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124.試合に勝ったけど不穏だよ
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「先ほどの試合で使った水の魔法……次回以降の試合では使用を禁止する」
第二試合で勝利したウータであったが、試合後に控え室に戻ったところで、審判にこんなことを言われてしまった。
「本来、この大会で大規模な魔法攻撃は禁止されている。勝利を没収はしないが、以後、気をつけるように」
「えっと……でも、あのビッグフットの人も魔法を使っていたよね? 結構、強めの魔法攻撃だったと思うけど?」
「……注意は以上だ。行ってよい」
審判は一方的にそれだけ告げてから、控え室から去って行った。
ウータは閉じた扉をしばらく見つめていたが、やがて不服そうに唇を尖らせる。
「ムウ……」
どうにも、贔屓というか忖度があるような気がしてならない。
土の魔法は良くて水の魔法はダメ……もしかすると、ドワーフが土の女神を信仰していることに、何か関係あるのだろうか。
「まあ、いっか。ステラと合流してご飯にいこ」
ムッとしたウータであったが、すぐに切り替えて試合会場から出ていった。
外に出ると、ステラがそこで待っていて得意げに財布を見せてくる。
「食事を奢ってあげます。臨時収入がありましたからね」
「アハハハハ、僕が勝ったからだよね?」
ステラは先ほどの試合で、ウータが勝つ方に賭けていた。
倍率は五倍ほどだったので、それなりの収入にはなったようだ。
「じゃあ、ご飯に行こうか」
「はい、行きましょう」
ウータとステラは街を歩いていくが……周りからザワリと声が上がる。
「あの人って……」
「ああ、『嵐切』と『石絶』の二人を倒した人間族だよ」
「まさか、人間の子供があの二人を倒すなんて……」
「あれ? 子供なのか?」
「いや……人間族はヒゲが無いから、みんな子供に見えるな……」
通りを行くウータの姿を見て、町の住民であるドワーフ達が口々に噂をしている。
一回戦で戦ったトサカドワーフ、二回戦で戦ったビッグフット・ドワーフはそれなりに有名人であったらしい。
彼らを倒したことにより、ウータもまた町で知られる存在となっていた。
「有名人ですね」
「有名人だねえ。よくわからないけど」
のほほんとした様子のウータであったが……残念ながら、町の人々全てが好意的というわけではなかった。
「チッ……どうして、人間族なんかに……」
「軟弱な人間ごときにやられるなんて、『嵐切』達も情けない……」
ドワーフである彼らとしては、同胞が人間のウータにやられてしまったのが気に入らないらしい。
差別主義者というのは、どこの世界にだっているものである。
ドワーフの中にも、人間が気に入らない輩がいるようだ。
「まあ、無理もないかもしれないね。この武闘大会を主催しているのはドワーフなわけだし。自分達の国の大会で、外国人にやられるのは気に入らないよねえ」
「……どうしますか、ウータさん」
「どうもしないよ。向こうが何もしないのならねえ」
昨日の『嵐切』のように襲撃を仕掛けてくるのであれば返り討ちにするが、ちょっかいをかけてこないのならば用はない。
ウータは興味のない相手にいちいちケンカを吹っ掛けるほど、暇人でも真面目でもないのだから。
「ごはん、早く行こうよ。お腹空いちゃったよ」
「はい……わかりました」
周りから向けられる興味と悪意の視線を気にしながら、ステラはウータと一緒にレストランを探して通りを歩いて行った。
第二試合で勝利したウータであったが、試合後に控え室に戻ったところで、審判にこんなことを言われてしまった。
「本来、この大会で大規模な魔法攻撃は禁止されている。勝利を没収はしないが、以後、気をつけるように」
「えっと……でも、あのビッグフットの人も魔法を使っていたよね? 結構、強めの魔法攻撃だったと思うけど?」
「……注意は以上だ。行ってよい」
審判は一方的にそれだけ告げてから、控え室から去って行った。
ウータは閉じた扉をしばらく見つめていたが、やがて不服そうに唇を尖らせる。
「ムウ……」
どうにも、贔屓というか忖度があるような気がしてならない。
土の魔法は良くて水の魔法はダメ……もしかすると、ドワーフが土の女神を信仰していることに、何か関係あるのだろうか。
「まあ、いっか。ステラと合流してご飯にいこ」
ムッとしたウータであったが、すぐに切り替えて試合会場から出ていった。
外に出ると、ステラがそこで待っていて得意げに財布を見せてくる。
「食事を奢ってあげます。臨時収入がありましたからね」
「アハハハハ、僕が勝ったからだよね?」
ステラは先ほどの試合で、ウータが勝つ方に賭けていた。
倍率は五倍ほどだったので、それなりの収入にはなったようだ。
「じゃあ、ご飯に行こうか」
「はい、行きましょう」
ウータとステラは街を歩いていくが……周りからザワリと声が上がる。
「あの人って……」
「ああ、『嵐切』と『石絶』の二人を倒した人間族だよ」
「まさか、人間の子供があの二人を倒すなんて……」
「あれ? 子供なのか?」
「いや……人間族はヒゲが無いから、みんな子供に見えるな……」
通りを行くウータの姿を見て、町の住民であるドワーフ達が口々に噂をしている。
一回戦で戦ったトサカドワーフ、二回戦で戦ったビッグフット・ドワーフはそれなりに有名人であったらしい。
彼らを倒したことにより、ウータもまた町で知られる存在となっていた。
「有名人ですね」
「有名人だねえ。よくわからないけど」
のほほんとした様子のウータであったが……残念ながら、町の人々全てが好意的というわけではなかった。
「チッ……どうして、人間族なんかに……」
「軟弱な人間ごときにやられるなんて、『嵐切』達も情けない……」
ドワーフである彼らとしては、同胞が人間のウータにやられてしまったのが気に入らないらしい。
差別主義者というのは、どこの世界にだっているものである。
ドワーフの中にも、人間が気に入らない輩がいるようだ。
「まあ、無理もないかもしれないね。この武闘大会を主催しているのはドワーフなわけだし。自分達の国の大会で、外国人にやられるのは気に入らないよねえ」
「……どうしますか、ウータさん」
「どうもしないよ。向こうが何もしないのならねえ」
昨日の『嵐切』のように襲撃を仕掛けてくるのであれば返り討ちにするが、ちょっかいをかけてこないのならば用はない。
ウータは興味のない相手にいちいちケンカを吹っ掛けるほど、暇人でも真面目でもないのだから。
「ごはん、早く行こうよ。お腹空いちゃったよ」
「はい……わかりました」
周りから向けられる興味と悪意の視線を気にしながら、ステラはウータと一緒にレストランを探して通りを歩いて行った。
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