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129.ピエロとの戦いだよ
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四回戦の対戦相手……ピエロの女性、ダニーが袖に隠し持っていたナイフを投擲した。
稲妻のように飛んできたナイフがウータの額に突き刺さり、一撃で絶命させる。
「ハイッ! 試合しゅーりょーでございまーす!」
ダニーが観客席に向かって手を振るが……勝手に終わらせてもらっては困る。
「まだだよ」
「へ?」
「危ないなあ。急に物を投げてくるとか、危ないじゃないか」
ウータが投げつけられたナイフをつまんで、抗議の声を上げる。
「次からは、投げる前に言ってくれないかな?」
「アレレレレレー? どうして、生きてるんですかあ?」
ダニーが首を傾げた。
間違いなく、投げたナイフは額に突き刺さったはず。それなのに、どうして生きているというのかと不思議そうにしている。
「残像だよ。超速く動いて、回避しただけ」
嘘である。
実際にはナイフは刺さっていたし、脳がブシャリとなっていたものの、ウータが一瞬で治癒しただけだった。
血も出ていたし、残像で済ませるには無理があるが。
「ナ、ナンダッテー! 何て素早い動きなのー!?」
しかし、ダニーは大袈裟に驚いている。
ピエロらしいオーバーリアクションだ。両手で顔を挟んで、ムンクの叫びのようなポーズをとっていた。
「ナ、ナナナナナナナナナナッ! なんてスピード、まるで見えなかったわー!?」
「うんうん、褒めてくれてありがとうね……嘘ついているから、ちょっと胸が痛くなってきたよ」
「そんな素早い貴方にお花をプレゼント。どうぞ、受け取ってくださいな」
ダニーが手品のように、何もない空間から一輪の花を差し出してきた。綺麗な白い花である。
「あ、どうも」
ウータが思わず、受け取ろうと手を伸ばす。
その瞬間、花が鋭いナイフに代わった。
「わっ!」
「ハイイイイイイイイッ!」
ダニーが隙をついて振るったナイフが、ウータの首を斬り裂いた。
頸動脈が間違いなく切断されている。明らかな致命傷だった。
「ハイッ! これで終わりでございまーす!」
「うっわ……危ないなあ。驚いたじゃないか?」
「死んでませんンンンンンンンンンッ!?」
平然としているウータの姿に、ダニーが驚きのリアクションをしながら何度もバク転をする。
「どーして、生きているんでアリマスカー!? 間違いなく、斬ったはずでゴザイマスヨー!?」
「えーと……残像だよ」
「いや、血が超出てましたけどねえ!? もう残像じゃセツメーできませんけどねー!?」
「何というか……お姉さん、面白いね」
騙されたり、不意打ちされたりしているのだが……不思議と、ダニーのことを憎むことができない。
これがピエロのメイクの魔法なのだろうか……恐ろしいものである。
「そういえば……美湖が子供の頃、すごいピエロを怖がってたな。何がおっかないのか、僕にはわからないけど」
「オーッ! アウチッ、こうなったら……五月雨ナイフでーす!」
「おお?」
「ハイッ! ハイッ! ハイッ! ハイッ! ハイッ!」
ダニーの身体から無数のナイフが投げつけられた。
雨あられのように降りそそぐナイフ。逃げる場所は無さそうだ。
「まあ、僕だから効かないけどね」
「オオッ!?」
ウータは転移によって、ナイフが届かない安全圏まで離脱した。
あっさりと逃れたウータを見て、ダニーが身体をのけ反らせて愕然とする。
「オー、ノオオオオオオオオオオオオオオオオオッ! 困りましたー! これはバンサクつきましたよおー!?」
「それじゃあ、さっさとやられて欲しいな……えいっ」
「ヒャアッ! 消えましたあっ!」
ウータが姿を消して、ダニーの背後に転移する。
そして、取り出したミスリル製のナイフの柄で、ダニーの頭部を殴打する。
「アーウチッ!」
「面白かったよ。今度会ったら、また芸を見せてくれると嬉しいな」
頭を強打されたダニーが倒れて、そのまま気を失ってしまった。
倒れたダニーはシャチホコのように身体を逸らして気絶しており、その間抜けな倒れっぷりに観客席から笑いが上がる。
「最後の最後まで……本当にプロだなあ」
「勝者……人間族のウータ選手」
感心するウータ。
審判のドワーフが勝利宣言をして、ウータの準決勝出場が決定したのだった。
稲妻のように飛んできたナイフがウータの額に突き刺さり、一撃で絶命させる。
「ハイッ! 試合しゅーりょーでございまーす!」
ダニーが観客席に向かって手を振るが……勝手に終わらせてもらっては困る。
「まだだよ」
「へ?」
「危ないなあ。急に物を投げてくるとか、危ないじゃないか」
ウータが投げつけられたナイフをつまんで、抗議の声を上げる。
「次からは、投げる前に言ってくれないかな?」
「アレレレレレー? どうして、生きてるんですかあ?」
ダニーが首を傾げた。
間違いなく、投げたナイフは額に突き刺さったはず。それなのに、どうして生きているというのかと不思議そうにしている。
「残像だよ。超速く動いて、回避しただけ」
嘘である。
実際にはナイフは刺さっていたし、脳がブシャリとなっていたものの、ウータが一瞬で治癒しただけだった。
血も出ていたし、残像で済ませるには無理があるが。
「ナ、ナンダッテー! 何て素早い動きなのー!?」
しかし、ダニーは大袈裟に驚いている。
ピエロらしいオーバーリアクションだ。両手で顔を挟んで、ムンクの叫びのようなポーズをとっていた。
「ナ、ナナナナナナナナナナッ! なんてスピード、まるで見えなかったわー!?」
「うんうん、褒めてくれてありがとうね……嘘ついているから、ちょっと胸が痛くなってきたよ」
「そんな素早い貴方にお花をプレゼント。どうぞ、受け取ってくださいな」
ダニーが手品のように、何もない空間から一輪の花を差し出してきた。綺麗な白い花である。
「あ、どうも」
ウータが思わず、受け取ろうと手を伸ばす。
その瞬間、花が鋭いナイフに代わった。
「わっ!」
「ハイイイイイイイイッ!」
ダニーが隙をついて振るったナイフが、ウータの首を斬り裂いた。
頸動脈が間違いなく切断されている。明らかな致命傷だった。
「ハイッ! これで終わりでございまーす!」
「うっわ……危ないなあ。驚いたじゃないか?」
「死んでませんンンンンンンンンンッ!?」
平然としているウータの姿に、ダニーが驚きのリアクションをしながら何度もバク転をする。
「どーして、生きているんでアリマスカー!? 間違いなく、斬ったはずでゴザイマスヨー!?」
「えーと……残像だよ」
「いや、血が超出てましたけどねえ!? もう残像じゃセツメーできませんけどねー!?」
「何というか……お姉さん、面白いね」
騙されたり、不意打ちされたりしているのだが……不思議と、ダニーのことを憎むことができない。
これがピエロのメイクの魔法なのだろうか……恐ろしいものである。
「そういえば……美湖が子供の頃、すごいピエロを怖がってたな。何がおっかないのか、僕にはわからないけど」
「オーッ! アウチッ、こうなったら……五月雨ナイフでーす!」
「おお?」
「ハイッ! ハイッ! ハイッ! ハイッ! ハイッ!」
ダニーの身体から無数のナイフが投げつけられた。
雨あられのように降りそそぐナイフ。逃げる場所は無さそうだ。
「まあ、僕だから効かないけどね」
「オオッ!?」
ウータは転移によって、ナイフが届かない安全圏まで離脱した。
あっさりと逃れたウータを見て、ダニーが身体をのけ反らせて愕然とする。
「オー、ノオオオオオオオオオオオオオオオオオッ! 困りましたー! これはバンサクつきましたよおー!?」
「それじゃあ、さっさとやられて欲しいな……えいっ」
「ヒャアッ! 消えましたあっ!」
ウータが姿を消して、ダニーの背後に転移する。
そして、取り出したミスリル製のナイフの柄で、ダニーの頭部を殴打する。
「アーウチッ!」
「面白かったよ。今度会ったら、また芸を見せてくれると嬉しいな」
頭を強打されたダニーが倒れて、そのまま気を失ってしまった。
倒れたダニーはシャチホコのように身体を逸らして気絶しており、その間抜けな倒れっぷりに観客席から笑いが上がる。
「最後の最後まで……本当にプロだなあ」
「勝者……人間族のウータ選手」
感心するウータ。
審判のドワーフが勝利宣言をして、ウータの準決勝出場が決定したのだった。
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