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40話 足の間に入って筋肉に挟まれたい
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歴史の中に存在する聖女制度が廃止されて以降、聖女は現れていない。けどその家系は生きていて、私はその子孫、香料にみせかけられた魔法薬のせいで魔法が宿る目、魔眼に目覚めた。
「ミナ、続きがある」
「え?」
「ネカルタス王国からだ」
ループト公爵令嬢の国ドゥエツには海向こうの大陸にある魔法大国ネカルタスから特使として魔法使いが一人長期に渡り滞在している。そこから私の話がネカルタスに入ったらしい。
「魔眼を調べたい?」
「そうだ。ミナの血がほしいと」
「血?」
血液から香料に対応できる回復薬を作る。今後体調不良者が出ても私の血から作る回復薬が使えるという。
「ミナの返事次第だが、ネカルタス王国と関わることになれば、あちらが我が国キルカスに来るだろう」
すごいことになる。
今まで魔法大国ネカルタスは他国と関わることがなかった。最近になってドゥエツ王国に特使がきて、ソレペナ王国はネカルタスの王女が嫁いだぐらい。セモツ国との戦いだって協力してくれたのが不思議なぐらいだった。
そのネカルタスがキルカスに魔法薬で関わる。特使という形をとるのは明らかだった。
「やります」
「ミナ」
「いくらセモツ国との戦いに勝っても今後はまだ分かりません。残党もいるでしょうし……魔法薬がまた出回ってしまった時に役に立てるなら私の血を使ってほしいです」
血をどうやってとるのか分からないけど、速効性の回復薬を作りたいなら慎重に作るはず。最初から無茶なことは要求されないはずだ。
「……ミナはそう言うと思った」
オレンの表情は手放しで喜ぶ感じではない。神妙な顔つきだった。
「オレンはこの話は良いと思えませんか?」
私よりも政に詳しいだろうし、ループト公爵令嬢と親交もあるなら外交という点でも詳しいはずだ。あの魔法大国ネカルタスのことも詳しく知っているだろうから、この話のすごさはオレンの方がよく分かっている。
「いや、キルカス王国に特使としてネカルタス王国の要人が来るなら今後において利点がある。ネカルタスは今ドゥエツ国、ソレペナ国以外に特使を派遣する動きを見せているからその先駆けだろう」
なら問題なさそうなのに、どうしてそんなに嫌そうなのかな?
じっと先を促す視線を送ると無言の時間を少し、次に観念したとばかりに息をついた。
「……ミナがネカルタスの要人たちと関わるのが気になるんだ」
「?」
関わらないと回復薬つけられないもの。仕方ないのでは?
「ネカルタスの要人達が男だったら純粋に関わってほしくない」
「それって」
「ただの嫉妬だ。だが、どうしても考えてしまう。検査や治療が長く続いたら私より長い時間をその男と過ごす。ミナの魅力に気づいて、その男がミナに惚れてしまうかもしれない」
「いやそれはないんじゃ……」
そこまで考えてたの。
なにも独身で私に惚れる男性が来るとは限らないし、逆に私好みの男性が来ることもないと思う。そもそも私の好みはオレンだし、この筋肉を超える人間が魔法大国ネカルタスにいると思えない。
「ミナは自分を過小評価しすぎだ」
「ええと……」
婚約の話だって破棄を持ち掛けられ、微妙に宙ぶらりんだからオレンは心配らしい。オレン程のいい男はなかなかいないと思うし、私がオレン以外を好きになることも当面ないと思う。
そしてまだ彼の気持ちに応える程、私の気持ちも追い付いていない。応えられるのはまだ先か、一生来ないか。私って本当情けないわね。
「……筋肉を使うしかないか」
「はい?」
追い詰められた表情へ変わったオレンは視線鋭く続けた。
「筋肉を使ってミナを誘惑する」
「それは実に効果的です」
確実に落ちる。
全体バランスマックスの筋肉で迫られたら落ちない女性はいない。
「絵はまだ完成していないから、ここでいくらでもアプローチできるな」
「え?」
「手で触れるも抱き締めることもしているし、上だけではなく下も脱ぐか」
「ひっ」
大腿四頭筋やら下腿三頭筋が見られる! 今まで下半身の筋肉は数えるほどしか見てないから貴重!
「どうだ?」
「それは、とても、魅力的な、お話、です」
「肖像画の後に全身も描くか?」
全体バランス10の最高筋肉を余すことなく描けるの?! 上から下まで?! え?! すごくない?!
「わ、あ、あわわわわわわわわ」
「落ち着け」
これが落ち着いてられますか!
私の叫びは部屋中に響いた。
「そ、そりゃ当然大事なとこは隠すでしょうけど、ぎりぎりまで筋肉がみられるなんて……前の時もすごかったですし、オレンは私を殺す気ですか?!」
「筋肉を見て亡くなることはないと思うが、それほど私の筋肉を気に入ってくれているなら誘惑しがいがある」
その様子なら有効だなと嬉しそうに頷く。
くっ……筋肉を盾にしたら逃げられない。
けど抱きしめられて上腕筋に包まれ最高の気分を味わえるなら、下腿三頭筋に囲まれたら同じレベルで幸せなんじゃない? 幸せに召されてしまう。最高の未来が見えた。
「……足の間に入って筋肉に挟まれたい」
「構わないが」
ん?
「……え?」
「構わないと言った」
いやいやいや?
「大丈夫です?」
もう捕まっていいレベルのこと言っているし、許しちゃいけない気もする。
「ああ。使えるものは全部使う。だから構わない」
「な……」
「見放題」
「ごくり」
「触り放題」
「ぐぐぐ」
「挟まり放題」
「あああ」
「描き放題。ああ画材も追加しよう」
な、なんだってー?!
私の叫びは再びよく響いた。
「ミナ、続きがある」
「え?」
「ネカルタス王国からだ」
ループト公爵令嬢の国ドゥエツには海向こうの大陸にある魔法大国ネカルタスから特使として魔法使いが一人長期に渡り滞在している。そこから私の話がネカルタスに入ったらしい。
「魔眼を調べたい?」
「そうだ。ミナの血がほしいと」
「血?」
血液から香料に対応できる回復薬を作る。今後体調不良者が出ても私の血から作る回復薬が使えるという。
「ミナの返事次第だが、ネカルタス王国と関わることになれば、あちらが我が国キルカスに来るだろう」
すごいことになる。
今まで魔法大国ネカルタスは他国と関わることがなかった。最近になってドゥエツ王国に特使がきて、ソレペナ王国はネカルタスの王女が嫁いだぐらい。セモツ国との戦いだって協力してくれたのが不思議なぐらいだった。
そのネカルタスがキルカスに魔法薬で関わる。特使という形をとるのは明らかだった。
「やります」
「ミナ」
「いくらセモツ国との戦いに勝っても今後はまだ分かりません。残党もいるでしょうし……魔法薬がまた出回ってしまった時に役に立てるなら私の血を使ってほしいです」
血をどうやってとるのか分からないけど、速効性の回復薬を作りたいなら慎重に作るはず。最初から無茶なことは要求されないはずだ。
「……ミナはそう言うと思った」
オレンの表情は手放しで喜ぶ感じではない。神妙な顔つきだった。
「オレンはこの話は良いと思えませんか?」
私よりも政に詳しいだろうし、ループト公爵令嬢と親交もあるなら外交という点でも詳しいはずだ。あの魔法大国ネカルタスのことも詳しく知っているだろうから、この話のすごさはオレンの方がよく分かっている。
「いや、キルカス王国に特使としてネカルタス王国の要人が来るなら今後において利点がある。ネカルタスは今ドゥエツ国、ソレペナ国以外に特使を派遣する動きを見せているからその先駆けだろう」
なら問題なさそうなのに、どうしてそんなに嫌そうなのかな?
じっと先を促す視線を送ると無言の時間を少し、次に観念したとばかりに息をついた。
「……ミナがネカルタスの要人たちと関わるのが気になるんだ」
「?」
関わらないと回復薬つけられないもの。仕方ないのでは?
「ネカルタスの要人達が男だったら純粋に関わってほしくない」
「それって」
「ただの嫉妬だ。だが、どうしても考えてしまう。検査や治療が長く続いたら私より長い時間をその男と過ごす。ミナの魅力に気づいて、その男がミナに惚れてしまうかもしれない」
「いやそれはないんじゃ……」
そこまで考えてたの。
なにも独身で私に惚れる男性が来るとは限らないし、逆に私好みの男性が来ることもないと思う。そもそも私の好みはオレンだし、この筋肉を超える人間が魔法大国ネカルタスにいると思えない。
「ミナは自分を過小評価しすぎだ」
「ええと……」
婚約の話だって破棄を持ち掛けられ、微妙に宙ぶらりんだからオレンは心配らしい。オレン程のいい男はなかなかいないと思うし、私がオレン以外を好きになることも当面ないと思う。
そしてまだ彼の気持ちに応える程、私の気持ちも追い付いていない。応えられるのはまだ先か、一生来ないか。私って本当情けないわね。
「……筋肉を使うしかないか」
「はい?」
追い詰められた表情へ変わったオレンは視線鋭く続けた。
「筋肉を使ってミナを誘惑する」
「それは実に効果的です」
確実に落ちる。
全体バランスマックスの筋肉で迫られたら落ちない女性はいない。
「絵はまだ完成していないから、ここでいくらでもアプローチできるな」
「え?」
「手で触れるも抱き締めることもしているし、上だけではなく下も脱ぐか」
「ひっ」
大腿四頭筋やら下腿三頭筋が見られる! 今まで下半身の筋肉は数えるほどしか見てないから貴重!
「どうだ?」
「それは、とても、魅力的な、お話、です」
「肖像画の後に全身も描くか?」
全体バランス10の最高筋肉を余すことなく描けるの?! 上から下まで?! え?! すごくない?!
「わ、あ、あわわわわわわわわ」
「落ち着け」
これが落ち着いてられますか!
私の叫びは部屋中に響いた。
「そ、そりゃ当然大事なとこは隠すでしょうけど、ぎりぎりまで筋肉がみられるなんて……前の時もすごかったですし、オレンは私を殺す気ですか?!」
「筋肉を見て亡くなることはないと思うが、それほど私の筋肉を気に入ってくれているなら誘惑しがいがある」
その様子なら有効だなと嬉しそうに頷く。
くっ……筋肉を盾にしたら逃げられない。
けど抱きしめられて上腕筋に包まれ最高の気分を味わえるなら、下腿三頭筋に囲まれたら同じレベルで幸せなんじゃない? 幸せに召されてしまう。最高の未来が見えた。
「……足の間に入って筋肉に挟まれたい」
「構わないが」
ん?
「……え?」
「構わないと言った」
いやいやいや?
「大丈夫です?」
もう捕まっていいレベルのこと言っているし、許しちゃいけない気もする。
「ああ。使えるものは全部使う。だから構わない」
「な……」
「見放題」
「ごくり」
「触り放題」
「ぐぐぐ」
「挟まり放題」
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な、なんだってー?!
私の叫びは再びよく響いた。
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