29 / 122
連載
62.半魚人をしばくよ
しおりを挟む
「えーと……僕は人から空気が読めないって、よく言われるんだけどさ」
確実に殺したはずなのに蘇ったウータは、倉庫にいる半魚人を不思議そうに見回した。
「これはもしかして……騙されちゃったってことで良いのかな?」
「殺せ!」
半魚人の一人が叫んだ。
再び、ウータに攻撃が殺到する。
「ああ、やっぱりだ。参ったなあ」
「…………!?」
ウータが即座に転移して、半魚人の背後に移動する。
「君は食材じゃないからこっちにしておくね」
肩に手を触れて、力を発動。
半魚人が一瞬で塵となって絶命した。
「な、何だと!?」
「何をしやがった!?」
他の半魚人が動揺して叫ぶ。
ウータは続いて、別の半魚人の背後に移動。背中にタッチして力を発動。
「どんどん行くよー」
ウータが次々と半魚人を塵にしていく。
倉庫に待ち伏せしていた半魚人が悲鳴を上げて逃げまどうが、構わず塵に変えていった。
「クソが! 襲え、食っちまえ!」
「フギャオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
シーリザードが巨体をのたうたせて、命じられるがままにウータに喰らいつこうとする。
「残念だけどさ。それはもう体験済みなんだよね」
「フギャアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」
ウータが掌から炎を出して、シーリザードの身体を焼いた。
炭になるまで焼き尽くしたりはしない。
さすらいの料理人に教わった通り、食材への愛をもって火加減を調整する。
「ミディアムレアだよ。君達はそれが一番美味しいってわかったからねー」
こんがりと焼いたシーリザードから香ばしい匂いが香ってくる。
ステラへの良い土産ができたと、ウータはホクホク顔になった。
焼かれてしまったシーリザードを見て、半魚人の一人が怒りの声を上げる。
「テメエ……よくもウチのナンシーを!」
「アレ? もしかしてペットだったのかな?」
「ナンシーは俺が子供の頃に拾って育てて、たった一人の友達で……!」
「あっそ。それじゃあ、なおさら美味しくいただくねー」
「あ……」
怒っていた半魚人も塵にする。
塵にしてしまってから、ふとウータは首を傾げる。
「アレ? もしかして……この町に来た時に襲ってきた山椒魚も君達が操ってたりするのかな?」
この町はたびたび巨大山椒魚……つまりシーリザードに襲われていたようだが、ここにいる半魚人が黒幕だったりするのだろうか?
もしもそうだとしたら、彼らの背後に何らかの陰謀が渦巻いているのかもしれない。
「ま、いっか」
「ギャッ!」
彼らに聞かなければいけないことがあるような気もするが……面倒臭くなったので、ウータは尋問を諦めた。
この半魚人が何者であるかは知らない。どうでもいい。
ウータにとって重要なのは降りかかる火の粉を払うこと。
そして、今晩のご飯を美味しく食べることだけだった。
「や、ヤベエ……コイツ、ヤバすぎる……」
ウータが半魚人を殺していく一方で、怯えて顔を青ざめさせているのはウータをここまで連れてきたマーマンの少年である。
このままでは、少年もまた殺されてしまうだろう。
半魚人がウータの命を狙っていることを知っていて、それでも騙して連れてきたのだから。
(と、とにかく誤魔化さないと……そうだ、俺も騙されていたことにして……)
手段は選んでいられない。
自分には待っている家族がいるのだ。絶対に生きて帰らなければいけない。
「こ、恐かったよー! お兄さーん!」
全ての半魚人がやられてしまったタイミングで少年が飛び出した。
ウータに泣きついて、自分も嵌められていたことをアピールして見逃してもらおうとする。
「あ」
「へ」
しかし、自分に抱き着こうとしてきた少年の腕をウータが掴んだ。
そのまま流れで力を発動させると……マーマンの少年が半魚人と同じように塵にされてしまった。
「アレ? もしかして間違えちゃったかな?」
少年を塵にしたウータは首を傾げるが……「ま、いっか」と目の前の塵の山を軽く踏みつける。
「倉庫を汚しちゃったな。怒られないうちにさっさと引き上げよっと」
ウータはこんがりと焼いたシーリザードが冷めないうちにアイテムボックス(?)に収納した。
大量の塵を残したまま転移して、その場を立ち去ったのである。
確実に殺したはずなのに蘇ったウータは、倉庫にいる半魚人を不思議そうに見回した。
「これはもしかして……騙されちゃったってことで良いのかな?」
「殺せ!」
半魚人の一人が叫んだ。
再び、ウータに攻撃が殺到する。
「ああ、やっぱりだ。参ったなあ」
「…………!?」
ウータが即座に転移して、半魚人の背後に移動する。
「君は食材じゃないからこっちにしておくね」
肩に手を触れて、力を発動。
半魚人が一瞬で塵となって絶命した。
「な、何だと!?」
「何をしやがった!?」
他の半魚人が動揺して叫ぶ。
ウータは続いて、別の半魚人の背後に移動。背中にタッチして力を発動。
「どんどん行くよー」
ウータが次々と半魚人を塵にしていく。
倉庫に待ち伏せしていた半魚人が悲鳴を上げて逃げまどうが、構わず塵に変えていった。
「クソが! 襲え、食っちまえ!」
「フギャオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
シーリザードが巨体をのたうたせて、命じられるがままにウータに喰らいつこうとする。
「残念だけどさ。それはもう体験済みなんだよね」
「フギャアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」
ウータが掌から炎を出して、シーリザードの身体を焼いた。
炭になるまで焼き尽くしたりはしない。
さすらいの料理人に教わった通り、食材への愛をもって火加減を調整する。
「ミディアムレアだよ。君達はそれが一番美味しいってわかったからねー」
こんがりと焼いたシーリザードから香ばしい匂いが香ってくる。
ステラへの良い土産ができたと、ウータはホクホク顔になった。
焼かれてしまったシーリザードを見て、半魚人の一人が怒りの声を上げる。
「テメエ……よくもウチのナンシーを!」
「アレ? もしかしてペットだったのかな?」
「ナンシーは俺が子供の頃に拾って育てて、たった一人の友達で……!」
「あっそ。それじゃあ、なおさら美味しくいただくねー」
「あ……」
怒っていた半魚人も塵にする。
塵にしてしまってから、ふとウータは首を傾げる。
「アレ? もしかして……この町に来た時に襲ってきた山椒魚も君達が操ってたりするのかな?」
この町はたびたび巨大山椒魚……つまりシーリザードに襲われていたようだが、ここにいる半魚人が黒幕だったりするのだろうか?
もしもそうだとしたら、彼らの背後に何らかの陰謀が渦巻いているのかもしれない。
「ま、いっか」
「ギャッ!」
彼らに聞かなければいけないことがあるような気もするが……面倒臭くなったので、ウータは尋問を諦めた。
この半魚人が何者であるかは知らない。どうでもいい。
ウータにとって重要なのは降りかかる火の粉を払うこと。
そして、今晩のご飯を美味しく食べることだけだった。
「や、ヤベエ……コイツ、ヤバすぎる……」
ウータが半魚人を殺していく一方で、怯えて顔を青ざめさせているのはウータをここまで連れてきたマーマンの少年である。
このままでは、少年もまた殺されてしまうだろう。
半魚人がウータの命を狙っていることを知っていて、それでも騙して連れてきたのだから。
(と、とにかく誤魔化さないと……そうだ、俺も騙されていたことにして……)
手段は選んでいられない。
自分には待っている家族がいるのだ。絶対に生きて帰らなければいけない。
「こ、恐かったよー! お兄さーん!」
全ての半魚人がやられてしまったタイミングで少年が飛び出した。
ウータに泣きついて、自分も嵌められていたことをアピールして見逃してもらおうとする。
「あ」
「へ」
しかし、自分に抱き着こうとしてきた少年の腕をウータが掴んだ。
そのまま流れで力を発動させると……マーマンの少年が半魚人と同じように塵にされてしまった。
「アレ? もしかして間違えちゃったかな?」
少年を塵にしたウータは首を傾げるが……「ま、いっか」と目の前の塵の山を軽く踏みつける。
「倉庫を汚しちゃったな。怒られないうちにさっさと引き上げよっと」
ウータはこんがりと焼いたシーリザードが冷めないうちにアイテムボックス(?)に収納した。
大量の塵を残したまま転移して、その場を立ち去ったのである。
235
お気に入りに追加
1,485
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
1~8巻好評発売中です!
※2022年7月12日に本編は完結しました。
◇ ◇ ◇
ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。
ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。
晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。
しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。
胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。
そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──
ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?
前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。