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79.女神マリンを超しばくよ
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眼下に広がっている雲海。その向こうにある大地と海。
そこは空の世界。まるで天上に立つ神の視点のような場所だった。
「良い眺めだねえ。ステラや竜哉達にも見せてあげたいけど、さすがに死んじゃうかな?」
『ココハ……まさか、空の上デスか!?』
「そうだよお、すごいよね。初めてきたんだけど、空気が薄くて超寒いよ」
ウータと女神マリンが転移したのは、地上から一万メートルの高さにある場所。
対流層と成層圏の境界面にある、マイナス五十六度の世界である。
吐息すらも凍りつき、空気も薄く人間が生きられる場所ではない。『デスゾーン』とも呼ばれる死の世界だった。
「寒い寒い……暖房器具があって良かったよ」
ウータが自分の周りに炎を放ち、暖を取る。
女神フレアから奪った神の火をカイロのように扱える人間など、この世にウータ以外にはいないだろう。
空気も薄いが……死ぬほどではない。小一時間程度であれば、この空間でも何ということもなく生きることができそうである。
『コノ……ワタシをこんな場所に連れてきて、どうするつもりデスカ!?』
「どうするって……もちろん、倒すんだけど?」
『まさか、ワタシが地面に落下したくらいでシヌとでも思っているのですか……!?』
高度一万メートルの高さからパラシュート無しで落下すれば、人間の身体などスリッパで叩かれた虫のようになってしまうだろう。
しかし……それはあくまでも人間の話である。仮にも『神』と呼ばれているような存在が墜落死などするわけがなかった。
『ナめるなよ、コゾウ! シヌのはキサマ一人……!』
「そうもいかないでしょう。身体……崩れてるよ?」
『ナアッ……!?』
女神マリンの身体が凍りつき、ボロボロと崩れていく。
バラバラに砕けた身体は再生することなく、ダイヤモンドダストのような細かい氷の粒となって四散していった。
砕けた身体が再生することはない。
散り散りになっていく身体に女神マリンが手を伸ばすが、掴み取ることはできなかった。
『コレハ……!』
「うんうん、予想通り。水を操ることはできても氷は操れないんだね」
女神マリンは水を支配する神ではあるが、それは『H2O』という水分子を操れるわけではない。
実際、ウータの炎で水蒸気にされた身体は海水を吸収しなくては治癒することができなかった。
水蒸気が支配できないのであれば、同じように氷も支配はできないだろう。
「そして、ここには水を補給するための海がない。つまり……凍ってしまった身体は再生できないってことだよね」
『こ、コゾオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
女神マリンが絶叫する。
ウータが彼女をここに連れてきたのは、墜落死させるためではなく凍らせるためだったのだ。
「ウータ、パーンチ」
『ッ……!?』
ウータが拳を振るうと、凍りついた女神マリンの身体が砕ける。
本来であれば殴られただけで傷つくことなどないだろうに、今の女神マリンはガラスよりも脆かった。
『クウッ!? コ、コノオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!?』
女神マリンは触手を放ってウータを打ち落とそうとするが……その触手すらも凍りついてしまい、使い物にならない。
時間が経つにつれて、どんどん身体が芯まで凍っていく。身体はゆっくりと落下していくものの、すぐにウータが掴んで転移。上空に連れ戻される。
『アアアアアアアアアアアアアアアアア……このワタシがあああああアアアアアアアアアアアアアッ!』
「うん、詰みだね。これでもう抵抗はできないね」
『アアアアアアアアアアアアアッ! 女神であるこのワタシが、海を支配するイダイナル女王であるワタシがああああああああアアアアアアアアアアアアアッ!』
「ウータパーンチ」
ウータが拳を振るうたび、女神マリンが砕け散って小さくなっていく。
黒い液体で構成された肉体がどんどん小さくなっていき、やがて女性の姿をした本体すらも凍っていく。
美麗な女性の本体が氷細工へと変貌し、零れた涙が宝石の粒のようになって落ちていく。
『アア……』
「…………へ?」
小さな悲鳴を上げて、女神マリンが完全に砕け散った。
ウータがパチクリと瞬きをして、珍しく驚いたような表情をする。
バラバラになった女神の肉体。
その向こうにあった物とは、いったい……?
そこは空の世界。まるで天上に立つ神の視点のような場所だった。
「良い眺めだねえ。ステラや竜哉達にも見せてあげたいけど、さすがに死んじゃうかな?」
『ココハ……まさか、空の上デスか!?』
「そうだよお、すごいよね。初めてきたんだけど、空気が薄くて超寒いよ」
ウータと女神マリンが転移したのは、地上から一万メートルの高さにある場所。
対流層と成層圏の境界面にある、マイナス五十六度の世界である。
吐息すらも凍りつき、空気も薄く人間が生きられる場所ではない。『デスゾーン』とも呼ばれる死の世界だった。
「寒い寒い……暖房器具があって良かったよ」
ウータが自分の周りに炎を放ち、暖を取る。
女神フレアから奪った神の火をカイロのように扱える人間など、この世にウータ以外にはいないだろう。
空気も薄いが……死ぬほどではない。小一時間程度であれば、この空間でも何ということもなく生きることができそうである。
『コノ……ワタシをこんな場所に連れてきて、どうするつもりデスカ!?』
「どうするって……もちろん、倒すんだけど?」
『まさか、ワタシが地面に落下したくらいでシヌとでも思っているのですか……!?』
高度一万メートルの高さからパラシュート無しで落下すれば、人間の身体などスリッパで叩かれた虫のようになってしまうだろう。
しかし……それはあくまでも人間の話である。仮にも『神』と呼ばれているような存在が墜落死などするわけがなかった。
『ナめるなよ、コゾウ! シヌのはキサマ一人……!』
「そうもいかないでしょう。身体……崩れてるよ?」
『ナアッ……!?』
女神マリンの身体が凍りつき、ボロボロと崩れていく。
バラバラに砕けた身体は再生することなく、ダイヤモンドダストのような細かい氷の粒となって四散していった。
砕けた身体が再生することはない。
散り散りになっていく身体に女神マリンが手を伸ばすが、掴み取ることはできなかった。
『コレハ……!』
「うんうん、予想通り。水を操ることはできても氷は操れないんだね」
女神マリンは水を支配する神ではあるが、それは『H2O』という水分子を操れるわけではない。
実際、ウータの炎で水蒸気にされた身体は海水を吸収しなくては治癒することができなかった。
水蒸気が支配できないのであれば、同じように氷も支配はできないだろう。
「そして、ここには水を補給するための海がない。つまり……凍ってしまった身体は再生できないってことだよね」
『こ、コゾオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
女神マリンが絶叫する。
ウータが彼女をここに連れてきたのは、墜落死させるためではなく凍らせるためだったのだ。
「ウータ、パーンチ」
『ッ……!?』
ウータが拳を振るうと、凍りついた女神マリンの身体が砕ける。
本来であれば殴られただけで傷つくことなどないだろうに、今の女神マリンはガラスよりも脆かった。
『クウッ!? コ、コノオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!?』
女神マリンは触手を放ってウータを打ち落とそうとするが……その触手すらも凍りついてしまい、使い物にならない。
時間が経つにつれて、どんどん身体が芯まで凍っていく。身体はゆっくりと落下していくものの、すぐにウータが掴んで転移。上空に連れ戻される。
『アアアアアアアアアアアアアアアアア……このワタシがあああああアアアアアアアアアアアアアッ!』
「うん、詰みだね。これでもう抵抗はできないね」
『アアアアアアアアアアアアアッ! 女神であるこのワタシが、海を支配するイダイナル女王であるワタシがああああああああアアアアアアアアアアアアアッ!』
「ウータパーンチ」
ウータが拳を振るうたび、女神マリンが砕け散って小さくなっていく。
黒い液体で構成された肉体がどんどん小さくなっていき、やがて女性の姿をした本体すらも凍っていく。
美麗な女性の本体が氷細工へと変貌し、零れた涙が宝石の粒のようになって落ちていく。
『アア……』
「…………へ?」
小さな悲鳴を上げて、女神マリンが完全に砕け散った。
ウータがパチクリと瞬きをして、珍しく驚いたような表情をする。
バラバラになった女神の肉体。
その向こうにあった物とは、いったい……?
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