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130.バンザーイだよ
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「とうとう、ベスト4進出だね」
「はい。流石です。ウータさん」
四回戦にて、大道芸人の女性……ダニーに勝利したことにより、ウータの準決勝出場が決定した。
あと二回勝利すれば、優勝である。
ウータは『土』の女神アースによって表彰される権利を得る。
「つまり、その時が彼女の最期というわけだよね。楽しみだよ」
ウータの目的はこの世界にいる女神を喰らい、力を奪い取ることである。
すでに『火』と『水』の女神を捕食しており、それによって肉体を強化させていた。
「次が折り返し地点だね……ああ、早く『土』の女神様を食べたいよ」
試合会場から宿屋への帰路、ウータが物騒なことを口にする。
基本的にのんびりした性格のウータにしては、珍しくアースに対する敵意を口にしていた。
珍しいことである。一緒にいたステラが首を傾げた。
「どうしましたか、随分とやる気ですね?」
「うん?」
「他の女神とも戦いましたけど……そんなに怒っていましたっけ?」
ウータは基本的に怒らない。
『火』や『水』の女神、そして彼らの眷属が無益な殺生をしていたのを見た際にも、少しも腹を立てている様子はなかった。
例外があるとすれば……食べ物の恨みくらいだろうか。
以前、ビーフシチューを台無しにされた時などは、わりと本気で怒っていたような気がする。
「あれ? そうだねえ、何でだろう?」
ウータが首を傾げる。
自分でも、どうして『土』の女神アースに対してここまで殺意を募らせているのか、わかっていないようだった。
「よくわからないけど……ムカつくものはムカつくよねえ。なんか、ほら。神殿に入ったら石にされちゃったし? あれ、すごいビックリしたし?」
「あ……」
そこでステラは思い出した。
『土』の神殿の地下に入ったところ、仕掛けられていた呪いによって、ステラが宝石にされかけた。
転移で離脱したから事なきを得たが、最悪の場合、あのまま物言わぬ鉱物にされていたことだろう。
「もしかして……私のために怒ってくれてるんですか?」
「うーん……どうだろう。よくわからないけど、確かにステラが石にされそうになった時はムッとしたかも?」
「ウータさん……」
ウータは自分の感情を処理できていない様子で、しきりに首を傾げている。
まるで世間知らずな子供のような顔。だからこそ、その言葉と表情には偽りがなく本音であると理解することができた。
「ウータさん……今晩は私がご飯を作りますね?」
そんなウータに胸が満たされるような気持ちになり、ステラがそんな提案する。
「たぶん、お願いしたら厨房を貸してくれると思いますから。ビーフシチューでもオムライスでも、好きな物を作ってあげますよ?」
「え、本当に!? やったあ!」
宿屋の料理が不味いわけではないが……この土地の味なのか、スパイシー過ぎる料理はちょっと口に合わなかった。
贅沢感はなくとも家庭的なステラの料理が恋しかったところだ。
「じゃあ、両方で! オムビーフシチューをよろしくね!」
「はい、わかりました。腕によりをかけて作りますね?」
「きゃっほい! バンザーイ!」
微笑むステラに、ウータが嬉しそうに両手を上げて飛び跳ねたのであった。
「はい。流石です。ウータさん」
四回戦にて、大道芸人の女性……ダニーに勝利したことにより、ウータの準決勝出場が決定した。
あと二回勝利すれば、優勝である。
ウータは『土』の女神アースによって表彰される権利を得る。
「つまり、その時が彼女の最期というわけだよね。楽しみだよ」
ウータの目的はこの世界にいる女神を喰らい、力を奪い取ることである。
すでに『火』と『水』の女神を捕食しており、それによって肉体を強化させていた。
「次が折り返し地点だね……ああ、早く『土』の女神様を食べたいよ」
試合会場から宿屋への帰路、ウータが物騒なことを口にする。
基本的にのんびりした性格のウータにしては、珍しくアースに対する敵意を口にしていた。
珍しいことである。一緒にいたステラが首を傾げた。
「どうしましたか、随分とやる気ですね?」
「うん?」
「他の女神とも戦いましたけど……そんなに怒っていましたっけ?」
ウータは基本的に怒らない。
『火』や『水』の女神、そして彼らの眷属が無益な殺生をしていたのを見た際にも、少しも腹を立てている様子はなかった。
例外があるとすれば……食べ物の恨みくらいだろうか。
以前、ビーフシチューを台無しにされた時などは、わりと本気で怒っていたような気がする。
「あれ? そうだねえ、何でだろう?」
ウータが首を傾げる。
自分でも、どうして『土』の女神アースに対してここまで殺意を募らせているのか、わかっていないようだった。
「よくわからないけど……ムカつくものはムカつくよねえ。なんか、ほら。神殿に入ったら石にされちゃったし? あれ、すごいビックリしたし?」
「あ……」
そこでステラは思い出した。
『土』の神殿の地下に入ったところ、仕掛けられていた呪いによって、ステラが宝石にされかけた。
転移で離脱したから事なきを得たが、最悪の場合、あのまま物言わぬ鉱物にされていたことだろう。
「もしかして……私のために怒ってくれてるんですか?」
「うーん……どうだろう。よくわからないけど、確かにステラが石にされそうになった時はムッとしたかも?」
「ウータさん……」
ウータは自分の感情を処理できていない様子で、しきりに首を傾げている。
まるで世間知らずな子供のような顔。だからこそ、その言葉と表情には偽りがなく本音であると理解することができた。
「ウータさん……今晩は私がご飯を作りますね?」
そんなウータに胸が満たされるような気持ちになり、ステラがそんな提案する。
「たぶん、お願いしたら厨房を貸してくれると思いますから。ビーフシチューでもオムライスでも、好きな物を作ってあげますよ?」
「え、本当に!? やったあ!」
宿屋の料理が不味いわけではないが……この土地の味なのか、スパイシー過ぎる料理はちょっと口に合わなかった。
贅沢感はなくとも家庭的なステラの料理が恋しかったところだ。
「じゃあ、両方で! オムビーフシチューをよろしくね!」
「はい、わかりました。腕によりをかけて作りますね?」
「きゃっほい! バンザーイ!」
微笑むステラに、ウータが嬉しそうに両手を上げて飛び跳ねたのであった。
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