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20話 魔眼は主の望みを叶える
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「にしても貴方、面白い眼を持っているわね」
「え?」
まさか、バレてるの?
ずいっと王女の顔が近づく。
わあああ美人が近づくとドキドキしちゃうじゃん、って違うそこじゃない。
「殿下、私の眼のことを知ってるんですか?」
「見れば分かるわ。良い魔眼ね」
魔法を宿す瞳、魔眼。
魔法が皆無のキルカス王国では聞いたこともなかった。
「美しい碧眼だわ」
「え?」
私の瞳は薄紅藤色……くすんだ薄い紫で、しかも赤よりの紫。青色は入ってなかったはずだ。
「魔法使いだけにしか見えないのよ」
魔法が宿っているから、らしい。
「望みを叶える血筋だものね」
「うちの家系は魔法使いいないですよ?」
それに魔法使いなら魔法大国ネカルタスから入国の誘いがあるはずだ。
あの国は魔法使いと分かれば声をかける。どの国にいようと、血筋がどうあろうと、魔法が使えて才があれば誰でもネカルタス王国で暮らすことができる。
うちの血筋はそんな気配どこにもなかった。
「ふふふ、いいわね」
「?」
「そういうの好きよ」
一人納得して楽しそうにしている。魔法でなんでも分かるのだろうか。
「あ、あの……この眼のことで困ってて」
「困る? 魔眼を消したいの?」
「はい」
「我が国ネカルタスならどうにかできるわね。私から手紙を書きましょうか?」
私はそういったの専門外なの、と王女殿下は微笑む。
今は自分で対策立ててるなんてすごいわとも言われ、話してもいない魔眼対策を言い当てられた。
その一言で、オレンと一緒に過ごす絵の時間がよぎる。
始まったばかりで心が弾んでいる時間が過去になってしまうのか。もう少ししてからでもよかったかもしれない。
「やっぱりちょっと待って、あ」
「え?」
しまった。
迷惑がかかることなんだから治すのが先決なのに、オレンとの時間が惜しいと思ってしまった。
自分からどうにかしたいってお願いして即断るなんてありえないでしょ。
「あ……本当は治した方がいいですよね」
王女はふうんと相槌を打って微笑んだ。本当美人ね。
「分かった。私からは何もしないわ」
「え?」
「貴方の気持ちが解決しないとだめね。今治さなくても治る時はくるし、それまでどうしたいか考えなさい」
「あうう」
完全に見抜かれてる。
名残惜しいって思って迷ってしまった。
見透かされているんだわ。
「魔眼は主の望みを叶えるの」
「え?」
「貴方の望みを叶える為に魔眼が動く」
筋肉見たいって私の欲望をまま叶えてくれた。
お恥ずかしい話です、と逆に謝るしかない。
「ん……変質の可能性はあるけど、行きつく先は変わらないわね」
「どういうことですか?」
内緒、と人差し指を口元に持ってきてウインクされた。美人だからそういう所作が許される。
けどちょっと古い気がするのは私の無駄に曖昧な前世の記憶のせいだろう。
「あの建物の外壁の魔法陣も見えたかしら?」
「はい」
「魔眼の精度も上がってるみたいだし、毒も見分けられるわよ」
「毒?」
疑わしいあの香料が浮かんだ。
今、それを見ればわかるのだろうか。香料が原因と特定できれば少しは前進できる気がした。
「私でも、役に立てるでしょうか」
「あら。私たちは生きているだけで役に立っているわよ?」
「生きてるだけ」
「ええ」
規模が大きい。
哲学を問いたくてきいたんじゃなかったんだけど。
「ヘイアストイン女史」
馬車の扉が軽く叩かれる。
ちらりと窓から見えたのはオレンだ。
「はい」
「へえ。あの方が貴方の」
含みのある言い方をされる。私の片想いも筒抜けなのかもと思うと恥ずかしいけど、なにも言わずにオレンの元へ行くことにした。
オレンは王女殿下に極力近寄らないようにしているので、私が外に出て彼の元へ行く。話を聞くと王女の身柄は即時ソレペナ王国への引き渡しが必要だという。
第三部隊がメネテッタバ辺境伯を捕らえたのも大きい。この馬車の中で事情聴取を終えれば、王女はソレペナ王国を経由して必要時証言をしてもらうだけでいいらしい。
ここですぐにでも当事者を手放さないといけない状況なのは、ソレペナ王国とキルカス王国の間で緊張が続いている証拠だ。辺境伯については自白をすればほぼ解決とし、二国間の緊張を解くのが最優先ということね。
「王女殿下、ソレペナ王国へすぐにご案内できそうです」
「ありがとう。ああ、言い忘れてたわ」
「え?」
「一人の令嬢が海賊とよく話に来てたの」
歳は私と同じか少し下、茶色の髪に茶色の瞳を持ち、やたら海賊と辺境伯が懇意にしていたらしい。そんな影響力ありそうな令嬢はキルカス王国にいなさそうだ。メネテッタバ辺境伯と縁のある高爵位の令嬢なんてあまりいない。記憶にある限り、候補に挙がりそうな令嬢たちの中に茶色の髪と瞳もいなかった。
「この問題は別の運命の子が解決するから気にしなくていいわよ」
「運命の子?」
「そうね。貴方が覚えてくれそうな言葉を選ぶなら、見た目普通なのに内包筋肉が全体バランス10超えの女性がすべて解決してくれるの」
「なんですかその筋肉詳しく教えてくださいお願いします」
王女が匂わせた運命の子である女性とはすぐ会うことになる。
取り乱すレベルの筋肉だったのは言うまでもない。全体レベル10を超えるなんてすごすぎでしょ。
「え?」
まさか、バレてるの?
ずいっと王女の顔が近づく。
わあああ美人が近づくとドキドキしちゃうじゃん、って違うそこじゃない。
「殿下、私の眼のことを知ってるんですか?」
「見れば分かるわ。良い魔眼ね」
魔法を宿す瞳、魔眼。
魔法が皆無のキルカス王国では聞いたこともなかった。
「美しい碧眼だわ」
「え?」
私の瞳は薄紅藤色……くすんだ薄い紫で、しかも赤よりの紫。青色は入ってなかったはずだ。
「魔法使いだけにしか見えないのよ」
魔法が宿っているから、らしい。
「望みを叶える血筋だものね」
「うちの家系は魔法使いいないですよ?」
それに魔法使いなら魔法大国ネカルタスから入国の誘いがあるはずだ。
あの国は魔法使いと分かれば声をかける。どの国にいようと、血筋がどうあろうと、魔法が使えて才があれば誰でもネカルタス王国で暮らすことができる。
うちの血筋はそんな気配どこにもなかった。
「ふふふ、いいわね」
「?」
「そういうの好きよ」
一人納得して楽しそうにしている。魔法でなんでも分かるのだろうか。
「あ、あの……この眼のことで困ってて」
「困る? 魔眼を消したいの?」
「はい」
「我が国ネカルタスならどうにかできるわね。私から手紙を書きましょうか?」
私はそういったの専門外なの、と王女殿下は微笑む。
今は自分で対策立ててるなんてすごいわとも言われ、話してもいない魔眼対策を言い当てられた。
その一言で、オレンと一緒に過ごす絵の時間がよぎる。
始まったばかりで心が弾んでいる時間が過去になってしまうのか。もう少ししてからでもよかったかもしれない。
「やっぱりちょっと待って、あ」
「え?」
しまった。
迷惑がかかることなんだから治すのが先決なのに、オレンとの時間が惜しいと思ってしまった。
自分からどうにかしたいってお願いして即断るなんてありえないでしょ。
「あ……本当は治した方がいいですよね」
王女はふうんと相槌を打って微笑んだ。本当美人ね。
「分かった。私からは何もしないわ」
「え?」
「貴方の気持ちが解決しないとだめね。今治さなくても治る時はくるし、それまでどうしたいか考えなさい」
「あうう」
完全に見抜かれてる。
名残惜しいって思って迷ってしまった。
見透かされているんだわ。
「魔眼は主の望みを叶えるの」
「え?」
「貴方の望みを叶える為に魔眼が動く」
筋肉見たいって私の欲望をまま叶えてくれた。
お恥ずかしい話です、と逆に謝るしかない。
「ん……変質の可能性はあるけど、行きつく先は変わらないわね」
「どういうことですか?」
内緒、と人差し指を口元に持ってきてウインクされた。美人だからそういう所作が許される。
けどちょっと古い気がするのは私の無駄に曖昧な前世の記憶のせいだろう。
「あの建物の外壁の魔法陣も見えたかしら?」
「はい」
「魔眼の精度も上がってるみたいだし、毒も見分けられるわよ」
「毒?」
疑わしいあの香料が浮かんだ。
今、それを見ればわかるのだろうか。香料が原因と特定できれば少しは前進できる気がした。
「私でも、役に立てるでしょうか」
「あら。私たちは生きているだけで役に立っているわよ?」
「生きてるだけ」
「ええ」
規模が大きい。
哲学を問いたくてきいたんじゃなかったんだけど。
「ヘイアストイン女史」
馬車の扉が軽く叩かれる。
ちらりと窓から見えたのはオレンだ。
「はい」
「へえ。あの方が貴方の」
含みのある言い方をされる。私の片想いも筒抜けなのかもと思うと恥ずかしいけど、なにも言わずにオレンの元へ行くことにした。
オレンは王女殿下に極力近寄らないようにしているので、私が外に出て彼の元へ行く。話を聞くと王女の身柄は即時ソレペナ王国への引き渡しが必要だという。
第三部隊がメネテッタバ辺境伯を捕らえたのも大きい。この馬車の中で事情聴取を終えれば、王女はソレペナ王国を経由して必要時証言をしてもらうだけでいいらしい。
ここですぐにでも当事者を手放さないといけない状況なのは、ソレペナ王国とキルカス王国の間で緊張が続いている証拠だ。辺境伯については自白をすればほぼ解決とし、二国間の緊張を解くのが最優先ということね。
「王女殿下、ソレペナ王国へすぐにご案内できそうです」
「ありがとう。ああ、言い忘れてたわ」
「え?」
「一人の令嬢が海賊とよく話に来てたの」
歳は私と同じか少し下、茶色の髪に茶色の瞳を持ち、やたら海賊と辺境伯が懇意にしていたらしい。そんな影響力ありそうな令嬢はキルカス王国にいなさそうだ。メネテッタバ辺境伯と縁のある高爵位の令嬢なんてあまりいない。記憶にある限り、候補に挙がりそうな令嬢たちの中に茶色の髪と瞳もいなかった。
「この問題は別の運命の子が解決するから気にしなくていいわよ」
「運命の子?」
「そうね。貴方が覚えてくれそうな言葉を選ぶなら、見た目普通なのに内包筋肉が全体バランス10超えの女性がすべて解決してくれるの」
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王女が匂わせた運命の子である女性とはすぐ会うことになる。
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