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67.歯磨きせずに眠ったら悪戯されたよ
しおりを挟む「あー、美味しかった! 最高の晩御飯だったね!」
「はい。とても美味しかったです」
レストランで食事を終えたウータとステラは宿屋に戻った。
食事を終えてレストランを出たときにはすでに夜になっていた。
部屋に戻るや、ウータが「ふえー」とベッドに飛び込んだ。
「あー、お腹いっぱい……今日はこのまま寝ちゃおっかなー」
「ウータさん。お風呂に入ってくださいよ。それに歯も磨かないと」
「明日の朝、シャワー浴びるからいいよー。それから僕は虫歯にならないから大丈夫。このまま寝ちゃうー」
「まったく……しょうがないですねえ……」
ステラが溜息を吐きつつ、寝転がるウータから上着を脱がす。
「せめて服だけは脱いでください。シワになりますからね」
「むあー」
「むあーじゃないですよ」
「にゅがー」
「にゅがーでもないです」
「…………」
ウータはそのまま気を失うようにして眠ってしまい、ステラがゆすっても叩いても目を覚まさなくなってしまった。
「まったく……仕方がないですねえ」
ステラは肩をすくめて、ウータの下半身にまたがった。
上着のボタンをプチプチと外して、代わりに服を脱がしてあげる。
「……いつもながら、この身体のどこにあんなすごい力が宿っているのでしょう」
上半身裸のウータを見下ろして、ステラが納得しかねるとばかりに眉をひそめた。
ウータの身体つきは中肉中背。決して筋肉質というわけでもなく、どちらかというと細身である。
巨大な怪物を一瞬で塵にしたり、燃やし尽くしたりするような強力な力がこの身体に宿っているとはとても思えなかった。
「私も異能持ちですけど、ウータさんにはとても敵いませんね……」
ステラの身体にもまた、あらゆる魔法を無効化する炎が宿っている。
この世界の魔法技術では説明がつかない、生まれながらにして持っている異才の力だったが、そんな力もウータにはまるで通用しなかった。
「おまけに、女神フレアを殺したとか女神マリンを食べるとか言ってますし……本当に底知れない人です」
「んむっ」
ステラはふとした悪戯心から、ウータの身体に指を滑らせてみる。
腹筋を撫でてみたり、肋骨の隙間に指を滑らせてみたり……こうして触れて見ると普通の人間と変わらない肉体だ。
どうして凄まじい力を持っているのか、ますます不思議である。
「ほあっ」
乳首をチョチョイと突いてみると、ウータの身体がわずかに跳ねておかしな声が出た。
どうやら、乳首が弱点だったようである。ステラは苦笑しつつ、その辺りを重点的に責めて見た。
「ほわっ、ふぬっ、にょも、ほぼぼぼぼ……」
指で触れるたびにウータがおかしな声を出す。
眠っているとは思えないほど多彩な喘ぎ声を聞いて、ステラは疑わしそうに眉を寄せる。
「あの……本当は起きてませんか?」
「ムニャムニャ、スピー……もう食べられないよ……」
「その寝言は逆に怪しいんですけど……まあ、いいです。眠っていると言うことにしておいてあげます」
ステラはウータのズボンを脱がして下着姿にして、脱がした服を部屋の洋服タンスにあるハンガーにかける。
そして、自分はしっかりとシャワーを浴びて歯を磨いて……下着姿のまま、ちゃっかりとウータの隣に横になった。
「ムニャムニャ……」
「おやすみなさい。ウータさん」
「にゃーん」
「にゃーんじゃないですよ……フフッ」
最初は圧倒的な力を持った存在への畏怖からウータに付き従い、給仕の真似事をしてきた。
しかし……こうやって一緒に旅をしているうちにどんどん新しい面が見えてきて、他の感情がどんどん芽生えてくる。
奴隷の子として生まれて、『火の神殿』にこき使われて……同年代の男性と接した経験はあまりにも少なかったが、こんな感情を誰かに抱くのは初めてである。
「すぴー……」
「ん……」
ステラは甘えるようにウータに抱き着いて、スヤスヤと眠りにつくのであった。
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