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記憶迴
絶望の真実
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僕の学校の辺りには自然が広がっている。それは傷つけるのもおこがましいほど綺麗な場所で。そんな場所で、その子は立っていた。
「やあ、久しぶりだね…」
怪夢…。以前僕の母さんのフリをして、僕らの前に現れた裏神のような子。
「なに?何をしに来たの?」
そう聞くと、彼は、
「君はもう知ってるでしょ?」
と僕を嘲笑うように言った。
「知ってる…?一体…何を?」
「…僕が君のお母さんの姿をしてた事」
!
「それで…僕が何を知ればいいの?」
確かに、彼は僕の前に現れたとき裏神になったお母さんの姿だった。
「ププ…僕が全部教えてあげるよ」
そう言い、僕の記憶を次々とないがしろにしてきた。
「僕がなんで君のお母さんの姿だったのか。それはね。礼人君。君のお母さんは途中からこの僕だったからだよ」
軽い口調でそう言ってきた。
「どういう…事なの?」
「君のお母さんは確かに裏神になった。でもね、裏神になるのは本来物だけなんだ。じゃあなんで君のお母さんは裏神になったか」
「な…んでなの?」
「簡単な話だよ。僕らの頭…リーダーのおかげだよ」
「リー…ダー?」
「そう、我らがリーダーってところのね。
「で、でも、それがどうしてあなたがお母さんの姿をしてる理由に…」
「僕が君のお母さんの姿になれる。それだけでもう分かるでしょ」
ま…まさか…。
「君は…僕のお母さんの姿をして、僕を見ていた?」
「おお、勘がいいね。当たりだよ」
「で、でもなんで!」
「それは、そこの九十九神に聞けばわかるんじゃない?」
刀華さん?
「刀華さん、何か知ってるの?」
「雨、それは九十九神の力を下げる力がある。その状態じゃ裏神を倒すのも精一杯。簡単には倒せない。にもかかわらず昨日の君は九十九神の力を借りたとはいえ、自分の力で裏神を倒した。それがどれだけ凄いことか。それが可能なのはどんな人材か、どんなやつか分かってるだろ。ねえ、刀華さん」
それってどういう…。
「ええ、この際はっきりと言わないとね…」
そう言い刀華さんは僕の目をまっすぐに見つめた。
「礼人、あんたはただの人間じゃない。あんたは、元々九十九神の力をもった『覇眼の鍵』っていうやつなのよ」
覇眼の…鍵?
「そう、君が正義になるか悪になるか。その選択で世界の命運を握った鍵。そんな人材のことを彼女ら神の世界では『覇眼の鍵』と言われる」
そんな僕を見ていたって事は…。
「まさか…君はずっと僕が覇眼の鍵だって知ってて…」
「うん。ずっと君を見てきた。僕らの仲間になるために、お母さんを装ってね」
「でも…じゃあ本当のお母さんは!」
言いかけたその時、僕の記憶と温もりを全て冷ます言葉を、いとも簡単に放った。
「死んだよ。少なくとも、君が物心つけた時には」
「っ!」
ショックどころの衝撃じゃなかった。もう、すべてが壊れた。今までずっと信じた物が壊れ、ただ目の前には、絶望に染められていく自分の姿しか見えなかった。
…いや、ちょっと待て
「君が言ったことが、すべて本当だっていう証拠はあるの?」
「君が信じた。それが最大の証拠だよ」
「じゃあ…証拠はないね。少なくとも、すべてが本当だとは思わない。一部が本当でも、嘘の可能性だってあるんだ!」
「これが…人の絶望の力…」
「僕は諦めない。お母さんがいることを絶対証明してみせる!それまでは絶対…絶対に諦めない!必ず!」
「じゃあ、せいぜいあがくといい。その方が絶望することも増える」
そう言い残して、彼は去って行った。
取り残された僕は、心の中で
「絶対見つけるよ。お母さん」
と、心に誓った。
「礼…人。私ノ可愛イ…礼…人」
「やあ、久しぶりだね…」
怪夢…。以前僕の母さんのフリをして、僕らの前に現れた裏神のような子。
「なに?何をしに来たの?」
そう聞くと、彼は、
「君はもう知ってるでしょ?」
と僕を嘲笑うように言った。
「知ってる…?一体…何を?」
「…僕が君のお母さんの姿をしてた事」
!
「それで…僕が何を知ればいいの?」
確かに、彼は僕の前に現れたとき裏神になったお母さんの姿だった。
「ププ…僕が全部教えてあげるよ」
そう言い、僕の記憶を次々とないがしろにしてきた。
「僕がなんで君のお母さんの姿だったのか。それはね。礼人君。君のお母さんは途中からこの僕だったからだよ」
軽い口調でそう言ってきた。
「どういう…事なの?」
「君のお母さんは確かに裏神になった。でもね、裏神になるのは本来物だけなんだ。じゃあなんで君のお母さんは裏神になったか」
「な…んでなの?」
「簡単な話だよ。僕らの頭…リーダーのおかげだよ」
「リー…ダー?」
「そう、我らがリーダーってところのね。
「で、でも、それがどうしてあなたがお母さんの姿をしてる理由に…」
「僕が君のお母さんの姿になれる。それだけでもう分かるでしょ」
ま…まさか…。
「君は…僕のお母さんの姿をして、僕を見ていた?」
「おお、勘がいいね。当たりだよ」
「で、でもなんで!」
「それは、そこの九十九神に聞けばわかるんじゃない?」
刀華さん?
「刀華さん、何か知ってるの?」
「雨、それは九十九神の力を下げる力がある。その状態じゃ裏神を倒すのも精一杯。簡単には倒せない。にもかかわらず昨日の君は九十九神の力を借りたとはいえ、自分の力で裏神を倒した。それがどれだけ凄いことか。それが可能なのはどんな人材か、どんなやつか分かってるだろ。ねえ、刀華さん」
それってどういう…。
「ええ、この際はっきりと言わないとね…」
そう言い刀華さんは僕の目をまっすぐに見つめた。
「礼人、あんたはただの人間じゃない。あんたは、元々九十九神の力をもった『覇眼の鍵』っていうやつなのよ」
覇眼の…鍵?
「そう、君が正義になるか悪になるか。その選択で世界の命運を握った鍵。そんな人材のことを彼女ら神の世界では『覇眼の鍵』と言われる」
そんな僕を見ていたって事は…。
「まさか…君はずっと僕が覇眼の鍵だって知ってて…」
「うん。ずっと君を見てきた。僕らの仲間になるために、お母さんを装ってね」
「でも…じゃあ本当のお母さんは!」
言いかけたその時、僕の記憶と温もりを全て冷ます言葉を、いとも簡単に放った。
「死んだよ。少なくとも、君が物心つけた時には」
「っ!」
ショックどころの衝撃じゃなかった。もう、すべてが壊れた。今までずっと信じた物が壊れ、ただ目の前には、絶望に染められていく自分の姿しか見えなかった。
…いや、ちょっと待て
「君が言ったことが、すべて本当だっていう証拠はあるの?」
「君が信じた。それが最大の証拠だよ」
「じゃあ…証拠はないね。少なくとも、すべてが本当だとは思わない。一部が本当でも、嘘の可能性だってあるんだ!」
「これが…人の絶望の力…」
「僕は諦めない。お母さんがいることを絶対証明してみせる!それまでは絶対…絶対に諦めない!必ず!」
「じゃあ、せいぜいあがくといい。その方が絶望することも増える」
そう言い残して、彼は去って行った。
取り残された僕は、心の中で
「絶対見つけるよ。お母さん」
と、心に誓った。
「礼…人。私ノ可愛イ…礼…人」
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