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125.嫌がらせされたけどやる気が出てきたよ
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武闘大会三日目。三回戦。
ウータは再び、闘技場にやってきたのだが……そこに待ち構えていたのは、厳しい顔をした審判だった。
審判はウータの顔を確認するや、舌打ちを一つしてから、おもむろに何かを押しつけてくる。
「本日の試合では、こちらの腕輪を嵌めてもらう」
「これは?」
ウータの右腕に着けられたのは金属製の手枷である。
黒い色のそれには魔法の文様が刻まれており、特別な力が込められたマジックアイテムであることがわかった。
「昨日のように反則行為をされては困るからな。魔封じの枷を嵌めさせてもらう」
審判が淡々として説明をする。
どうやら、その腕輪には装備者の魔法を封じる効果があるようだ。
ステラが使っている『無垢なる炎』と同じような力が込められているのだろうか?
(そうだとしたら、僕には効かないよね。ステラの魔法無効化能力だって効果はなかったんだから)
それはそうとして……気になることがある。
「反則って……別に、魔法を使うのはルール違反じゃないんだよね? おかしくないかな?」
ウータが不思議そうに問うと、審判は鬱陶しそうに鼻を鳴らす。
その表情に浮かんでいるのは侮蔑と不快感。あまり好意的ではない感情だった。
「武闘大会はあくまでも武術を競うための大会だ。補助的な魔法の使用は許されているが、大規模な魔法攻撃は不許可である。文句があるのなら、棄権してもらっても構わない。人間族が怯えて逃げただけのことだからな!」
審判の言葉にはやたらと敵意が込められている。
どうやら、ウータが勝ち進んでいることを面白く思っていないらしい。
やたらと『人間族』という言葉の語気が強くて、嫌味ったらしい言い方だった。
「ああ……なるほどね。人種差別とかするタイプの人か。気分が悪いなあ」
「何か言ったか?」
「別に言ってないけどー? 別に良いよ、このままで」
ウータが右腕に着けた手枷を上下に振りながら、不満そうに言う。
無駄に重くて鬱陶しい枷である。魔法無効化以前に、動きづらくて仕方がない。
明らかに、これを着けろと言った人間……もとい、ドワーフの悪意が感じられた。
「そんなに、人間の子供が勝ち進むことが気に入らないのかなあ? 嫌われたものだよね」
愚痴を吐きながら、ウータは手枷をジャラジャラと鳴らす。
とても鬱陶しいし、イラッとはするものの……こんな手枷くらいではウータの動きは阻害できない。
魔法だって、問題なく使うことができるだろう。
ジャラジャラと金具が鳴っているのがウルサイくらいで、戦いには一切支障はないはず。
「正直、絶対に勝たなくちゃいけないというほどの意気込みはないけど……こういう嫌がらせをされると、是が非でも勝ちたくなってくるよねえ」
見事に勝利を飾って、嫌がらせをしてきた奴らに吠え面を掻かせたくて仕方がない。
「俄然、やる気になってきたよね。本気で勝っちゃおうかな?」
魔法無しでの限定的な試合だが……望むところである。
それくらいハンデがあった方が、ゲームも楽しめるというものだ。
「それじゃ、やろうかな」
ウータが悪戯っぽく笑いながら、控室を出て試合会場に向かって行った。
ウータは再び、闘技場にやってきたのだが……そこに待ち構えていたのは、厳しい顔をした審判だった。
審判はウータの顔を確認するや、舌打ちを一つしてから、おもむろに何かを押しつけてくる。
「本日の試合では、こちらの腕輪を嵌めてもらう」
「これは?」
ウータの右腕に着けられたのは金属製の手枷である。
黒い色のそれには魔法の文様が刻まれており、特別な力が込められたマジックアイテムであることがわかった。
「昨日のように反則行為をされては困るからな。魔封じの枷を嵌めさせてもらう」
審判が淡々として説明をする。
どうやら、その腕輪には装備者の魔法を封じる効果があるようだ。
ステラが使っている『無垢なる炎』と同じような力が込められているのだろうか?
(そうだとしたら、僕には効かないよね。ステラの魔法無効化能力だって効果はなかったんだから)
それはそうとして……気になることがある。
「反則って……別に、魔法を使うのはルール違反じゃないんだよね? おかしくないかな?」
ウータが不思議そうに問うと、審判は鬱陶しそうに鼻を鳴らす。
その表情に浮かんでいるのは侮蔑と不快感。あまり好意的ではない感情だった。
「武闘大会はあくまでも武術を競うための大会だ。補助的な魔法の使用は許されているが、大規模な魔法攻撃は不許可である。文句があるのなら、棄権してもらっても構わない。人間族が怯えて逃げただけのことだからな!」
審判の言葉にはやたらと敵意が込められている。
どうやら、ウータが勝ち進んでいることを面白く思っていないらしい。
やたらと『人間族』という言葉の語気が強くて、嫌味ったらしい言い方だった。
「ああ……なるほどね。人種差別とかするタイプの人か。気分が悪いなあ」
「何か言ったか?」
「別に言ってないけどー? 別に良いよ、このままで」
ウータが右腕に着けた手枷を上下に振りながら、不満そうに言う。
無駄に重くて鬱陶しい枷である。魔法無効化以前に、動きづらくて仕方がない。
明らかに、これを着けろと言った人間……もとい、ドワーフの悪意が感じられた。
「そんなに、人間の子供が勝ち進むことが気に入らないのかなあ? 嫌われたものだよね」
愚痴を吐きながら、ウータは手枷をジャラジャラと鳴らす。
とても鬱陶しいし、イラッとはするものの……こんな手枷くらいではウータの動きは阻害できない。
魔法だって、問題なく使うことができるだろう。
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「正直、絶対に勝たなくちゃいけないというほどの意気込みはないけど……こういう嫌がらせをされると、是が非でも勝ちたくなってくるよねえ」
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「俄然、やる気になってきたよね。本気で勝っちゃおうかな?」
魔法無しでの限定的な試合だが……望むところである。
それくらいハンデがあった方が、ゲームも楽しめるというものだ。
「それじゃ、やろうかな」
ウータが悪戯っぽく笑いながら、控室を出て試合会場に向かって行った。
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