31 / 122
連載
64.古文書、解読できたってよ
しおりを挟む
フィッシュブルクの町に来て五日目。祭りの開催まであと二日となった。
今日もどこかに出かけようと思っていたウータであったが、朝からステラが目の下にクマを作って話しかけてきた。
「か、解読が終わりました……」
「あ、終わったんだ」
もしかして、夜遅くまで解読していたのだろうか。
ウータがフラフラとしているステラの顔を心配そうに覗き込む。
「顔色、悪いね。寝不足なんじゃないの?」
「は、はい……いえ、ちょっとだけ夜更かしをしてしまいまして。体調は全然大丈夫ですから、気にしないでください……」
「あんまり大丈夫に見えないんだけどね。無理はしない方が良いよ?」
ウータなど、昨晩は八時間は寝ている。
隣でゴソゴソとステラが何かをしていたのは気づいていたが、いったい何時までやっていたのだろう。
「気にしないでください……それよりも、大変なことがわかりました」
ステラは「フウ……」と息継ぎをしてから、その大変なこととやらを話し始めた。
「この町はじきに海の中に沈みます。明後日の祭りの日に」
「え、そうなの?」
ウータが驚いて瞬きを繰り返した。
確かに、沿岸部にある町だ。津波などがきたら大変だろうなとは思っていた。
「古文書に天気予報でも書いてあったのかな? 津波警報みたいな?」
「そもそも、この町にいるマーマンはマーマンとして認められていないんですよ。女神マリンにとって」
ステラは話し始めた。
この町の……マーマンという種族の歴史について。
そもそも、マーマンという種族は女神マリンが人間と魚を混ぜ合わせて生み出したものである。
彼らは最初、全てが海の中で生活をしていた。
しかし、海の底で数が増え、町が増えるごとにマーマン同士で争いが起こるようになり、殺し合いが勃発した。
心優しい女神マリンは自分の配下の種族が殺し合っていることに心を痛めて、どうしたら争いを止められるか父神である闇の女神に相談をした。
『共通の敵を作れば、争いは止められるだろう。マーマンにとって差別できる存在、敵意を向けることができる存在を生み出すといい』
闇の女神の助言に従って、女神マリンはマーマンでありながら海に棲むことができない者達を生み出した。
それが陸生マーマン。
海生マーマンにとっての差別の対象であり、共通の敵意を向けさせるためのスケープゴート。
女神マリンは数百年に一度、地上に繁殖させた陸生マーマンをハンティングさせることによって、海生マーマンの敵意や戦闘意欲を別の場所に移すことにしたのだ。
「シーリザードの襲撃はその前触れです。彼らは来たるべき狩猟解禁日……祭りの日の前にシーリザードを町に放つことで戦えるマーマンの数を減らして、戦力を削っているのです」
「…………」
「祭りの当日、この町は海に沈みます。そして、女神マリンに率いられた海生マーマンが押し寄せてきて、『人狩り』の祭典が開かれるのです」
「…………なるほどね、よくわかったよ」
ウータはステラの話を神妙な面持ちで聞いていたが、やがてしっかりと頷いた。
「要するに……女神マリンが何かこう、すっごい暇つぶしをしているってことだね」
「ものすごく、よくわかっていないということがわかりました。予想通りですからご心配なく」
それなりに付き合いが深くなり、ステラもウータのことがわかってきたようである。
「要約すると……『明後日のお祭りの日に津波が起こる』『半魚人が襲ってくる』『女神マリンもやってくる』……以上です」
「うん、今度こそすごっくわかったよ。ステラって説明が上手だね」
「……ウータさんのおかげですよ。本当に」
ステラが溜息を吐きながら、テーブルの上に積まれた古文書を撫でる。
「それで……これから、どうしましょうか。順当に考えるのなら、町の人に避難を呼びかけるとかですけど……」
「うんうん。でも……僕達のことを信じてくれるかな?」
「……信じてくれないと思います。この町の人達は普通に女神マリンを信じているようですし、お祭りを楽しみにしているように見えます。急に津波が来るとか、女神マリンと海生マーマンが襲いにくるとか言っても、たぶん信じないですね」
ステラが眉間にシワを寄せて悩ましげに唸る。
「だからといって……見捨ててしまうのも心が痛みます。どうしましょう」
「別に良いんじゃない。その辺は適当で」
「適当って……?」
「まずは、あの領主さんのところのお姉さん……ぐ、ぐぐ、グーさんに話そう」
「グラス・アクエリアさんですね」
「そうそう、その人。そのお姉さんに古文書のことを話しておいて、後は判断を任せればいいんだよ。アッチが信じないのなら、それはアッチの責任。津波に飲み込まれたとしても、半魚人に食べられたとしても……信じなかった方が悪いってことで。僕達が気にする必要はないんじゃない?」
「…………」
ウータの言葉にステラは沈黙する。
その言い分はわかるのだが、ドライ過ぎるような気がする。
「いえ……ウータさんはそういう方でしたね。それで私達はどうするんですか?」
「僕は女神マリンをテイスティングしなくちゃいけないから、この町に残るよー。鴨が葱を背負ってランバダを踊るってやつだね。ステラは逃げちゃってもいいよー」
「……いえ、私も残ります。ウータさんがそうするというのなら」
「いいの? 別に良いんだけど……」
「いえ、私にも出来ることがあると思います。ウータさんだけを危険な場所に残すわけにはいきません」
「フーン……じゃあ、それでいいや」
ウータは不思議そうな顔をしつつも、納得して頷いた。
思考を放棄したともいえる。
「それじゃあ、とりあえずは領主様の御屋敷にいきましょう。グラスさんに会いに」
「そうだねー。あ、帰りにレストランに寄っていこっか。昨日、美味しそうなところを見つけたんだよね」
「…………はい。そうしましょう」
あくまでもマイペースを崩すことのないウータに、ステラは何度目になるかわからない溜息を吐くのであった。
今日もどこかに出かけようと思っていたウータであったが、朝からステラが目の下にクマを作って話しかけてきた。
「か、解読が終わりました……」
「あ、終わったんだ」
もしかして、夜遅くまで解読していたのだろうか。
ウータがフラフラとしているステラの顔を心配そうに覗き込む。
「顔色、悪いね。寝不足なんじゃないの?」
「は、はい……いえ、ちょっとだけ夜更かしをしてしまいまして。体調は全然大丈夫ですから、気にしないでください……」
「あんまり大丈夫に見えないんだけどね。無理はしない方が良いよ?」
ウータなど、昨晩は八時間は寝ている。
隣でゴソゴソとステラが何かをしていたのは気づいていたが、いったい何時までやっていたのだろう。
「気にしないでください……それよりも、大変なことがわかりました」
ステラは「フウ……」と息継ぎをしてから、その大変なこととやらを話し始めた。
「この町はじきに海の中に沈みます。明後日の祭りの日に」
「え、そうなの?」
ウータが驚いて瞬きを繰り返した。
確かに、沿岸部にある町だ。津波などがきたら大変だろうなとは思っていた。
「古文書に天気予報でも書いてあったのかな? 津波警報みたいな?」
「そもそも、この町にいるマーマンはマーマンとして認められていないんですよ。女神マリンにとって」
ステラは話し始めた。
この町の……マーマンという種族の歴史について。
そもそも、マーマンという種族は女神マリンが人間と魚を混ぜ合わせて生み出したものである。
彼らは最初、全てが海の中で生活をしていた。
しかし、海の底で数が増え、町が増えるごとにマーマン同士で争いが起こるようになり、殺し合いが勃発した。
心優しい女神マリンは自分の配下の種族が殺し合っていることに心を痛めて、どうしたら争いを止められるか父神である闇の女神に相談をした。
『共通の敵を作れば、争いは止められるだろう。マーマンにとって差別できる存在、敵意を向けることができる存在を生み出すといい』
闇の女神の助言に従って、女神マリンはマーマンでありながら海に棲むことができない者達を生み出した。
それが陸生マーマン。
海生マーマンにとっての差別の対象であり、共通の敵意を向けさせるためのスケープゴート。
女神マリンは数百年に一度、地上に繁殖させた陸生マーマンをハンティングさせることによって、海生マーマンの敵意や戦闘意欲を別の場所に移すことにしたのだ。
「シーリザードの襲撃はその前触れです。彼らは来たるべき狩猟解禁日……祭りの日の前にシーリザードを町に放つことで戦えるマーマンの数を減らして、戦力を削っているのです」
「…………」
「祭りの当日、この町は海に沈みます。そして、女神マリンに率いられた海生マーマンが押し寄せてきて、『人狩り』の祭典が開かれるのです」
「…………なるほどね、よくわかったよ」
ウータはステラの話を神妙な面持ちで聞いていたが、やがてしっかりと頷いた。
「要するに……女神マリンが何かこう、すっごい暇つぶしをしているってことだね」
「ものすごく、よくわかっていないということがわかりました。予想通りですからご心配なく」
それなりに付き合いが深くなり、ステラもウータのことがわかってきたようである。
「要約すると……『明後日のお祭りの日に津波が起こる』『半魚人が襲ってくる』『女神マリンもやってくる』……以上です」
「うん、今度こそすごっくわかったよ。ステラって説明が上手だね」
「……ウータさんのおかげですよ。本当に」
ステラが溜息を吐きながら、テーブルの上に積まれた古文書を撫でる。
「それで……これから、どうしましょうか。順当に考えるのなら、町の人に避難を呼びかけるとかですけど……」
「うんうん。でも……僕達のことを信じてくれるかな?」
「……信じてくれないと思います。この町の人達は普通に女神マリンを信じているようですし、お祭りを楽しみにしているように見えます。急に津波が来るとか、女神マリンと海生マーマンが襲いにくるとか言っても、たぶん信じないですね」
ステラが眉間にシワを寄せて悩ましげに唸る。
「だからといって……見捨ててしまうのも心が痛みます。どうしましょう」
「別に良いんじゃない。その辺は適当で」
「適当って……?」
「まずは、あの領主さんのところのお姉さん……ぐ、ぐぐ、グーさんに話そう」
「グラス・アクエリアさんですね」
「そうそう、その人。そのお姉さんに古文書のことを話しておいて、後は判断を任せればいいんだよ。アッチが信じないのなら、それはアッチの責任。津波に飲み込まれたとしても、半魚人に食べられたとしても……信じなかった方が悪いってことで。僕達が気にする必要はないんじゃない?」
「…………」
ウータの言葉にステラは沈黙する。
その言い分はわかるのだが、ドライ過ぎるような気がする。
「いえ……ウータさんはそういう方でしたね。それで私達はどうするんですか?」
「僕は女神マリンをテイスティングしなくちゃいけないから、この町に残るよー。鴨が葱を背負ってランバダを踊るってやつだね。ステラは逃げちゃってもいいよー」
「……いえ、私も残ります。ウータさんがそうするというのなら」
「いいの? 別に良いんだけど……」
「いえ、私にも出来ることがあると思います。ウータさんだけを危険な場所に残すわけにはいきません」
「フーン……じゃあ、それでいいや」
ウータは不思議そうな顔をしつつも、納得して頷いた。
思考を放棄したともいえる。
「それじゃあ、とりあえずは領主様の御屋敷にいきましょう。グラスさんに会いに」
「そうだねー。あ、帰りにレストランに寄っていこっか。昨日、美味しそうなところを見つけたんだよね」
「…………はい。そうしましょう」
あくまでもマイペースを崩すことのないウータに、ステラは何度目になるかわからない溜息を吐くのであった。
228
お気に入りに追加
1,485
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった
椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。
底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。
ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。
だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。
翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。