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150.幼馴染のピンチ
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「グッ……!?」
竜哉が倒れた。
抱き合っていたはずのリフィナに刺されて、腹部から大量の血を流して。
「なっ……何をしているのよ!」
「ヤバッ! 竜哉君!?」
「…………!」
千花が叫んだ。美湖も愕然とする。
和葉は口を手で覆い、言葉を失っていた。
「リフィナ王女……どうして、竜哉に……!」
「仕方がないじゃない? どうしても、彼の……貴方達の身柄を確保する必要があるんだから」
リフィナがニチャアッと粘着質な笑みを浮かべた。
いつもの淑やかな王女の顔とはまるで別物で、弱者を嬲って遊んでいるような顔である。
「さて……貴方達も大人しく捕まってくれますよね? もしも断るようなら、彼の命はありませんよー」
「ウッ……」
リフィナがヒール付きの靴で倒れた竜哉を踏みつける。
リフィナの後方からゾロゾロと兵士が出てきて、三人の少女を包囲していく。
「二人とも、逃げなさい!」
叫んだのは千花である。
兵士に囲まれるよりも先に風のように前に飛び出し、腰の剣を抜いた。
そして、竜哉を人質に取っているリフィナに切っ先を突きつける。
「動かないで!」
「あら……ビックリ。思ったよりも速いのね」
「動いたら斬るわよ! 兵士達もその場に止まりなさい!」
リフィナが目を白黒とさせる。
兵士は慌てて立ち止まり、迷うように視線を左右させた。
「千花っち……!」
「美湖、和葉! 二人とも外に逃げて。私は竜哉を連れて後から合流するから、先に外へ……!」
「それは困るわねえ。面倒臭いじゃないーい?」
「なっ……!」
リフィナが一歩前に出た。
前に出たことで千花が突きつけていた剣がリフィナの首に刺さり、ブシュリと肉が裂ける音がする。
血が飛び散って足元に散る。慌てて千花が剣を引こうとするが、剣はどんどんリフィナの体内に入っていく。血がどんどん噴き出すが表情をまるで変えることなく。
「な、何を……やめなさい、やめなさい!」
「あらあら、自分で剣を突きつけておいて何を言っているのかしら? そんなに焦ってカワイソー」
「あ、あなた……人間じゃないの……!?」
「イヒヒ……バレちゃったー?」
リフィナの口が大きく、開く。
顎が外れて、唇が裂けて……口内から出てきたのは緑色の体色をした半透明の女である。
世界を管理する六人の女神の一人。『風』を司る女神エアだった。
「なっ……!」
「逃がさないわよ。貴女達には人質になってもらいまーす!」
女神エアがリフィナの口から上半身だけを出して、まるでサプライズパーティーを開催するかのように宣言した。
「さあさあ、貴方達。さっさと彼らを拘束しなさーい。彼らを捕まえなくちゃこの子を返してあげないわよー」
「にげ……いた……」
リフィナの身体がピクピクと苦しそうに痙攣している。
そこまできて、ようやく千花達は状況を悟った。
リフィナが得体の知れない何かに寄生されていて、操られていたことに。
「大人しくしてください。手荒なことはしたくありません!」
「クッ……!」
兵士が千花を拘束する。
顔見知りの兵士であったが、リフィナを人質に取られて彼らも逆らえなくなっているようだ。
「ちょ……触んないでよ!」
「ああ……!」
美湖と和葉も同じように拘束されている。
どうやら、千花と竜哉を置いて逃げる踏ん切りがつかなかったようだ。
「さてさて……これでカードは手に入れたわねー。うひひひ、あの少年をおびき寄せることができるんじゃなーい?」
「あの少年って……」
「知っているでしょう? 貴方達のもう一人の幼馴染よー」
「「「…………!」」」
三人の顔が驚きに引きつった。
女神エアの目的はウータであり、ウータに対して何らかの危害を加えるために彼女達を人質にしようとしているらしい。
ウータは三人にとって恋する相手。愛する男だ。
大切な人を苦しめるための道具に使われている事実に、心が激しく掻き乱された。
「さあさあ、続きは私の国でやりましょーか。あの神殺しの少年がどうやってこの危機的状況を攻略するのか楽しみだわー!」
「…………!」
ケラケラと楽しそうに笑っているエアに、千花達は苦悶の表情を浮かべることしかできないのであった。
竜哉が倒れた。
抱き合っていたはずのリフィナに刺されて、腹部から大量の血を流して。
「なっ……何をしているのよ!」
「ヤバッ! 竜哉君!?」
「…………!」
千花が叫んだ。美湖も愕然とする。
和葉は口を手で覆い、言葉を失っていた。
「リフィナ王女……どうして、竜哉に……!」
「仕方がないじゃない? どうしても、彼の……貴方達の身柄を確保する必要があるんだから」
リフィナがニチャアッと粘着質な笑みを浮かべた。
いつもの淑やかな王女の顔とはまるで別物で、弱者を嬲って遊んでいるような顔である。
「さて……貴方達も大人しく捕まってくれますよね? もしも断るようなら、彼の命はありませんよー」
「ウッ……」
リフィナがヒール付きの靴で倒れた竜哉を踏みつける。
リフィナの後方からゾロゾロと兵士が出てきて、三人の少女を包囲していく。
「二人とも、逃げなさい!」
叫んだのは千花である。
兵士に囲まれるよりも先に風のように前に飛び出し、腰の剣を抜いた。
そして、竜哉を人質に取っているリフィナに切っ先を突きつける。
「動かないで!」
「あら……ビックリ。思ったよりも速いのね」
「動いたら斬るわよ! 兵士達もその場に止まりなさい!」
リフィナが目を白黒とさせる。
兵士は慌てて立ち止まり、迷うように視線を左右させた。
「千花っち……!」
「美湖、和葉! 二人とも外に逃げて。私は竜哉を連れて後から合流するから、先に外へ……!」
「それは困るわねえ。面倒臭いじゃないーい?」
「なっ……!」
リフィナが一歩前に出た。
前に出たことで千花が突きつけていた剣がリフィナの首に刺さり、ブシュリと肉が裂ける音がする。
血が飛び散って足元に散る。慌てて千花が剣を引こうとするが、剣はどんどんリフィナの体内に入っていく。血がどんどん噴き出すが表情をまるで変えることなく。
「な、何を……やめなさい、やめなさい!」
「あらあら、自分で剣を突きつけておいて何を言っているのかしら? そんなに焦ってカワイソー」
「あ、あなた……人間じゃないの……!?」
「イヒヒ……バレちゃったー?」
リフィナの口が大きく、開く。
顎が外れて、唇が裂けて……口内から出てきたのは緑色の体色をした半透明の女である。
世界を管理する六人の女神の一人。『風』を司る女神エアだった。
「なっ……!」
「逃がさないわよ。貴女達には人質になってもらいまーす!」
女神エアがリフィナの口から上半身だけを出して、まるでサプライズパーティーを開催するかのように宣言した。
「さあさあ、貴方達。さっさと彼らを拘束しなさーい。彼らを捕まえなくちゃこの子を返してあげないわよー」
「にげ……いた……」
リフィナの身体がピクピクと苦しそうに痙攣している。
そこまできて、ようやく千花達は状況を悟った。
リフィナが得体の知れない何かに寄生されていて、操られていたことに。
「大人しくしてください。手荒なことはしたくありません!」
「クッ……!」
兵士が千花を拘束する。
顔見知りの兵士であったが、リフィナを人質に取られて彼らも逆らえなくなっているようだ。
「ちょ……触んないでよ!」
「ああ……!」
美湖と和葉も同じように拘束されている。
どうやら、千花と竜哉を置いて逃げる踏ん切りがつかなかったようだ。
「さてさて……これでカードは手に入れたわねー。うひひひ、あの少年をおびき寄せることができるんじゃなーい?」
「あの少年って……」
「知っているでしょう? 貴方達のもう一人の幼馴染よー」
「「「…………!」」」
三人の顔が驚きに引きつった。
女神エアの目的はウータであり、ウータに対して何らかの危害を加えるために彼女達を人質にしようとしているらしい。
ウータは三人にとって恋する相手。愛する男だ。
大切な人を苦しめるための道具に使われている事実に、心が激しく掻き乱された。
「さあさあ、続きは私の国でやりましょーか。あの神殺しの少年がどうやってこの危機的状況を攻略するのか楽しみだわー!」
「…………!」
ケラケラと楽しそうに笑っているエアに、千花達は苦悶の表情を浮かべることしかできないのであった。
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