手の趣味を持たない俺にしてみれば別に色めき立つことはなかったが、恥ずかしがって身体を縮こまらせ、チラチラとこちらを窺ってくる姿はなかなか愛らしい。
「・・・屋敷の入り口には警備の人間がいたはずだけど、どうやって入ったんだ?」
「ここはもともとスフィンクス家のお屋敷ですし、警備をしているのはウチの兵士ですから。私達でしたら顔パスで入れてもらえますよ?」
「それはそうかもしれないが・・・風呂場に突撃してくる理由にはなってないと思うけどな」
美女と入浴というのはご褒美以外の何物でもない。
しかし、その相手が婚約者を亡くしたばかりの未亡人と13歳の少女となれば喜んでばかりはいられない。
できることなら二人の身体を余すところなく鑑賞し尽くしたいところだが、さすがの俺だって気を遣ってしまう。
「マクスウェル様にはこういうお礼のほうが喜ぶかと思いまして。ご不快でしたか?」
「不快ではないけどな。なんというか・・・嬉しい以上に後ろめたくなるぜ。バロン先輩が化けて出てきそうだ」
「ふふ、彼がまた会いに来てくれるのなら喜んで浮気もするのですけどね」
本気とも冗談とも判断できない口調のカイロ嬢に、俺は「勘弁してくれ」と両目を手で覆う。
ただでさえ、バロン先輩は俺がナームと親しくしていることを面白く思っていないのだ。この期に及んでカイロ嬢にまで手を出してしまえば、確実に祟られてしまう。
(ミイラの次は怨霊になって対決とか笑えねえぞ。さすがにそろそろ、安らかに眠ってくれよな)
「冗談はさておき・・・貴方には本当に感謝しているのです。西方辺境を『恐怖の軍勢』から救っていただいて、バロンの仇も討ってもらい、本当にありがとうございます」
「構わないさ。ミイラも目玉邪神も、どちらも安い首だったよ」
「まさか『恐怖の軍勢』を操っていたのが邪神だったとは思いませんでしたが・・・いえ、あれほどの災害を引き起こせるのですから、それぐらいの黒幕がいるのも当然ですね」
「・・・そうだな」
スフィンクス家の面々には『死者の都』で邪神を討ち取り、永遠に『恐怖の軍勢』を葬り去ったことは伝えてある。
ネフェルティナのことは、『死者の都』から帰る途中で行き倒れていた記憶喪失の少女として説明していた。
本当のことを言ってもスフィンクス家にしてみれば対処に困るだろうし、下手に処刑などということになってせっかく助けた少女の首が落とされることになるのも、俺としては徒労に終わって気分が悪い。
「・・・義姉さんばっかり、ディンギルさまとお話をしてずるいです」
「ん?」
「あらあら、仕方がないわね」
ナームが拗ねたように唇を尖らせながら、俺の足先を両脚で挟んで引き寄せてくる。
妹分の少女のかわいらしい姿にカイロ嬢も微笑ましそうに笑い、ナームの頭を撫でた。
「だったら、マクスウェル様のお背中をお流ししてあげたらどうかしら? 私達を救ってくださった英雄をねぎらってさしあげなさい」
「はうっ・・・でも・・・そんな・・・」
「ナームがやらないのなら、私がやっちゃおうかしら? マクスウェル様のお背中、大きくて流し甲斐がありそうですし」
「むっ・・・! わたしがやるっ!」
ナームが両手をぐっと握り、重大な決意をしたように唇を引き締める。
「ディンギルさまっ! こっちへきてください!」
「ちょ、ナームちゃん!?」
ナームが俺の手を引いて浴槽から引きずり出す。
「ふあ・・・?」
「いや、えーと・・・」
ちなみに、俺は二人が突入してくることを予期していなかったため全裸である。
サクヤと湯船の中で密着して、カイロ嬢の身体を鑑賞した結果、俺の下半身はそれなりに臨戦態勢をとっていた。
湯船から無理やり引きずり出されたせいで、乙女にしてみれば凶器としか言いようのない「それ」がナームの目の前へと突きつけられてしまった。
「は・・・わわっ、でっかいへび・・・」
「ちょっ・・・おおいっ!?」
ふらりとナームの身体が傾ぎ、後ろに向かって倒れた。
「あらあら、大変なことになったわね」
「ディンギル様のものはまさに名刀ですからね。処女には目の毒でしょう」
「のんきなこと言ってる場合じゃないだろうが! ちょ、ナームちゃん、戻ってこいっ!」
「ふぁああああっ・・・」
目をグルグルと回して気を失うナームの身体を抱きかかえ、俺はまったりと湯に浸かっているカイロ嬢とサクヤへと声を張り上げるのであった。
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