悪役令嬢ローズ・ウィルソン警部の華麗なる迷推理~従者デイビッドの憂鬱~

三ツ矢

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ティータイムには木苺のジャムをたっぷりと 本文編集

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 そんなわけで二人はカフェのオープンテラスでティータイムです。

 ローズはどのような業務にあろうともティータイムは欠かしません。

 そんなローズの美貌に街行く人々が異性からも同性からも羨望と嫉妬の視線が降り注ぎます。

 ローズはそんなことかけらも気にせず、ミモレ丈のワンピースから長い脚を優雅に組みました。



「ウィルソン警部、足が少々露出し過ぎではありませんか?」

「見たいなら見たって私の美脚に変わりは無いわよ。それよりデイヴィッド、二人っきりの時はローズで良いっていつも言っているでしょう?」

「足も呼び方もオレが気にするんです!公私混同はいけません、ウィルソン警部。ただでさえ、あなたはスタンドプレーばかりして、ガルダに敵が多いんですから少しは自重してください」

「心配いらないわ。ガルダは私が掌握したも同然よ。それにしても何よぅ、同じ屋敷に住んでるんだし、それくらいいいでしょう?」

「それはあくまでウィルソン警部の身辺警護を兼ねて居候しているだけです。あなたは警察官である前に侯爵令嬢で第三王子の婚約者ある自覚をですね……」

「はっ。侯爵令嬢だの王子の婚約者なんて私が自分で選んだものじゃないわ。今こうして、デイヴィッドといることを選んだの。それで十分でしょ」

「……光栄です」

「素直でよろしい。デイヴィッドは私のモノよ。これは決定事項だから。私が行きたい場所には必ず私に付き従うこと。例えそれが火の中、水の中であろうと迷わず付いてきなさい。良いわね?」

「あなたの望むがままに……抗ったところでどうせ無駄でしょうから」

「いい心がけだわ。大丈夫、私といれば幸運の神が味方したも当然よ……ここの紅茶はなかなか美味しいわ。あら、そういえば……」



 ローズは木苺のジャムを見て、顎に手を添えました。



「果実が潰れたら果汁が出るもの……なんで、さっきの遺体からは血が出なかったのかしら?」



 それを聞いてデイヴィッドがスコーンを喉に詰まらせました。



「ゴホッゴホッ、ウィルソン警部、食事中になんていう話題を……」

「あら、刑事ならばいつでも事件について考えるのは自然なことではなくて?」

「でも、そうですね。ロイ検視官に報告しておきます」



 数時間後、ローズの不気味な予言は現実となりました。

 この婦女連続水死事件は新聞でも大きく報道されました。

 それからリンドール川や近隣の川を中心にパトロールが敷かれると事件はぴたりと止みました。
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