52 / 122
連載
85.西宮和葉はパフパフする
しおりを挟む
「フウ……疲れました……」
戦いが終わって、王城では宴会が開かれた。
生き残った仲間達と健闘を讃え合い、倒れた戦友の冥福を祈り、兵士達は涙を流しながら酒を呷った。
宴もたけなわというところで宴席から抜け出した西宮和葉は、自室のベッドに横になって目を閉じる。
今回の戦争において、和葉は聖女として後方での治療活動に従事している。
敵とはまるで戦っていない。それでも、運び込まれてくる負傷者の治療を延々と続けるという作業は精神を削るものだった。
「ウータさん……今頃、何をしているでしょうか?」
目を閉じて、瞼の裏に浮かんでくるのは愛しい男性の顔である。
花散ウータ。彼の顔を思い浮かべただけで、戦場での疲労とストレスが吹き飛んでいく。
「ウータさん……今日も会いに行きますね……」
ベッドに寝転がったまま腹部の前で両手を重ねる。
「フー…………」
長く息を吐いて、精神を統一。
自分の身体から魂が剥がれ落ち、空を飛んでいくイメージ。
肉体という軛から解き放たれた魂は猛スピードで飛んでいき、一瞬で数百キロという距離を越えていく。
『聖女』である和葉だけが使うことができる能力。
自らの信仰対象との間にリンクを作ることができる力である。
以前はスピリチュアル・ストーカーとしてウータの動向を観察することしかできなかったが、聖女として成長した今では生霊を飛ばすことすら出来るようになっていた。
(ウータさん、また旅に出たんですね。今度の目的地はドワーフの国ですか)
ウータはフィッシュブルクにて水の女神マリンを倒して、ドワーフの国ミスリルバレーに向かっていた。
今はキャンプをしているところであり、テントの中でスヤスヤと寝息を立てている。
『ム……』
ウータの隣には一人の少女が丸くなって眠っていた。
和葉の頭を一瞬だけ妬み嫉みの感情が横切るが……すぐに消える。
『別に構いませんとも。ウータさんみたいな美しく偉大な方の周りに信者が集まるのは当然のことですから……』
和葉にとってウータは崇拝すべき相手であり、独占できるとは最初から思っていない。
常にウータと行動を共にしているステラに思うところはあったが……巫女であり禰宜である自分は寛大でいなくては。
『ウータさん! こんばんは!』
「アレ……和葉?」
和葉が声をかけると、ウータが応えてくれた。
「どうしたのかな? 超おっぱい見えてるけど?」
『いやんっ』
魂だけで飛んできた和葉は一糸まとっていない全裸である。
もちろん、形の良い乳房も丸出しだった。
『……ウータさん、女性の胸に興味を持つようになったんですね。前は全然、気にしていなかったのに』
「ん? まあ、そうだね。本当につい最近だけど、女の子のお胸って柔っこくて触り心地が良いなって気づいたんだ」
『そうですか……それでは、存分にどうぞ』
和葉は羞恥に肌を桃色に染めながら、ウータの前に胸をさらす。
『私達のために頑張ってくれているご褒美です。どうぞご堪能ください』
「え、いいのかな?」
『もちろんです』
「それじゃあ、遠慮なく」
『んっ!』
ウータの両手が和葉の胸に伸びる。
恥ずかしさはあるものの、崇める神が求めているのだ。応じないわけにはいかなかった。
(本当はここで抱いてくださっても構いませんけど……ウータさんにはまだ早いですね)
和葉が推察するに、ウータの性年齢はまだ小学校高学年ほどである。
女性の胸などに興味を抱いていても、セックスなどまだ早い。
(時間はたっぷりとあります。少しずつ、私を女として意識していただかないと)
和葉は頭の中でいかにしてウータと結ばれるか計画を立てる。
ウータに女として意識させ、肉体関係を持ち。
結納から結婚。子作り。育児。
子供の反抗期に受験戦争。就職、結婚、孫の出産。
ウータに胸を弄ばれながら、和葉はざっと還暦までの人生設計を構築した。
『子供は三人ずつですね。ステラさんがどこまでついてくるかはわかりませんが……サッカーチームが作れるくらいが理想です』
「何の話かな?」
『こっちの話です……絶対に逃がしませんからね』
和葉は妖しく微笑みながら、清楚な顔立ちで舌なめずりをする。
信仰する側が支配しているのか、それとも信仰される側が縛られているのか。
和葉は自らの神であるウータへの狂信じみた愛をグツグツと滾らせつつ、裸の胸にウータの頭を抱きしめるのであった。
戦いが終わって、王城では宴会が開かれた。
生き残った仲間達と健闘を讃え合い、倒れた戦友の冥福を祈り、兵士達は涙を流しながら酒を呷った。
宴もたけなわというところで宴席から抜け出した西宮和葉は、自室のベッドに横になって目を閉じる。
今回の戦争において、和葉は聖女として後方での治療活動に従事している。
敵とはまるで戦っていない。それでも、運び込まれてくる負傷者の治療を延々と続けるという作業は精神を削るものだった。
「ウータさん……今頃、何をしているでしょうか?」
目を閉じて、瞼の裏に浮かんでくるのは愛しい男性の顔である。
花散ウータ。彼の顔を思い浮かべただけで、戦場での疲労とストレスが吹き飛んでいく。
「ウータさん……今日も会いに行きますね……」
ベッドに寝転がったまま腹部の前で両手を重ねる。
「フー…………」
長く息を吐いて、精神を統一。
自分の身体から魂が剥がれ落ち、空を飛んでいくイメージ。
肉体という軛から解き放たれた魂は猛スピードで飛んでいき、一瞬で数百キロという距離を越えていく。
『聖女』である和葉だけが使うことができる能力。
自らの信仰対象との間にリンクを作ることができる力である。
以前はスピリチュアル・ストーカーとしてウータの動向を観察することしかできなかったが、聖女として成長した今では生霊を飛ばすことすら出来るようになっていた。
(ウータさん、また旅に出たんですね。今度の目的地はドワーフの国ですか)
ウータはフィッシュブルクにて水の女神マリンを倒して、ドワーフの国ミスリルバレーに向かっていた。
今はキャンプをしているところであり、テントの中でスヤスヤと寝息を立てている。
『ム……』
ウータの隣には一人の少女が丸くなって眠っていた。
和葉の頭を一瞬だけ妬み嫉みの感情が横切るが……すぐに消える。
『別に構いませんとも。ウータさんみたいな美しく偉大な方の周りに信者が集まるのは当然のことですから……』
和葉にとってウータは崇拝すべき相手であり、独占できるとは最初から思っていない。
常にウータと行動を共にしているステラに思うところはあったが……巫女であり禰宜である自分は寛大でいなくては。
『ウータさん! こんばんは!』
「アレ……和葉?」
和葉が声をかけると、ウータが応えてくれた。
「どうしたのかな? 超おっぱい見えてるけど?」
『いやんっ』
魂だけで飛んできた和葉は一糸まとっていない全裸である。
もちろん、形の良い乳房も丸出しだった。
『……ウータさん、女性の胸に興味を持つようになったんですね。前は全然、気にしていなかったのに』
「ん? まあ、そうだね。本当につい最近だけど、女の子のお胸って柔っこくて触り心地が良いなって気づいたんだ」
『そうですか……それでは、存分にどうぞ』
和葉は羞恥に肌を桃色に染めながら、ウータの前に胸をさらす。
『私達のために頑張ってくれているご褒美です。どうぞご堪能ください』
「え、いいのかな?」
『もちろんです』
「それじゃあ、遠慮なく」
『んっ!』
ウータの両手が和葉の胸に伸びる。
恥ずかしさはあるものの、崇める神が求めているのだ。応じないわけにはいかなかった。
(本当はここで抱いてくださっても構いませんけど……ウータさんにはまだ早いですね)
和葉が推察するに、ウータの性年齢はまだ小学校高学年ほどである。
女性の胸などに興味を抱いていても、セックスなどまだ早い。
(時間はたっぷりとあります。少しずつ、私を女として意識していただかないと)
和葉は頭の中でいかにしてウータと結ばれるか計画を立てる。
ウータに女として意識させ、肉体関係を持ち。
結納から結婚。子作り。育児。
子供の反抗期に受験戦争。就職、結婚、孫の出産。
ウータに胸を弄ばれながら、和葉はざっと還暦までの人生設計を構築した。
『子供は三人ずつですね。ステラさんがどこまでついてくるかはわかりませんが……サッカーチームが作れるくらいが理想です』
「何の話かな?」
『こっちの話です……絶対に逃がしませんからね』
和葉は妖しく微笑みながら、清楚な顔立ちで舌なめずりをする。
信仰する側が支配しているのか、それとも信仰される側が縛られているのか。
和葉は自らの神であるウータへの狂信じみた愛をグツグツと滾らせつつ、裸の胸にウータの頭を抱きしめるのであった。
146
お気に入りに追加
1,485
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった
椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。
底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。
ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。
だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。
翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。