九十九神の世界線

時雨悟はち

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聖地巡礼

解毒剤

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AM7:30

ガタンゴトン…ガタンゴトン…。
揺れる電車の中で心地よく眠るみんな。

「ふわぁ~…。起きて~みんな~」

みんながモゾモゾと動きながら起きる。

「ふわぁ…おはよ~」
「ご乗車ありがとうございます。まもなく岩手。お出口は右手でございます」
「着いたよみんな」

電車は駅に着き眠りにつくために乗客を降ろす。



「ん、んん~!さあ!今日も張り切って…」

ドゴォ~ン!
言いかけたその時、目の前のビルが崩壊した。

「な、何!?」
「ワォォォォォォ~ン!」
「と、遠吠え?」
「あ、あそこ!」

指さす先にはビルの屋上で遠吠えをする裏神の姿が。

「こらー!待てー!」

速い…。

「刀華さん!」
「おーけー!」

そして
刀華さんを体に宿す。

「覇眼式・恩恵之術」

足下に電気が走る。

「稲妻之加護」

ドゴォ~ン!
今度は落雷の音が響く。

「グルル…」
「残念。僕はここだよ」

そう言いながら札を貼る。

「式神術・札術」

術力が吸われていく。

「力量制御」
「グルル…」

そこで裏神は倒れ込んでしまった。いや、正確には…。

「クウ~ン…」
「え?」

そこには札を貼られた子犬がぽつんといた。



「なるほど…つまりこの子犬は裏神だったかもしれないってことですな?」

岩手で泊まるホテルで召雅音さんに事情を説明した。

「確かに、術力がまだほんの少しだけ残ってます。ですが、動物が裏神になるには膨大な術力が必要です。そんな術力を注ぐにはそれほど膨大な力をおさめられるだけの器を用意しなければなりませんぞ」

「つまり?」
「要はとても強い四天王みたいな幹部的なのしか出来ないということです」
「つまり、そう言った何かしらの組織があるってこと?」
「はい。整った環境で無い限りそんな強い裏神は出来ません。そういう組織が無ければ無理かと」

その瞬間。

「あれ?術力が漏れて…うわ!ちょっと!なに!」
「え?どうしたの!刀華さん!?」
「えっと…ど、どうも」

そこには裏神がいた。しかし、敵対心は全くない。

「え?え?どういうこと?」
「さ、さあ?自分もさっぱり…」
「礼人殿。これを」

と、召雅音さんが薬品を渡してきた。

「こ、これは?」
「いいから一回その裏神に飲ませてみてござれ」

と、促されるまま裏神に飲ませる。

「お?おお?おおお!?」

すると、みるみるうちに裏神の邪気が九十九神の術力に変わっていく。

「成功でござる!」
「こ、これは?」
「これはサントメモリーを打ち消す薬でござる。まあ、ワクチンみたいなものでござる。これで、どんな裏神も九十九神にすることができるでござる」
「あ、えっと…」
「ん?ど、どうしたの?」
「さっきから話を聞いてたんだけど、よかったら協力させてくれる?」
「え?いいの?」
「うん。何か手伝えるなら」
「ありがとう!君はなんて呼べば良いかな?」
「咲人。五百円玉の九十九神、咲人。サクって呼んで!」
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