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58.海に出るよ
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ウータはさすらいの魔物料理人を名乗る謎の男……ムッシュ・ジョナストと一緒に海に出た。
「よし、焼くのであーる!」
「はーい」
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
ウータが炎を放つと、怪物が断末魔を上げた。
この世界における海は魔物の住処。船を出せば無数の魔物が襲いかかってくるのが日常である。
そのため、マーマンのような一部の種族を除いて、沖に出て海産物を採ることはできない。
「『神の火』」
「プシュウウウウウウウウウウウウウウウウッ!」
そんな中、小型の漁船を借り受けて海に出たウータとムッシュ・ジョナストは次々と襲いかかってくる海の魔物を倒していく。
アフリカゾウサイズのタコも。頭が三つあるサメも。海の上を二本足で走っているサンマも。
出てくる魔物を倒しては調理して、船の上で食べる。
「ハフハフッ。うーん、脂がのっていてジューシー」
「美味美味。かなり火加減が上手くなってきたのであーる」
火の女神フレアを食べて修得した『神の火』によって、魔物を焼いては食べていく。
最初こそ焼き過ぎて炭にしていたウータであったが、ムッシュ・ジョナストの指導を受けて魔物を焼くうちに徐々に火加減が上手くなっていた。
魔物を『殺す』つもりで焼くと、どうしても強火になり過ぎてしまう。
だが……魔物を『食べる』つもりで、美味しく『料理する』つもりで火を放つと、不思議と弱火も使うことができた。
「ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!」
もっとも……火にかけられる魔物からしてみれば、ジワジワとなぶるのではなく一気に焼いて欲しかっただろうが。
「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
「あ、また来たよ」
「ここは任せるのであーる!」
意外だったのは、ムッシュ・ジョナストもまたかなり戦闘能力が高かったこと。
ムッシュ・ジョナストが両手に持った包丁を振り、低空飛行するミサイルのように飛んできたカジキマグロを空中で捌いた。
ブロック状に解体されたカジキマグロは自分が何をされたのかも知らぬまま、ボトボトと皿の上に落ちる。
「これは生でいただくのであーる」
「わあ、お刺身だあ! ちょうど醤油が余ってたんだよねー」
ウータは醤油を取り出して、ムッシュ・ジョナストが捌いたカジキマグロをパクパクと食べる。
「うん、美味しい。やっぱり日本人は刺身だよね」
「ほほう! 面白い調味料を持っているのであーるなあ!」
ムッシュ・ジョナストがウータの取り出した醤油に興味を示した。
「これは発酵したものであるな? 原材料は豆であるか?」
「大豆だよー。舐めただけでよくわかるねー」
「さすらいの料理人たるもの当然なのであーる!」
「なるほどー、伊達にさすらってはいないわけだね!」
「そうなのであーる!」
「あははは」
「わははは!」
この二人、お互いのことを全く知らない割に会話がかみ合っている。
変な部分で通じ合うところがあるようだ。
「海鮮鍋を作るのであーる! 火は任せたのであーる!」
「わかったよー。それにしても、やけに大きな鍋だね」
「特注なのであーる! 船を燃やさないように気をつけるのであーる!」
「オッケー、任せてー」
ウータはムッシュ・ジョナストがアイテムボックスから取り出した風呂釜のような鍋に火を放ち、中の水を熱して沸かせる。
この世界の漁船は魔物と戦うために特殊な魔法でコーティングした木材で作られており、多少の衝撃や火で壊れることはない。
それでも、ウータが本気で『神の火』を使ったら一瞬で灰になるだろう。十分に注意して火を扱う必要があった。
「うんうん、美味しそうだね。だけど……ちょっと具材が足りなくないかな?」
巨大な鍋には捌いた魚の切り身、タコやイカの足、出汁をとるための海藻などが泳いでいる。
どれも採れたてで新鮮なものばかりだが……少しだけ、物足りなく思える。
「お目が高いのであーる! もう一味、もう一品欲しいのであーる!」
「できればカニ系がいいよねー。カニ鍋とか良さそうだよー」
「カニ! 実に良いのであーる! しかし、基本的に海底で暮らしているカニを船の上から捕まえるのは……」
「カニカニカニカニカニカニカニーッ!」
「……出てきたのであーる!」
海中から人間サイズのカニが出てきて、船をよじ登ってきた。
一匹ではない。十匹二十匹と連続して。
「おお、渡りに船。お鍋にカニなのであーる!」
「運が良かったよねー」
「カニカニカニカニカニカニカニーッ!」
「実食なのであーる!」
ウータとムッシュ・ジョナストが襲いかかってくる人間サイズのカニをバッタバッタと倒していく。
三十分後には大量のカニの足が鍋の中を泳いでおり、とても美味しい海鮮鍋が完成したのであった。
「よし、焼くのであーる!」
「はーい」
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
ウータが炎を放つと、怪物が断末魔を上げた。
この世界における海は魔物の住処。船を出せば無数の魔物が襲いかかってくるのが日常である。
そのため、マーマンのような一部の種族を除いて、沖に出て海産物を採ることはできない。
「『神の火』」
「プシュウウウウウウウウウウウウウウウウッ!」
そんな中、小型の漁船を借り受けて海に出たウータとムッシュ・ジョナストは次々と襲いかかってくる海の魔物を倒していく。
アフリカゾウサイズのタコも。頭が三つあるサメも。海の上を二本足で走っているサンマも。
出てくる魔物を倒しては調理して、船の上で食べる。
「ハフハフッ。うーん、脂がのっていてジューシー」
「美味美味。かなり火加減が上手くなってきたのであーる」
火の女神フレアを食べて修得した『神の火』によって、魔物を焼いては食べていく。
最初こそ焼き過ぎて炭にしていたウータであったが、ムッシュ・ジョナストの指導を受けて魔物を焼くうちに徐々に火加減が上手くなっていた。
魔物を『殺す』つもりで焼くと、どうしても強火になり過ぎてしまう。
だが……魔物を『食べる』つもりで、美味しく『料理する』つもりで火を放つと、不思議と弱火も使うことができた。
「ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!」
もっとも……火にかけられる魔物からしてみれば、ジワジワとなぶるのではなく一気に焼いて欲しかっただろうが。
「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
「あ、また来たよ」
「ここは任せるのであーる!」
意外だったのは、ムッシュ・ジョナストもまたかなり戦闘能力が高かったこと。
ムッシュ・ジョナストが両手に持った包丁を振り、低空飛行するミサイルのように飛んできたカジキマグロを空中で捌いた。
ブロック状に解体されたカジキマグロは自分が何をされたのかも知らぬまま、ボトボトと皿の上に落ちる。
「これは生でいただくのであーる」
「わあ、お刺身だあ! ちょうど醤油が余ってたんだよねー」
ウータは醤油を取り出して、ムッシュ・ジョナストが捌いたカジキマグロをパクパクと食べる。
「うん、美味しい。やっぱり日本人は刺身だよね」
「ほほう! 面白い調味料を持っているのであーるなあ!」
ムッシュ・ジョナストがウータの取り出した醤油に興味を示した。
「これは発酵したものであるな? 原材料は豆であるか?」
「大豆だよー。舐めただけでよくわかるねー」
「さすらいの料理人たるもの当然なのであーる!」
「なるほどー、伊達にさすらってはいないわけだね!」
「そうなのであーる!」
「あははは」
「わははは!」
この二人、お互いのことを全く知らない割に会話がかみ合っている。
変な部分で通じ合うところがあるようだ。
「海鮮鍋を作るのであーる! 火は任せたのであーる!」
「わかったよー。それにしても、やけに大きな鍋だね」
「特注なのであーる! 船を燃やさないように気をつけるのであーる!」
「オッケー、任せてー」
ウータはムッシュ・ジョナストがアイテムボックスから取り出した風呂釜のような鍋に火を放ち、中の水を熱して沸かせる。
この世界の漁船は魔物と戦うために特殊な魔法でコーティングした木材で作られており、多少の衝撃や火で壊れることはない。
それでも、ウータが本気で『神の火』を使ったら一瞬で灰になるだろう。十分に注意して火を扱う必要があった。
「うんうん、美味しそうだね。だけど……ちょっと具材が足りなくないかな?」
巨大な鍋には捌いた魚の切り身、タコやイカの足、出汁をとるための海藻などが泳いでいる。
どれも採れたてで新鮮なものばかりだが……少しだけ、物足りなく思える。
「お目が高いのであーる! もう一味、もう一品欲しいのであーる!」
「できればカニ系がいいよねー。カニ鍋とか良さそうだよー」
「カニ! 実に良いのであーる! しかし、基本的に海底で暮らしているカニを船の上から捕まえるのは……」
「カニカニカニカニカニカニカニーッ!」
「……出てきたのであーる!」
海中から人間サイズのカニが出てきて、船をよじ登ってきた。
一匹ではない。十匹二十匹と連続して。
「おお、渡りに船。お鍋にカニなのであーる!」
「運が良かったよねー」
「カニカニカニカニカニカニカニーッ!」
「実食なのであーる!」
ウータとムッシュ・ジョナストが襲いかかってくる人間サイズのカニをバッタバッタと倒していく。
三十分後には大量のカニの足が鍋の中を泳いでおり、とても美味しい海鮮鍋が完成したのであった。
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