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ラップ伝説の始まり

サランラップに要はない

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「サランラップでどう魔王を倒しゃいいんだよぉ!」

悲痛な叫びがこだまする。

「サランラップ…?なんだそれ」「さぞ強いんだろうが…なぜ彼は慌ててるのだ?」と周りの兵士たちがざわざわし始める。

「静かに!」

そんなざわざわとした雰囲気は偉そうなじいさんの声で一斉に静まった。

「すまないね、我の兵たちが。それで、さ、さらんらっぷ?とやらはどんな力が使えるのだ?」
「…では、白米を持ってきてくれますでしょうか?」

その要望にあわあわとしながら釜を持ってくるメイド達。

「持ってきたぞ?もしや、この白い米達を強い武器に…」
「…それから、焼き鮭も持ってきてくれますでしょうか?」

武器を作ると思ってたじいさんは不思議そうにしながら「おい!」といい、瞬く間に焼き鮭が運ばれてきた。

「ささ、どうぞどうぞ。剣でも銃でもお好きに作ってください」

俺はラップを取りだし…え?いや待って。
達人ってどこでもラップ出せるんだ。これは一つトリビア発見だな。
俺はそのラップにまず米を敷き、その中心に鮭を詰めてラップを三角に畳む。
空中で一回転、二回転。三角にどんどん近づけていく。
三角形になった米の塊を広げ、おっさんに差し出す。

「な、なんだこれは…?」

その問いに、俺は満面の苦笑いで

「鮭のおにぎりです。お口に合うといいのですが…」

その言葉におっさんの顔が一気に険しくなる。
ああ、その目。そのゴミを見るような目は二度と見ることはないと思っていたのにな…。

「…そうか、つまり貴様はなのか」
「……」
「そんな米の塊しか出せぬ勇者を召喚したなどバレれば、この国の面子が落ちるどころではないぞ…」

失望の色が浮き彫りになり、そう嘆いた後、大声で周りの兵たちに命令をくだした。

「お前ら、こんな役立たず、辺境の地の村にでも放っておけ!」

俺は呆気にとられたまんま、つまみ出されていった。
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