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131.オムライスとビーフシチュー……だと?

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 第三試合に勝利したウータは宿屋に戻って、夕食を食べていた。

「そういえば……次は準決勝だけどさ、対戦相手は誰なのかな?」

 宿屋の客室でステラが作ったオムビーフシチューをモグモグと食べながら、ウータがふと思い出したように訊ねた。
 長かった闘技大会にもいよいよ終わりが見えている。残りは準決勝と決勝を残しているのみである。

「あと二回勝てば良いわけだけど……ベスト4まで残っているんだから、流石に強い人だよね?」

「はい、そうみたいですよ」

 自分が作った料理に「うんうん」と自信満々に頷きながら、ステラが答える。

「観客席で情報収集をしておきましたけど……ベスト4に残っているうち、ウータさん以外の二人がドワーフで、最後の一人はエルフみたいですよ?」

「エルフ? エルフって、あの耳が長い人だよね?」

「はい、その通りです」

 ステラが食事の手を止めて、一般的なエルフについて説明をする。

「エルフは『風』の女神エアによって生み出された種族で、姿かたちは人間と近しいですが、耳が長くて尖っているのが特徴ですね。一部の人間はエルフが不老不死であると思っているそうですが……実際には老化が遅いだけで、寿命は人間と変わらないそうですよ」

「フーン……そうなんだ」

 ウータがそれほど興味が無さそうに言いながら、オムビーフシチューをスプーンで掬う。

「他の二人はドワーフですけど、一人はエンジェさんです。彼女も順調に勝ち残っているみたいですね」

「ああ、それは良かった。ドワーフのお姉さんも勝ってたんだね。それで……僕の対戦相手は誰なのかな?」

「エルフの方みたいですよ。お互いに勝ち抜けば、エンジェさんとは決勝でぶつかることになります」

「へえ、何だか申し訳ないね。僕が勝っちゃうから悪いなあ」

 緊張感はないが、ウータは自分が勝つと確信している様子だった。
 それは決して自信過剰ではない。
 すでに女神フレアと女神マリンを討ち取っているウータにとって、今さらただのドワーフなど物の数ではなかった。

「懸念があるとすれば……ルールとか審判に邪魔されないかだよね。また嫌がらせられたらムッとするなあ」

 ドワーフに対して忖度している審判のことだ。
 よほど自分の種族が大切なのか、それとも他の種族を差別しているのか、ウータに対して損になるような工作をしていた。

「絶対、何かしてくるよね。次に変なことされたら塵にしちゃうかも」

「すごい脅し文句ですね……まあ、どうでも良いですけど」

 ステラもいい加減にウータがすることに驚かなくなってきた。
 審判役のドワーフは哀れだったが、自業自得であるので文句を言える立場ではない。

「おそらくですけど、審判が何かをしてくるとしたら決勝戦ですね。準決勝の相手はエルフ、ドワーフではないのであえて妨害をしてくることはないかと」

「あっそ、エルフと会うのは初めてだから楽しみだね」

 言葉とは裏腹に、やはりウータはどうでも良さそうである。
 彼が興味を向けて射るのは目の前の食事だけ。ウータはオムビーフシチューを美味しそうに口に運ぶのであった。
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